YUKIO TANAKA

ここでは旅行記を中心に、エッセイまたはコラム等の雑記などを書いています。 いずれも、出…

YUKIO TANAKA

ここでは旅行記を中心に、エッセイまたはコラム等の雑記などを書いています。 いずれも、出来る限りしっかりと書きますが、誤字脱字や間違いがあれば適時修正していきます。 書きっぱなしにはしないで、自分が書いた物に水をあげ続けるように・・・。

マガジン

  • 海の向こう側の街

    1997年の11月10日から約1年間、オーストラリアの『パース』という街で体験してきた事を約26年の時を超えて、過去の日記と資料と現在のインターネット技術を使って、より正確に振り返るという少し変わった旅行記です。 こちらは「note」の大黒柱にしたいと思っており、更新間隔に長短はありますが定期的にきちんと更新します。

  • ゲーム関連

    色々とご活用頂いているみたいで、とても嬉しいです。 本来、向かうべき方向ではない記事ですが、人気の上位を占める記事なので、 こちらに『Madden NFL 22』に関係するものを判りやすく纏めました。 また、頻繁ではありませんが、ちょいちょい更新しますね。 一つよしなに。

  • コラム

    こちらは、ちょこっと肩の力を抜いたコラムを纏めました。 その為、力の入れ具合にムラがあるのはご了承下さい。 ほとんど趣味の内容なので、読まれる方も気楽な感じでお願いします。

  • エッセイ

    私なりに、極力しっかりと書き上げたエッセイをこちらに纏めています。 徐々に記事を増やしてはいきますが、こちらはそれなりに時間と体力を使うので、更新間隔は遅めになります。ご了承下さい。

最近の記事

  • 固定された記事

海の向こう側の街 Ep.00<Overture>

 ジェットエンジンが轟音を立てて、機体が大きく右に旋回する。 世界で一番美しい街並みが、旅客機の窓から斜めに傾いてゆっくりと現れる。 パースの街が、僕たちに別れを告げるように見えた。窓側に座っていた妻は「パースの街がどんどん小さくなっていく」と呟く。  飛行機が徐々に高度を上げていくと瞬く間に、街は小さくなり雲の中に溶けるように消えていった。 妻は、目に焼き付けるように、窓の向こうの街並みを眺めていた。一つ、二つと大粒の涙を零し、彼女は静かに取り出したハンカチで涙を拭った。

    • 海の向こう側の街 Ep.26<水深三十メートルの海に向かって>

       さて、一仕事終えた僕たちは、平常の平穏な陸上での生活に戻る予定だった。 しかし、もう明らかに僕たち狙いの第二弾激安キャンペーンを、ネプチューン・ダイビングが打ち出してきた。 海底三十メートルまで潜れる「アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー・コース」を、二百ドルで打ち出してきた。もちろん、先着順で限りが有る。 それを見つけてきたユーゴがタカにサムライで教えると、鼻息を荒くして「これは、もう応募するしか無いでしょ!」と、僕の顔を見てきた。 実のところ、僕は前回の最終二

      • 海の向こう側の街 Ep.25<水深十八メートルの海に向かって>

         僕は、海底約十八メートルの海の底で仲間たちを待っていた。 眼の前はさして何も見えず、薄暗い明かりの中、海底の砂や岩しかない殺風景な場所でインストラクターと一部の二〜三名ほどの仲間たちと待っていた。  スキューバダイビングの講習初日の当日、合計約二十名ほどの生徒が集まった。男女比率は七対三で女性の方が多かった。海に潜る事前準備として、まずは事前に様々なことを知っておかなくてはならないので、当然学科学習があり、その学科学習の教室分けのために、二手に班分けされた。生徒の大半は女性

        • 海の向こう側の街 Ep.24<フリーマントル刑務所としらせと毎日二千の苦行>

           ダイビングショップで指定された通り、フリーマントルにある病院で僕たちは、診断を行うために向かった。ここフリーマントルは土日になると賑わう街で、それ以外の平日はわりとひとけはさっぱりだった。パースでも有名な『フリーマントル・マーケット』は土日のみオープンし、酒場のキレイな女性のバーテンダーの写真を撮ってお客に怒られたり、ここオーストラリアで僕たちは、何も労働していないのに労働感謝祭でフリー(無料)のホットドックを食べた。(日本で働いていた時の労働を労ってくれているんだと拡大解

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        海の向こう側の街 Ep.00<Overture>

