ワヒロメインスト第5章感想レポ【全ストーリー読了記念】
◎一言感想
そう来たか!!!!!!!!!
◎ざっくり感想
いやあまさかそう来るとは……伏線回収や過去の展開からのなぞりが丁寧でスッキリした読後感でした。
メインスト読了後に風の噂で『メインストーリーの時間軸はver2.01世界、イベントストーリーの時間軸は再構築後のver2.0世界』ということを小耳に挟んだので、メインストーリー読破前に必ずしもイベントストーリーを全て追っておく必要はなかったのかもしれません。
というのも、自分は後述のようにまずイベストを全て読破してからメインスト第5章に行ったんですよね。けれども再構築後のver2.0世界で慎くんが合宿施設へやってくるまでの道程を頭の片隅に入れた上でイベントストーリーを読むとまた違った視点で感想を抽出できると思うので、また改めてイベストを読み返しておこうと思います。あとサイドストーリーも!
サイドストーリーといえば、光希くんのサイドストーリー分岐(最終回を読み終わっているほう)も回収しました。実験が失敗してしまったver2.0世界のヒメちゃんはひっそりとロボAIコンを観に来るんですね……。そして光希くんはあくまで『光希くん』としてヒメちゃんに相対するんですね……。
ヒーローのなかで光希くんにだけver2.01世界の記憶が残っている理由について自分と浅桐さんが立てている仮説が同じであれば、光希くんと同じく人造人間である巽さんたちもver2.01の記憶を持っているかと思うのですが、ヒメちゃんを通して彼らとまた違った形で会える日が来るのだろうか、なんていう希望がちらりと見える終わり方でとても胸がすく思いでした。
◎指揮官さんくんちゃん
自分はゲームにおいて『プレイヤーが選ぶ選択肢の文面で自己主張をしてくるタイプの主人公(例:FE風花雪月のベレトス、幻想水滸伝シリーズの主人公たち)』はプレイヤーである自分と同一視せずひとりのキャラとして愛でるタイプのオタクです。
そして二次創作で彼らを描写する際はゲーム内の印象から極力逸れ過ぎないよう、選択肢の文面を抜き出して纏め、キャラ研究をしたりしていました。とはいえ、意識下無意識下問わず多少自分好みのキャラへと味付けしてしまっているとは思いますが……。
なので指揮官さんもワヒロ世界の住人として摂取していたのですが、なんだか彼/彼女もひとりのキャラとして推せるな……! と感じてしまいました。
基本的に口調はシンプル、体言止めも多く選択肢ではセリフではなく行動のみのこともあるものの、たまに突拍子もない返答をしたりボケに乗っかってみたりと只の真面目さんなだけじゃないのが素敵です。それでいて割と徹夜がデフォらしかったり、やり手の指揮官として知られていたりと締めるところはきっちり締めていてカッコイイですよね!
自分の二次創作でどれぐらい描写していくかはまだ分かりませんが、もし全く出さないとしても指揮官さんくんちゃんの設定は自分なりに解釈を捏ねて固めておこうと思います。この作業はThe★二次創作って感じで楽しいんですよね。詰めていくのが楽しみだ!
◎推し語り〜北村倫理と志藤連理に関する最早妄想ばかりになってしまった考察〜
フライングで少しメインストの話をしますが、浅桐さんがワールド・コード書き換えのあれこれを話していた時に出てきたver1.0世界のキャラ達の一枚絵があるじゃないですか。あの施設組の幸福度具合とver2以降との格差で危うくえずくところだったんですけど(脱線)、加えてその二枚目に出てきたあの……揃えられて置かれた革靴……もしかして倫理くんだったりします……?
ver2以降の世界で倫理くんが血性の力を使って本当に「自死のまとわりつく自分の運命ごと、自分の力で変え」た【北村・サイドストーリー4話「神さまは役に立たない」】とすると、逆説的にver1.0世界の血性を持たない倫理くんは自死のまとわりつく運命を受け入れざるを得なかったということになってしまう気がするんですよね。
あそこのシーンで挟まる倫理くんの沈黙には色々な意味と感情が込められている気がする……。
ただこの仮説が正しいとすると、ver1.0世界において連理さんが出奔した(そもそもしたのか?)理由が何なのかが気になるところです。
連理さんが志藤の家を出たのは「「運命」にあらがうために、新しい人生と、新しい神さまを必要とした」【北村・第3章61話「知っていること」】とのことですが、ver2以降の世界ならまだしも血性の存在しないver1.0の世界でその発想に至っているのかどうか気になります。
血性システムの有無なんて関係なく、彼は自分の手で運命を切り拓いていこうとしていたのでしょうか。
そしてverに拘らず、連理さんが変えたかった運命って一体なんだったのでしょうか。
これは血性に関しての考察なのですが、倫理くんが従兄である正義くんと同じぐらいの血性を持っていたり、星乃家の婚外子である武居さんが実は志藤家の正義くんよりも血性の値が高かったりと、割と血性値って遺伝に依るところが大きいかと思うんです。そして連理さんも志藤家の人間だったということで、血性値はそれなりにあると思われるんですよね。
そんな連理さんが運命を変えようと行動を起こしたとしたら、血性という概念が存在するver2以降の世界において彼は大なり小なり何かしらの運命を実際に変えている可能性があると考えられます。
じゃあ、その『変えられた運命』って一体なんなんでしょう?
