【レビュー】
1. Komorebi-(木漏れ日)
曲名の様に陽の光に照らされている様相を描いた様な非常に恍惚とした明るい楽曲であり、アルバムの一曲目としても持って来いの曲であると想います。
2. L'Envol-(飛翔)
YouTubeにてドラマチックなアニメーションのMVが公開されている楽曲。曲名に『飛翔』とある様にこちらも伸び伸びとして、空に羽ばたいている様相を描いた様な多幸感の流れを汲む曲でありつつも、Komorebiとは異なり、夕陽を眺めて佇んでいる世界観を感じて安心感を覚えます。再びAlcestの1stアルバムに回帰した優しいシューゲイズなサウンドで"あの頃"を懐かしむ気分になったり。楽曲の後半にてNeigeによる咆哮(ブラックメタル・シャウト)が導入されますが、それは威嚇表現ではなくて今は自分のそばに居ない愛しいパートナーの恋人を求めて叫んでいる様な寂しささえ覚えます。明るさと物寂しさが同居した楽曲です。
3. Améthyste-(アメジスト)
イントロのトレモロリフで始まるこの楽曲はコーラスが実にエモーショナルで感傷的であり、神々しいクリーンVo.と同時の咆哮に乗せて疾走する流れは実に清涼感に溢れており、そのサウンドを生み出すセンスと音楽的手腕にリスペクトを示してしまいます。
4. Flamme Jumelle-(ツインレイ=運命の相手、魂の片割れ)
穏やかで牧歌的なバラード調のミドルテンポな楽曲です。煌びやかなシューゲイズ・サウンドに包まれており、のんびりと聴いていたくなる世界観です。ツインレイとはスピリチュアル用語で『魂の片割れ』や『この世に1人しかいない運命の相手』を指します。前世から現世へ転生する際にひとつの魂が分離したとされており、もともと同じ魂をもった者同士、自分の半身のような存在の事を言います。そんなロマンティックなこの楽曲はYouTubeのMVにおいても2人のカップルと想われるダンサーが躍動感豊かに踊っています。
5. Réminiscence-(回想)
不思議な感覚さえ覚える浮遊感溢れるピアノで始まるイントロであり、チェロの様に重く響く弦楽器のヴィオラ・ダ・ガンバと言う、とても古い楽器を用いた楽曲。和訳に『回想』とある様に今までの人生や前世であったことをふと思い出して色々な事が走馬灯の様に頭を流れていくようです。間奏曲の様ですが、Neigeにとっては深い意味があり、イントロのピアノはNeigeの祖母の物であり、Neigeの家族の楽器を用いてこの楽曲を収録したのだと証言しています。
6. L'Enfant de la Lune-(月の子)
日本人と想われる女性による『今宵、星達は躍る…、、、』等の日本語の詩の朗読から開幕するこのアルバム最後の"キラーチューン"は詩の朗読が終わった途端にブラストビートと共にクリーンVo.で爆走していきます。何かに急かされてか、何か事情があって切羽詰まっているのか、自分のパートナーの恋人を求めてか、何かに追われる様にこの曲はアルバム最後のキラーチューンとして存在感を現しています。そんなこの楽曲の世界観はもう既に壮大なクリーンVo.が響き渡る月夜が照らす時間を迎えており、クライマックスまで迫りつつあります。
7. L'Adieu-(別れ)
アルバムのラストトラックであるこのアコースティックな楽曲『L'Adieu』は古風な英語の意味でFarewell(さらば)を現すものであり、アルバム序盤〜中盤で一緒に戯れていた運命の相手(ツインレイ)とのお別れを暗喩的に示している様相を現している様な非常に艶やかなアコースティックギターサウンドにグッと来てしまいますね。