夕暮れに輝く願いの灯 清流通り灯ろう流し開催
10月12日、山口県周南市鹿野の町なかにある遊歩道「清流通り」で開催された、清流通り灯ろう流し。
鹿野地域の地域コミュニティ組織である、明るく元気な鹿野をつくる会により企画されたこの催しは、「水不足にあえぐ鹿野に、私財を投げうって水路を掘り抜く計画を立てた岩崎想左衛門重友と、その思いに共鳴した鹿野の住民がつくりあげた潮音洞、その水が流れる清流通りで、何かができれば」という思いから実施されています。
会場では、カメラを手に参加する人も多く、コロナ禍で始まったこのイベントが、しだいに認知されてきていることを感じます。
水路横にある池の水面に浮かぶ灯ろうや、それを見守る皆さんが、にぎやかに会話をしている様子を眺めていると、これからイベントが始まるんだな、とワクワクしてきました。
イベント開始時刻の17時30分を迎え、漢陽寺の住職によるお経があげられた後、池から水路へ、灯ろうが流され始めました。
願いが書かれていたり、人気アニメのイラストや、お手製の絵が描かれていたり……皆さんが思い思いに作り上げた灯ろうは、あたたかな炎に浮かび上がります。
水路の流れに乗ってあっという間に流れていく灯ろうを見逃すまいと、小走りになって追いかけていきます。
水路は段差のある場所もありましたが、水の流れに乗ってくるくると回転しながら、灯ろうは無事に段差を越え、流れていきました。
池から周南市役所鹿野総合支所横までの数百メートルを流れた灯ろうは、スタッフだけでなく、参加者の皆さんもお手伝いして、清流通りにある二所山田神社の石段に並べられていきます。
ずらっと並んだ灯ろうが輝く中、宮司さんによる祝詞が奏上されると、今までのにぎやかな空気から一変し、会場はおごそかな雰囲気に。
さっ、さっ、という御幣の音が聞こえる中、参加者の皆さんも声を発さず、祝詞奏上を見守りました。
祝詞の後は、灯ろうを火にくべて、お焚き上げが行われます。
火が燃える大きな釜に投げ込まれた灯ろうを飲み込むように、大きな火が上がり始めました。
すでに周囲は真っ暗。鹿野の夜は10月ともなると肌寒さを感じるほどですが、灯ろうが放つ温かさを感じ、揺らめく炎を見ていると、不思議と安らぎを感じることができました。
主催の明るく元気な鹿野をつくる会の皆さまや、運営のお手伝いをする参加者の皆さんを見ていると、この灯ろう流しが単なるイベントに留まらず、鹿野に暮らす人たちのすてきな部分を見つけるきっかけになったように感じます。