ゾンビゲーム

 また一人。あなたもですか。かれもですか?そしたら次は、

 私ですか?

 彼が残した言葉は、あまりにも素直で、あまりにも優しくて、あまりにも律儀で。だからこそあまりにも残酷だ。

 彼はもしかしたら、見てはいけないものを沢山見てきたのかもしれない。言えない秘密に今までずっと支配されていたのかもしれない。ずっとずっと孤独だったのかもしれない。

 何一つ消せはしないけれど、何一つ忘れられやしないけれど、戻せないのなら始めたい。もう一度信じてほしい。[from zero]

なんて書けてしまう彼は。

 本当はずっと謝りたかったのかもしれない。

 仲間はなんの関係もありません。彼等は私のために止まって傷つくには、あまりにもいい人たちです。そんなことを言えてしまう彼は、これまでずっと何を思って日々を過ごしたのだろう。

 ただのファッションの一つなのに。別に恥ずかしいものでもないのに。女性だからって隠す必要はどこにもないと思うんです。そうやって明るく微笑んだ彼女が。どこまでも強くて、どこまでも美しかった、可愛かった彼女が。

 もうこの世界にはいないなんて。

 文化祭委員やってみてもいいかな、なんて恥ずかしそうに手を挙げたあの人は。優しくて明るくて元気いっぱいだったあの人は。結局文化祭には来なかった。

 三人に共通点なんてどこにもない。だけど。

 一人。一人。また一人と空気が薄くなっていく。

 私は不謹慎かもしれないことなどとうに承知の上で、彼の言葉を思い出してしまう。

今まで耐えてきたのが偉いでしょう。
これ以上言葉はいらないから、お疲れ様って言ってくれ。

 
 これで良かったんだ、なんて。彼等がしたいようにすればよかったんだよ、なんて。

 とてもじゃないけど私には言えない。

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