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        記事

          海の向こう側の街 Ep.23<フリーマントルの名画座>

           日本にいた頃から、ずっと映画館で観たかった映画がついに公開された。 『タイタニック』だ。ただ、ここはオーストラリアなので、いつから公開されたのかというのがリアルタイムでは判りにくい。 街に張り出している広告から「そろそろなんだなぁ」って判る程度。 日本のように、脅迫じみたぐらいのTVCMなんかもない。(少なくとも当時は) もちろん、英語圏なので日本語字幕は一切無いものの、この映画だけはどうしても映画館の大迫力の画面とサウンドで見たかった映画だった。加えて、そもそも外国の映画

          海の向こう側の街 Ep.23<フリーマントルの名画座>

          海の向こう側の街 Ep.22<ジョーズの世界へエントリー>

           僕たちはだいたい、朝にテレビをつけてミュージック番組を見ていた。 この時に何と言っても流行りまくっていたのは「スパイス・ガールズ」「バックストリート・ボーイズ」「AQUA」「ハンソン」だった。兎にも角にも、パースシティに行ってもテレビをつけてもこの四組のどれかの曲を耳にしたし、いずれの曲もとても耳についた。  僕たちは、特にやることがないと近くのフリーマントルには行かず、必ずパースシティに行っていた。それは『パース商店街』と揶揄されても、やっぱりフリーマントルより人が多いし

          海の向こう側の街 Ep.22<ジョーズの世界へエントリー>

          海の向こう側の街 Ep.21<バニラ・シェイクと魔の右カーブ>

           その日、僕はドキドキしながら、ジェイソンの電話番号に電話をした。 まるで、初めて小学校の時に友達に電話をして、知らない親に「お楽しみ会」の準備について伝える時と同じ様な緊迫感。 いや、明らかにそれ以上だ。 映画で何度か聞いたことはあったが、海外の電話のコール音は一回一回が長く、その間の間隔も長いので、一瞬切れたのかなと思ったらまた長いコール音がなる。 『トゥルルルルル〜……(忘れた頃に)……トゥルルルルル〜』といった感じだ。 「あぁ、外国で電話をしてるなぁ」と、その音を聞い

          海の向こう側の街 Ep.21<バニラ・シェイクと魔の右カーブ>

          海の向こう側の街 Ep.20<SPORTSCOでの出会い>

           気温四十度超えが当たり前のオーストラリアは、直射日光が凄いし乾燥も凄いが、日本の夏のような暑さがないのでまだ過ごしやすい。 (ただ、顔に蝿がたかるのだけは勘弁して欲しい) 一九九四年の猛暑(約三十八度)をクーラー無しで乗り越えて来た僕には、むしろ心地良いくらいだと自負していた。(湿度がここまで無いとこれほどまで違うものなのかと感動すら覚える)それになにより、僕は帽子が全く似合わない顔立ちなので、絶対に帽子は被らないと強く心に決めていたし、今まで一つも買ったことがなかった。

          海の向こう側の街 Ep.20<SPORTSCOでの出会い>

          海の向こう側の街 Ep.19<酒とタバコとホームシック>

           僕はパスタを食べ終え、食後に煙草を吸うためにベランダに出て、二十五本入とはいえ当時でたった一つだけで約七百円もする今日買ったマルボロの外箱にこれでもか!と書かれている注意書きをみて少し引く。煙草を吹かし、こうやって完全に異国で一人ぼっちでベランダで寛いでいると、日本で日頃何気なく親や友人達と気兼ねなく話していた当たり前の日々をふと思い出した。 今の僕がいるこの場所は、テレビをつけても全て英語で何を話しているか全く判らないテレビ番組ばかりで、本屋に行ってももちろん全て英語の本

          海の向こう側の街 Ep.19<酒とタバコとホームシック>

          海の向こう側の街 Ep.18<素敵な隣人とスキンヘッドと言葉の壁>

           僕は朝起きると服を着替え、行きつけの店に向かうのが日課になっていた。 家の前のギボン・ストリートを駅側に向かい、ビクトリア・ストリートを右手に曲がると、個人経営をしている小さな商店があった。(残念ながら今はもう無い) 日本でいうと、最近ではめっきり数少なくなった個人経営でパンとお菓子の販売を行っている「神戸屋」に近いイメージだった。 お店には、愛想の良いおばさんとおじさんが居て、オーストラリアというか海外ならではのポテトチップスやスナック菓子と、コーラやスポーツドリンクの様

