読むTHINK125 ダイジェスト_ゲストは渡辺俊美さん(TOKYO No.1 SOULSET) 2024年4月26日
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谷尻誠と吉田愛率いるサポーズデザインオフィスの新拠点として数ヶ月前にオープンした猫屋町ビルヂング.その4階は,まだ名前のないスペース.ここが新しいTHINKの舞台となる.旧会場から持ち込まれたこのイベントの名脇役の一つである発泡スチロールのスツールに,THINKの125回の歴史が刻み込まれている.開始時間が近づくにつれ,その席が埋まっていく.おそらく東京などではあり得ないほどの距離の近さでゲストと対話できる空間はプレミアムだ.席を確保して,今回のトークに関連する展示が行われている2階のギャラリーを覗く.壁面に展示されたお弁当の写真の数々.この写真が今日のゲストである渡辺俊美さんのエッセイ「461個の弁当は、親父と息子の男の約束。」そしてそれを原作として映画化された「461個のおべんとう」のものだと知っている人には馴染み深いものであるとともに,そんな背景を知らずに見てみると,一定のフレーム(ランチボックス)に納められた色とりどりのおかずが定点観測アートのようにも見えてくる.つまり既知でも初見でも,これだけ積み重ねられた「日常のアート」はそれを見た人をインスパイアするエネルギーを放っている.毎日の営みがいかに尊く,しかもクリエイティブなものか.それは,後にトークの最後に渡辺さん自身から語られた言葉と一致するのであった.
4階に戻りほどなくして,帽子も薄手のコートもインナーもスニーカーも黒で決めた渡辺さんが谷尻さんと共に会場へ.会場は温かい拍手で迎える.
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谷尻誠さん(以下,T):
今日のゲストは渡辺俊美さんです.
俊美さん,今日は何時ごろ広島に着かれたんですか?
渡辺俊美さん(以下,W):
11時過ぎですかね.午後から2階でお弁当の写真を展示してました.
T:
いま,2階のギャラリーで俊美さんのお弁当の写真を展示しているのでまだの方はぜひご覧くださいね.今日はトークをしていただきますが明日は俊美さんのお弁当をLIVEを聴きながら楽しんでいただけるイベントをやりますので.まだ少し空席があるのでぜひ.
W:
渡辺俊美です,今年で58歳になります.
ぜひ.谷尻さんとは仲良くさせてもらっていて.谷尻さんがおいくつでしたっけ?
T:
今年50になります.
俊美さんと最初に会ったのはいつだったのか昨日からずっと思い出そうとしてるんですけど...どこでしたっけ?
W:
どこでしたっけね,エドツワキが繋いでくれたような記憶がありますねぇ. 彼も広島出身ですよね,実はエドとの関係は,僕が最初にラフォーレでやってたお店「セルロイド」で働いてくれてたんですよ.彼が代々木上原の谷尻さんのとこへ行こうって.
T:
そうだったんですね,じゃあ俊美さんとは東京の事務所で社食堂のお披露目の時にエドさんと来てくださったのが最初になるのかもしれませんね.今日は俊美さんの音楽やファッションやお弁当の話など色々お話をお聞きしたいと思っています.
実は僕も昔からファッションが好きで,俊美さんがDOARATを立ち上げられたりというのを雑誌とかで見てた世代です.
W:
あの時はね,裏原宿ブランドがどんどん生まれて.それでそれぞれお店の内装なども競い合っててね.誰に頼むといいかとか.僕のところは,ランドスケープの中原さんにやってもらいました,彼がまだマイスターにいるかやめるかの頃で,おそらく中原さんのところが空間デザインをやった最初の事例くらいになるんじゃないかな.
T:
そうなんですね,中原さんにもTHINKに来てもらったことがあります.たまたま雑誌で中原さんの部屋の写真を見て,この人は何か違う,とビビッと感じたんですよね,それからかなり中原さんのことは追っかけてました.まだインターネットもほぼない時代です.雑誌や,そういう共通の趣味の知り合いからの話とか貪るように深掘りしてましたね.プレイマウンテンをオープンされた時も東京のお店まで行って,まだ当時中原さんもお店にいらっしゃって,話をしたのを覚えています,中原さんも「広島から若造がやってきて」って今もよく話してくださいますね.
W:
大物感がありますよね,実は僕の方が歳は上なんですけど,彼は最初からずっと「中原さん」って呼んでます(笑)彼が数年前にコンランショップ・
ジャパンの代表に就く時にも僕がその時熊本にいたんですけど,そこまで来て挨拶してくれたりね,本当に律儀な人ですよね.
T:
ところで,俊美さんが音楽を始めたのはいつごろなんですか?
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「THINK BOOK」は、サポーズデザインオフィスが企画する、THINKをテーマにしたプロジェクトを文字と写真でとどけるメディアです。 …
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