運命を変えた結果、連理さんの最期があのようなものになったのでしょうか?
連理さんは自分の力で運命を変え、自分が納得できるような形で人生を終わらせようとの思いであのように身投げしたのでしょうか?
ここで究極妄想が入るのですが、血性は運命を変える力、とは連理さんの代弁をした倫理くんの口から出てくるものの、『自分の運命を自分で変える力』とはストーリーのどこにも記されていません。(……よね? もし書かれてたら恥ずかしいので穴掘って埋まります)よって血性が変えられる運命はその血性を持つ対象自身に限定されないのではないでしょうか。
そして、ver2以降のヒーローは「各々「自分が変えた運命がどれなのか」は、わかんねぇだろうが——」【浅桐・第5章109話「世界の最後」】と、自らの行動がどの範囲でどこまで運命に作用しているのかは自身でも判らないことになっているようです。
ということで。連理さんはver2以降のあの振る舞いをすることで、間接的に&無意識のうちに倫理くんの運命を変える手助けをしていたのではないか? と深読みオタクは考えました。
「お父さんはあの後、年末に離婚して、骸骨みたいに痩せて、来年には本を書きあげて……そんで、ビルから飛び降りる。そしてボクはその光景を、目に焼き付ける」【北村・サイドストーリー3話「呪いの持ち込み禁止」】
このムーブを倫理くんの人生に刻み込むことによって連理さんは息子が運命を変える際の一助を担った、とかだったら最高に地獄でやりきれなさすぎて素敵だな、と思います。ウッ……倫理くん周りはいくら噛んでも咀嚼しきれねぇ……ッ!!
あと連理さんのペンネーム『士心路在』の『士心』部分は『志』藤から来てると思うのですが『路在』部分の由来が判らなくてずっともやもやしてます。『路傍の石』?(多分違う)……有識者の方助けて下さい……!
……と、ここら辺のことは考えれば考えるほど妄想に近づく&倫理くん周りの設定が明かされない限り明確な答えが見つからないので画餅にしかなりませんが、画餅は画餅らしくいつか二次創作という形でどうにか自分なりの答えに辿り着いてみたいです。まずは情報集めのためにもっかいストーリーを読み直さねば……!
◎気を取り直してメインスト感想!
自分は
「メインストーリー第1〜4章」
→「各々のサイドストーリー」
→「アライブチャット」
→「恒常カードのストーリー」
→「過去編のイベントストーリー」
→「一周年イベまでのイベントストーリー」
→「1stアニバブック」
→「一周年イベ以降のイベントストーリー」
→「イベントカードのストーリー」
→「メインストーリー第5章」
→「光希くんのサイドストーリー/最終回読了済分岐」
という順番で読み進めていったので、最後の最後になるまでイベスト時空とメインスト時空は同じものだと思っていました。
なのでイベストを読んでいても(でもこの後浅桐さんは……他のみんなも寝たきりに……)と気が気でなかったです。
そうしてメインスト時空=イベスト時空と思い込みながらストーリーを読み進めていたので、メインスト終盤で浅桐さんがワールド・コードの書き換えを提案してきたときはマジで『そう来るか……!!!』と大興奮してしまいました。
と同時に、同じスクエニ繋がりでドラクエ11を思い出して心臓がバクバクしました。自分は自他共に認めるドラクエオタクなのですが、11のクリア後ストーリーには愛憎渦巻く複雑な感情を抱いているのです。
話を横道に逸らしますが、ドラクエ11も一回表エンディングを迎えた後、世界の分岐点へ干渉して文字通り『失われた時を求めて』過去へ戻りもう一度世界をやり直します。
この過去へのタイムリープは主人公ひとりだけでしか行くことが出来ず、クリア後まで一緒に旅してきた仲間は元の世界に取り残されたままです。
ここで『表エンディングまで突っ走った世界a』と『世界aの主人公が過去へ戻って裏エンディングへと仲間を導く世界b』というふたつの世界が生まれます。
プレイヤーが今まで寄り添ってきた世界aからは主人公だけが消え、取り残された仲間の行く末は世界bにいる主人公からは観測できません。
タイムリープ物の宿命なのですが、どうしても自分は(今まで世界aで頑張ってきた仲間たちとの記憶は……出来事は……世界bでは全部パーになってしまうのか……ッッ!!)と悔し涙を流さずにはいられないのです。
たとえ主人公に世界aの記憶が残っていたとしても、グレイグとの凸凹二人旅からの和解、そしてそこからの勇者の盾宣言やセーニャの決意に満ちた断髪&ラスダンでのベロニカの幻を一刀両断する凛々しい姿などなどの出来事が全て水泡に帰してしまう心地がして、どうしてももやもやした気持ちを昇華しきれなくなってしまいます。(けどそれも含めてドラクエ11が大好きなんです。ベロニカには勿論生きていて欲しいしこのもやもやを一生抱えながら11を愛す……!!)
