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いまさら、今頃のお雛様

お雛様を今日買った。
備前焼のお雛様である。
今日、刑務所の矯正展で買った。

去年の矯正展で見つけて悩みつつ買わなかったものである。
ずっと欲しかったの、私はお雛様。

私に私のお雛様がないわけではない。
私が生まれた時、ちゃんとお雛様を私は貰った。
母は良いとこのお嬢様だったらしいから、
結構立派なオビナとメビナだけの対のお雛様を頂いた。
妹の時は、
二回り小さなオビナとメビナに三人官女がついた。

私は跡取り娘だったから、
妹がお嫁に行くとき見栄を張って
私の着物やお雛様も妹はお嫁に持って行った。
そのうちちゃんと返すからと。

着物はそのうち返っては来たけど、
男の子しか産めなかった私は、
娘を産んだ妹にお雛様も賑やかい方がいいだろうと
お雛様はいいや~って、
一緒に飾って欲しいからと言った。
娘を産めなかった私が、
自分のために一対だけのお雛様を飾るのもなぁ~と。

子供の頃、
我が家の桃の節句には
祖祖母と祖母と母と私と妹と、
明治・大正・昭和と五対のお雛様と妹の三人官女が飾られた。

それらは顔つきも衣装も風情も変わり、
見比べれば時代を感じられて面白かった。
並んで鎮座するお雛様たちが、
私は好きだった。

なのになのに、
祖祖母や祖母が亡くなった後、
怪しげな古道具屋が我が家にきて、
外国人に人気なんです~って
母はその業者にお雛様たちを売ってしまった。
どのくらいのお金になったのかは知らないけれど。

もしも、あの時業者に母がお雛様を売ってなければ、
私が娘を産めなくても
桃の節句にお雛様を飾っていたかもしれないと思う。
私の大嫌いな母である。

結局、私のお雛様は私の元に居ないまま過ごしてきた。
それでかなんだか、
この頃はお雛様が欲しくて。
私のお雛様を返してもらって、
私だけのお雛様を飾る気も全くないけど。

私的にはガラスのお雛様とかキャラクターのお雛様とか、
部屋の片隅にでも年中飾っていたいなぁ~って
ずっと思ってて。

還暦も過ぎたのになぜだろ?
お雛様が欲しくて。
私が結局女の子だからなんだろか??

備前焼のお雛様、
部屋の片隅に飾って置いても
たぶん埃かぶってしまうことに
なっちゃうんだろうけど。
なぜか欲しかったお雛様、
手に入れてなんとなく嬉しい。

箱に詰められたまま購入したけど、お顔を見てからにすればよかったと後悔。でもまあ運かなと自分を納得させた。

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