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【えーる】 地域に必要なもの

えーる! 59号( https://yell.link/yell/yell_59.pdf )が完成した。
今回は、新型コロナウイルスや大雨災害の中、まちづくりのための活動を続けている団体を追いかけてみた。

「海軍さんの珈琲店」

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まずは、毎月第1土・日曜日に開店する「海軍さんの珈琲店」を取材した。
提供されるのは、過去に、マスターが偶然見かけたという、広島県呉市に店を構える昴珈琲店( https://www.subarucoffee.shop/ )のコーヒーだ。
むろん、それにより商売をしているわけではない。コーヒーはあくまで呼び水であり、地域住民や観光客の憩いの場、気軽に話し合えるサロンを運営したい、という思いを下地に運営されている。

もともと、地域のイベントの中で限定的に開催されていたサロンだったが、そのイベントは年2回の開催であり、マスターの思い描くものと比べると、どうしても頻度が足りない。しかし、継続的に提供するための場もない……そう思案していたときに、自宅をサロンとして提供しても良いという話を持ち掛けられた。それによって、一気にイメージが現実のものになる。かくして令和2年4月に、「海軍さんの珈琲店」が開店したのである。

マスターはこう語る。「海軍さんの珈琲店は、地域の人だけでなく、市外から訪れた人も集まることができる場所として利用してもらいたいと考えています。この町をもっと好きになって、ファンが増えてくれると嬉しいです」

「ふらっと食堂」

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続いて、異世代交流子育てサロン「asis(アズイズ)」が運営する、地域食堂「ふらっと食堂」を紹介した。
このふらっと食堂は、子どもやその保護者などに、安価もしくは無料で食事を提供する子ども食堂の一種である。その名前の由来は、「誰もが"ふらっと"訪れることができて、子どもから高齢者まで、年齢に関わらずフラットに皆が訪れることができる場所にしたい」という思いで命名されている。

普段は中学校の一室を借りて行っているが、今回は新型コロナウイルスへの対策として、テイクアウトを行うことにした。asisのメンバーは2人だが、ママ友やボランティアの手を借りて、300食の豚丼を提供していた。

asisの2人は、研修の場で出会い、地域内に人が集まることのできる場所がなく、そういう場所を作りたい。顔見知りを増やし、地域住民の垣根をなくしていきたい……その思いが、こうして結実したのである。

「地域に必要なもの」

まったく意図しないことであったが、この取材に共通点を感じた。
細部に違いはあるが、どちらの団体も、人のつながりを作ることのできる場所を作りたい、という思いを持って活動している。

故郷の町は過疎化・高齢化が進む地域だ。
年齢を重ねれば、体調的な問題や親しい人との死別などが生じる。しだいに地域の中で顔を出す場所が減り、孤独の中で生きていくことになりかねない。

さまざまなインフラが整備されている現代社会であるが、山間の田舎町に喜んで移住しよう、と決断できる者はなかなかいない。
だからこそ、町に住む地域住民同士や、地域住民と地域外からの来訪者とが交わる場所が必要だ……そう感じる人がいるのだろう。
むろん、こうした活動に魅力を感じ、移住して地域人口が増えていくことが一つのゴールであることは言うまでもない。

地域の維持・活性化に必要なものは何か。
そう考えた時にたどり着く回答は、一見まったく別のものに見えるかもしれない。しかし、その根底に流れるのは、同じ思いなのではないだろうか。

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