と、このようにタイムリープ系の物語で心を掻き乱された前例があるので内心ドキドキしながらストーリーの行く末を見守っていました。
そうした中でお出しされたのが、『光希くんだけ全てを思い出したver2.0世界』で、『慎くんをヒーローにするためにみんながver2.01世界のバタフライエフェクトを再現しようとする』という展開。
まさに「バタフライエフェクトを狙って起こせ」【浅桐・第3章73話「6度の変化」】ですね。文園こういう過去の展開なぞるやつ大好き!!
ヒーローの変身ポーズはゲーム上の見栄えの為に作られたシステムなのかな? とも思っていたのですが、そんな珍妙な存在がストーリー自体の壮大な伏線になっていたことは素直に驚いたしメチャメチャ感心しました。 ver2.01世界の浅桐さんはワールド・コードに願うことでヒーローの変身ポーズがある世界を生み出しましたが、再構築後のver2.0世界の浅桐さんは結果的にver2.01世界の慎くんが言っていたように自分の力でヒーローの変身ポーズを世の中に定着させていくことになるの、とっても良いですね。
このように、ver2.01世界で起こった出来事たちを影も形もなくしてしまうのではなく逆に積極的に再現していこう、という姿勢を見せてもらったことで(ああ、確かに再構築後のver2.0世界のみんなにもver2.01世界のみんなの魂はきちんと受け継がれているんだなあ)と気持ちの落とし所を見つけることができ、非常に清々しい気持ちでストーリーを読み終えられたことはとても嬉しかったです。
◎まとめ
さて、去年の大晦日からちまちまと読み進めてきたワヒロオフライン版ですが、これで晴れて全てのストーリーを読破することができました。一本どころかシリーズものの映画を全部観きったような、非常に清涼な気分です。
また、ストーリーの節々からワヒロの世界観の解像度を上げるような表現が見受けられたので、ワヒロ世界にずっぷりと浸かることが出来て楽しかったです。
knownsのみなさんのようにモブにもかっちりと設定があったり、日立の親戚のような電器メーカーの名前がしょっちゅう出てきたり……とストーリーの主軸以外の設定も真面目に(?)練られていて、一次創作も嗜むオタクとしてはメチャメチャ参考になりました。そしてユーフラテス本田の名前が頭から離れない呪いにかかりました。ティグリスなんとかさんもいたりするんでしょうか。
まぁそれはともかく、ワヒロは全体的にストーリーに出てくるところも出てこないようなところもしっかりみっちりぎっしりと設定が詰め込まれており、製作陣の愛とこだわりを感じます。こういう細かい設定を詰めていくことで、一気に創作上の世界が身近に感じられるんですよね。
このような感じで丁寧に構築された世界の中で熱い要素がぎゅっと詰め込まれたメインストーリー、ギャグもシリアスもごちゃっと混ぜられたイベントストーリー、そしてキャラの掘り下げをざくっと行なったサイド&カードストーリー、と三者三様の良さがあるストーリーたちが展開されており、非常に読み応えのあるソシャゲでした。
自分はオフライン版の東成都しか体験したことがありませんが、未来はここからだって続いてる!! という精神のもと、ワヒロ沼に浸かりながら続く未来の希望を持ち続けていこうと思います。ワールドエンドヒーローズはいいぞ!!