ささやかな蝋燭を一本。祈りながら吹く。
松村北斗。
つい数か月前まで一ミリも知らなかった名前。
一度見つけてしまったら、目を逸らすことなんか出来っこなかった。
何故この人がアイドルを選び続けて生きているのか。何故こんなにも長く芸能界という世界で生きてきて、芸能界になんか身を置いていませんからみたいな表情が作れるのか。普通の感性を持ち続けていれるのか。何故そんなに藻搔きながらも「演技」という仕事にこだわり続けるのか。
私には何も分からない。
あまりにも当たり前のような顔をして、貴方はまるで普通に生きているかのように喋るから。だからハッとしてしまう。
限りなく私に近いように感じるのに。あぁそう考える気持ち分かるなぁと、そういうことばかりなのに。
少しひねくれた子供時代のことも。
「共感性羞恥」という単語をさらりと使ってしまう感性も。
コンプレックスを持っていることを可愛いと思う価値観も。
読む本も。
健康への気の使い方も。
分かるなぁと思う。ひどく似ているように思ってしまう。
なのにいつも、大事なことは何一つ分からない。何故、何故、と雑誌を読み漁ってしまう。貴方の言葉を漏らさずに聞きたい。そしたら分かる日が来るかもしれない。私はそれをどこかで期待している。
傲慢な気持ちで貴方のことが好きで。我儘な気持ちで貴方のことを見つめている。
貴方を分かりたくて。貴方のような大人に憧れている。
絵を見に行くことに時間を割くような。忙しくても本を読むような。文章を書くことから逃げないような。普通の感性をずっとずっと忘れないでいれるような。そんな貴方のカッコよさに、私は焦がれている。
今日は一年に一度の貴方の誕生日。
貴方が幸せだけに包まれる一年を送ることを祈って。