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読むTHINK_89/ゲスト:石川涼さん_株式会社せーの代表(2018年5月25日)

今回は,2018年5月に行われた89回目のTHINKを,「読むTHINK」としてまとめました.ゲストは,ファッション業界で常識を覆しながら成長してきたブランドの仕掛け人,石川涼さんです.

ーー定期購読マガジン THINK BOOK について
THINK BOOK は,読む "THINK" です.Suppose Design Office の谷尻誠が毎月魅力的なゲストを招き「"考える"ことを考える場所」として開催しているイベント"THINK"を読み物として再構成してまとめています. 多彩なゲストとの間で繰り広げられる本音のトークはここでしか聞けないヒントがたくさん詰まっています.過去100回以上に及ぶ記録資料などの掘り起こしを含め,月に2回程度,定期購読マガジンとして掲載していくので,よろしければ定期購読していただいて,皆さんの日常をTHINK するきっかけにしていただければ幸いです.(谷尻誠,西尾通哲:共同編集)

当時の告知資料より

第89回目となるTHINKは、株式会社せーの代表取締役・石川涼さんにお越しいただきます。
2000年代から109系メンズブランドとして業界を牽引してきた「VANQUISH」や、”Cute is Justice!!“を掲げアジア各国からも人気を集めるマスクブランド「gonoturn」。立ち上げから今年4年目を迎え、前年比売上げ300%という圧倒的な躍進をみせる「#FR2」。そして更には、昨年渋谷に初となる飲食店「渋谷ハチカレー」をオープンさせるなど、常にサプライズとともに枠にとらわれることなく活躍し続ける石川さん。
とくに「#FR2」は、プロダクトをエロティックでクオリティの高い写真で表現しインスタグラムをにぎわせ、20代を中心に多くのファンを獲得しています。驚くことはそのほとんどが、石川さん自身が撮影したものであるということ。写真でのコミュニケーションの重要性をいち早く感じ、カメラを購入し自ら勉強したそう。
また、あるウェブマガジンのインタビューで目にしたのは、“社内のスタッフから反対された意見のほうがいけると思う”という言葉。それは、これまでなかった斬新なマスクブランドという立ち上げや、ファッション業界で大きな話題となった109系ブランドとして初となる東京コレクションへの参戦と、まさに人々の予測を超える提案をしてきた石川さんならではのTHINKなのかもしれません。皆さま、ぜひお越しください。
THINK_89
日時:5月25日(金)
開場 19:00〜
開演 19:30〜21:30
会場:広島市中区舟入本町15-1
サポーズデザインオフィス3階

Guest_石川涼 / Ryo Ishikawa 
VANQUISH
I was born 1975.
2004 started VANQUISH
1975年神奈川生まれ。静岡育ち。
A Piece of cake!!!
https://www.instagram.com/fxxkingrabbits/
http://instagram.com/vanquishceo
https://twitter.com/vanquishceo

業界の人たちの態度に違和感を感じたんですよね

ーー2018年5月.ホストの谷尻誠さんが本日ゲストの石川涼さんと共にお揃いのTシャツ(ただし色違い)を来て登壇.もちろん石川さんの主宰するブランドのTシャツだ.胸に大きく「smoking kills」と書かれている.そもそもsmoking kills とは,欧米で販売されるタバコのパッケージに実にその半分ほどのスペースを使って表示してある「タバコは有害です(という日本の表示より遥かに直接的に”喫煙は死に至る”と書いてあるわけだけど)」というメッセージ.ただ,そこには石川さんのあるシニカルな販売戦略が透けて見える.文字通りに受け止められないそんな両義的なメッセージと共に石川さんの社会の見方,ブランド戦略の神髄が惜しげもなく語られる夜となった.

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谷尻誠氏(以下,谷尻)
第89回目のゲストは,株式会社せーの代表,石川涼さんです.よろしくお願いします.

石川涼(以下,石川)
よろしくお願いします.良かった,お客さん来てくれて.

谷尻
ずっと続けてると,お客さんも毎回楽しみにしてくださるようになって.

石川
ありがとうございます,では簡単に自己紹介でも.

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ーーいつものように,和やかにトークが始まった.前半は,石川さんが主にこれまでの自分のやってきたことを振り返りながら話して,谷尻さんが気になったところで質問したり突っ込みを入れたりするスタイル.

石川
18歳から20歳まで静岡で洋服屋さんに就職して販売をしてました.でも毎日店でお客さんを待っている時間がだんだん退屈になってきて,このまま洋服に携わるなら東京だろうってことで,何のあてもなく東京へ出ました.学生じゃないので友達も一人もいない状態で.半年は日雇いのバイトをしながら,洋服の仕事を探してました.でも販売員では静岡と同じになっちゃうんで,もっと作る方というか裏方をの仕事を探してて.やっと半年後にOEMの仕事が決まって.

それでも,当時は何もできないのに見た目も言動も生意気だったんで先輩に怒られたりしました.悔しかったんですけど,一理あると思って,反骨精神で怒られた翌日に坊主にして仕事を一生懸命やったら,1年後に全社で営業成績が一番になったんですね.そこから24歳までそこで働いて,そのころになると,特に野望があったわけではないですけど,自分一人で食っていけるような気がして.独立することに決めましたね.

谷尻
何をして独立しようと思ったんですか.

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石川
それはもうOEMですね.それまでずっとセレクトショップとかにオリジナルの洋服を提案したりしていたので,そういう実績で食べていけると思ったんですよね.最初は自分のブランドを立ち上げるとかは考えてなかったんです.でも,そのころからファッション業界に対して違和感を感じていて.

谷尻
OEMを受けつつも.

石川
そうですね,例えば流行色とか.誰が決めてんのかなって.洋服屋の業界にいる人もなんか表面的であまり好きにはなれなかったんです.

谷尻
洋服屋なのに(笑)

どっちがイケてるか

石川
そう.独立して29歳までOEMをやるんですけど,業界的に良い時期じゃなくて.波があるのでOEMだと売り上げに振り回されちゃうんですよね.それから,さっきも言ったように,業界はカッコだけの人たちがすごく多くて.どういうことかと言うと...

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