自分
動物編
ブラック①
タロウが亡くなってしばらくして、どうもやはり犬がいないと寂しいし、不用心だという事で、また犬を飼う事にした。
どこからも貰う犬も無さそうだし、その頃ラブラドールレトリバーが流行ってたのもあって、ペットショップに見にいった。
お目当ての犬は2匹いた。
黒のラブラドールの子犬。
両方ゲージから出して見せてもらうと、1匹は大人しめで静かにお座りしていて、もう1匹は元気いっぱいで走り回ってる。
あまり小さい頃から大人しいのも病気になったりしてもアレだから、という事で元気な方を家族に向かい入れる事にした。
これがある意味間違いの一歩であった。
それでなくてもラブラドールは、興味津々で遊びたがり屋、子犬だからと次男の部屋にゲージを設置して遊ばせてたら、ゲージをぶっ壊して机や椅子をガジガジかじってボロボロにするわ、壁に穴開けるわで、1ヶ月もしないうちに外飼いになった。
初めての散歩の時は、ゲージ生活しかしてなかったせいか、歩き方が分からないみたいで、人間で言うと緊張して手と足が同時に出ちゃうみたいな、そんなぎこちない歩き方だった。
とても食いしん坊で、ものの数秒で餌を食べてしまい、「もっと!」みたいな顔でこちらを見るので、ついつい親バカ発揮であげ過ぎて、見る見る巨大化していった。
あまり大きくなり過ぎると、散歩で家内も逆に引きずられる事になったり、肥満で病気になってもダメだからという事で、ダイエットもさせられた。
だからいつも空腹状態であった。
散歩はほとんど私の役目で、他の犬や人を見ると危害は加えないものの、遊びたがって飛びついて行こうとするので、その押さえ役が私であった。
ブラックには仲のいい友達がいた。
近所で家内の友達の家の柴犬、マーブル。
マーブルは大人しくて、いつも餌を残してちょっとずつ食べてるのだが、ブラックが遊びに行くと、その残しておいたマーブルの餌をバクバク数秒でたいらげる。
それを嬉しそうに見ているマーブル。
散歩の途中で会っても、マーブルの方から近づいて来て、ブラックの背中をジャンプして飛び越えたり匂い嗅いだりして2人で遊んだりしていた。
ある日、いつも通りブラックの散歩をしていると、向こうから杖をついたおばあちゃんが歩いてくる。
ブラックもそれに気付き、遊ぼうと思ったのかおばあちゃんに向かって突進して行こうとしたので、リードを思いっきりグイッて引っ張ったら、なんとつなぎ目が切れてしまった。
切れた勢いでブラックは、飛び跳ねながらおばあちゃんに突進!
まるで黒い暴れ馬!
それに気付いたおばあちゃん、「ひえっ」て声にならない悲鳴を上げて、杖を放り出して逆の方向に逃げて、よその生垣にしがみついた。
ブラックは危害は加えないので、おばあちゃんのお尻に鼻をくっ付けて匂いを嗅いでるだけ。
ようやく追いついた私は、深々おばあちゃんに謝罪して、笑いをこらえながらブラックを連れて帰宅した。
しかし、もし転んで骨折とかになると、大変な事故になってたのは間違い無い事なので、今思えば笑い事ではなかったのだと反省する自分であった。
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