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私のペルシャ料理が0点から20点満点になるまでの話 ①

最近イランの話を書く事が多いのですが、今日は私がまだイランに行ったばかりの頃の料理の話です。

その前に、まず題名を見て『20点満点』て何?と思われた人が多いのではないでしょうか。日本で満点と言えば『100点』ですよね!

でも、イランでは何故か20点が満点なんです!!
20点って、なんだか中途半端な数字のように思えるけれど、なぜ20点が満点の基準になったのかは未だに分かりません。

しかも、少し話がそれてしまうのですが、テストの答えが正解の場合、丸(○)を付けるのではなく、日本ではハズレの意味の✔←このチェックが正解の意味なんです!!

国が違えば、まる付けの仕方も違うのですね!

さて、話を料理に戻しましょう。

私が初めてイランに行ったのは1997年のこと。
初めは、私の旦那(イラン人)のお姉さんファミリーの家に居候させてもらっていたのですが、少し後になってからお義母さんの家に居候させてもらうことになりました。

まだペルシャ料理のメニューも作り方も知らなかった頃です。
毎日お義母さんの美味しい手料理をごちそうになっていたのですが、ある時から、少しずつ料理を作る時には、私もお手伝いをするようになったのです。

そして、その日がやってきました。
それは、大量の玉ねぎを炒めるだけの、一見とても簡単そうなお手伝いをしていた時のこと。

透き通るくらいになればOK!という玉ねぎの炒め方を基本にしていた私は、「あ、このくらいで良いかな」と思い、「ママ(お義母さん)、これで良い?」と聞いてみました。

お義母さんはフライパンの中を覗き込み、「まだよ」と答えます。
次に、少し茶色くなってきた玉ねぎを見せても、「まだね、もう少し」の返事。

このままではさすがに焦げてしまうのでは?と思ったのですが、「もう少し」と言うママの言葉通りに玉ねぎを炒めていたら、茶色かった玉ねぎがだんだん黒くなってきてしまい、、、。

さすがに慌てた私は、「ママ、玉ねぎが黒くなってきちゃったんだけど」と言うと、お義母さんはフライパンを覗いて、「あらあら、焦げちゃったわね!」と、びっくりした様子。

大量の玉ねぎを焦がしてしまったので「ごめんなさい」と謝ったけれど、いったいどの時点で玉ねぎを炒め終われば良かったのか、どうすれば焦がさないですんだのか、その時の私は全然わかっていませんでした。

気にしている私を見て、「大丈夫よ」「気にしないで」と気遣ってくれる優しいお義母さん。そしてすぐに、お義母さんは新たに玉ねぎをカットしていきます。

しかも、まな板を使用しないで、玉ねぎを手に持ったまま『みじん切り』するんですよ!すごくないですか?
本当にイランの人達って器用だなぁと今でも思います。

ちなみに、後になって知ったのですが、あの時作ろうとしていたのは、甘みとコクが凝縮された「あめ色玉ねぎ」だったんです。ペルシャ料理では、この茶色くなるまで大量の油で炒める「あめ色玉ねぎ」がよく使われているのです。

私の料理は0点だった!?

初めは玉ねぎを上手く料理できなかったけれど、2回目には何とか無事に成功して、お義母さんと共同作業(ほとんどお義母さんの手作りだったけど)のペルシャ料理を食べ始めることが出来ました。

ところが!!!

みんなでペルシャ料理を食べている時に、お義母さんが突然言ったんです。「sakura(私)の料理は20点満点のうち0点ね!」と。

ニコニコして言ってるし、まだあまりペルシャ語を理解していなかった私は、旦那(当時はまだ結婚前)に尋ねました。

「ママ、何て言ったの?」

すると、旦那が言うには、「sakuraの料理は0点だって。」

「え!?」

一瞬、耳を疑いましたよ。

それを聞いていた周りの皆(旦那の妹、ババ(お義父さん)達も、明るく笑っている!!

え!?これって笑うとこ?イラン人のジョーク?
いやいや、日本だったら嫁いびりになるのでは?

私の頭の中は、いろいろな考えがグルグル渦巻いてしまって、もう何が何だか分かりませんでした。

だって、お義母さんは玉ねぎが上手く炒められなかった私に「大丈夫よ!気にしないで」って、優しく言ってくれていたんですよ!?

それなのに、なぜ0点!?
しかも、みんなの前で言うなんて!!!

私は料理が0点と言われたショックで、食事を終えたあと無言でお皿を洗い始めました。そして、強い口調で旦那を呼び出し、文句を言ってしまったんです。

すると、私の様子がおかしいことに気が付いたお義母さんが、「sakura、どうしたの?」と聞いてきました。

旦那は「ママがsakuraの料理を0点だって言ったから気にしているんだよ」と言うと、「sakura!そんなこと気にしていたの?あれは冗談よ!」と言うのですが、もはや何を言われても私の心の中は晴れることはなかったのです。

でも、この0点の話は今では笑って話せる思い出話。
後に、私のペルシャ料理はママから『20点満点』をもらうことになるのですが、その話はまた後日にしようと思います。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました!



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