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不穏なのに止められない!マイベスト韓ドラ2022
韓国ドラマ、年々進化しているな?と感じる中でも個人的TOP2を選出。イケメンとロマコメで日々に活力!という時代は終わり、テーマ選びとそれをエンタメに昇華する心意気が見事。
もはやテレビの前にオンタイムで時間を取られる事が苦痛すぎて、すっかりサブスクエンタメが定着して幾年目。旧年の総括が不完全燃焼でイマイチ2022年を終われた気がしないけど、年明けの3連休までが正月だと信じているので滑り込みでまとめ。
シスターズ on Netflix
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どうしてこんなに面白い?と思いながら一気に完走。小説「若草物語」の舞台が韓国だったら、という想定から生まれたという、貧困家庭に育った3姉妹の話。
ミステリーであり、シスターフッドであり、戦いであり、肯定であり、複雑で先の読めない優れたエンタメだった。テーマは、貧困とお金。誰もが避けては通れないキーワード、お金。それを完全にエンタメに昇華させた作品ながら、所々で考えさせられたりハッとしたり、色んなものを魅せてくれる。
脚本家のチョン・ソギョンは、パク・チャヌク監督と共に「お嬢さん」などを手がけた方と聞いて納得。
ちょっと鈍いバツイチ長女は、さすがのキム・ゴウン、イラッとさせる演技で上手かった。次女はアル中の新聞記者でナム・ジヒョン、三女は芸術高校に通う高校生でパク・ジフ。
全然タイプの違う3人が姉妹としてリアルだったし、家族だからこその遠慮の無さや上手くいかない感じ、別々の方向を見ながらそれでも連携できること。希望の話でもある。
謎めいたエリートをウィ・ハジュン。この人がまた好演。信じて良いのか駄目なのか、意味深に見える微笑みが罪深くて話を引っ張る。
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「原作で長女のメグが魅力なく描かれるのがいつもとても残念でした。だからまず(原作では)結婚したメグ、つまりインジュを離婚させてストーリーを始めます(笑)。『結婚はあなたの道じゃなかった。新しい道を探さないと』と」
「女性は特に、きれいで善良で賢いイメージで描写されることが多かったと思います。もしかしたら女性キャラクターを良く描こうという善意が出発点かもしれないけれど、女性である私たちからすれば現実とは少し違うように感じてしまいます」
フェミニズムが台頭する今だからと女を全肯定するんじゃなくて、女が悪役なのも良かった。若草物語を読み直したくなる。古典から発して、こんな面白い作品が出来上がるなんて!制作の裏側まで興味深くて、文句なしのBEST2022でした。
ザ・グローリー on Netflix
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12月30日公開ながらギリギリで入れてしまった。
「復讐」モノは韓国ドラマの鉄板設定。高校時代のいじめを、大人になって復讐する話。精神衛生上どうかと思ったけれど、見始めたら止められずほぼ一晩で完走。
ソン・ヘギョの真骨頂。近年は元夫ソン・ジュンギをはじめ、年下との恋愛ドラマな印象だったけれど、私的にはこっちの方が断然いい。
いじめのシーンが壮絶なのでその辺りはスキップしてしまったし、苦手な人が要注意。
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注目株の若手イ・ドヒョンも感じの良さと狂気があり、今回初の悪役を演じたイム・ジヨンの意地悪ぶりと顔芸は必見。韓国俳優陣の層の厚さを感じさせる。
脚本は、ヒットメーカーで知られるキム・ウンスク。過去作品は「トッケビ」「太陽の末裔」「シークレットガーデン」など。個人的に「ザ・キング」は重ったるく、「トッケビ」は面白いけれど気になる点もあり…少し食傷気味だったので、ドラマ完走後、え!これキム・ウンスクだったの!?と驚いた。「秘密の森」を手がけたアン・ギルホ監督とのタッグが良き化学反応だったのかも。ベテランのアップデートに膝を正しました。
全8話で、これどうやって完結するのと思ったら、シーズン2が3月公開で今から待ちきれない!
あとは遅ればせで見た「恋愛ワードを入力してください」も良かった。「還魂」は、シーズン1の主役チョン・ソミンのチャーミングさが大好きでハマった故、シーズン2での交代がなかなか受け入れられず。「ウヨンウ」は中毒性はなくも良作なので、ロングタームでちょこちょこ見ている。韓ドラ界のみなさま、今年も何卒よろしくお願いします。