          海の向こう側の街 Ep.18<素敵な隣人とスキンヘッドと言葉の壁>

          海の向こう側の街 Ep.17<セガサターン、大地に立つ>

           僕たちが「Cash Converters」の「ベルモント店」を出て、徒歩でなんとか駅に向かおうとしたその時、車のクラクションが何度か鳴った。 僕たちの後ろから車が来ているのかと振り向いたが、そこには車はなく前方の車道にも走っている車はなかった。 「なんだろう?」と思いながら、そのまま歩き始めるとまたクラクションが数回鳴った。 今度は、ある程度クラクションを意識していたので、音の方向が正確に判った。 僕たち二人は、ほぼ同時にクラクションの鳴った方向を向くと「バーズウッド駅」か

          海の向こう側の街 Ep.17<セガサターン、大地に立つ>

          海の向こう側の街 Ep.16<念願のNTSC規格の中古テレビと寛容性>

           いよいよ「ベルモント」にある「Cash Converters」へ向かい、取り置き済みの「NTSC規格の中古テレビ」を手に入れる日が来た。 昨晩は、僕とタカで夜遅くまでギターを弾いて過ごしていたのだが、特に朝からの予定もないので十時頃までウダウダと寝ていた。 朝起きると、タカはまだ起きておらず、僕はジーパンとTシャツに着替え、冷蔵庫から冷えたコーラを一つ取り出し、ベランダに出て窓を閉め、まだ見慣れない景色を眺めながら、日本から持ってきていたラッキーストライクを一本取り出し火を

          海の向こう側の街 Ep.16<念願のNTSC規格の中古テレビと寛容性>

          海の向こう側の街 Ep.15<知らない街とギター>

           僕の、旅行鞄の大半を占めていたのが「セガサターン一式」と「そのソフト三十本」だ。 今考えても正気の沙汰ではない荷造りなのだが、この当時はこれが「ベストの荷造り」だったのだから仕方がない。 ともあれ、さぁこれからタカと共に生活をするわけだが、あいにく備え付けのテレビは『PAL規格』だった。 この規格は全世界で統一されているわけではないし、民主主義と社会主義で分かれているのでもない。単純に色々な歴史的背景から「国々によって異なる」だけだ。 日本は『NTSC規格』で統一されている

          海の向こう側の街 Ep.15<知らない街とギター>

          Call of the Wild: The Anglerでの魚の釣り方

          今年は、我が「アリゾナ・カージナルス」が駄目すぎるので、『Madden 24』は購入すらしていませんし(なぜホプキンスを手放すかね?)、試合結果は「オードリーのNFL倶楽部(実際は「春日のNFL倶楽部」)」しか観てません。どうせ来年のカージナルスも成績は振るわないだろうし当分Maddenシリーズは買わないだろうな。ただ、次の『Madden 25』が以下のジャケットになるなら、トラビス・ケルシーのために予約して一番高いエディションで買ってやるよ。w 『Call of the

          Call of the Wild: The Anglerでの魚の釣り方

          海の向こう側の街 Ep.14<新しい生活>

           僕と、タカと、通訳兼オブザーバーのジュンと、再度フリーマントル線に乗り込みビクトリア・ストリート駅に到着した。 想像とは大きく異なり、とてもシンプルな駅で降りるとインド洋が直ぐ側に広がるとても綺麗な風景が印象的だった。 ジュンが流暢に通りすがりの人に、物件の「201 GIBBON COURT 13 Gibbon St, Mosman Park」の場所を聞きながら僕たちは見知らぬ街を歩いた。 意外にも駅から近くにあり、閑静な住宅街に目的の家があった。 直ぐ側にはちょっとした公

          海の向こう側の街 Ep.14<新しい生活>

          海の向こう側の街 Ep.13<タカとの出会い>

           夕飯の仲間たちともすっかり打ち解け、ブリタニア・ユースホステルも自分の家のように慣れ親しんできた。 ただ、このままでは些か消費が激しく見通しが少し不安に思えてきた。 日々の出費と、これからの残金を考えると生活は出来そうだがやはり不安は拭いきれなかった。この間の韓国人たちは一つの部屋を複数人でシェアして住んでいた。 ひょっとすると、定住する僕はそっちの方が安上がりなんじゃないか…… 僕は一度考え込むと、深く掘り下げるタイプで夕食を終えて仲間たちが自室に戻った後も、共同ダイニン

          海の向こう側の街 Ep.13<タカとの出会い>