![_土偶](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/15552965/rectangle_large_type_2_868207a61eb329dc1a94cb905a9ccad1.jpeg?width=1200)
土偶のどこを見る?
土偶がそこにある。
その時あなたはまず土偶のどこを見るだろうか。顔でしょうか? いやたいていの人は顔を中心に土偶を見る。それは研究者も同じだ、いくらこの文様が…とか。大木7aに並行する…とか言ったとしても、どうしたって顔を見ちゃうのが人間の性なんだろうと思う。
でも実は土偶にとって本来、顔は重要ではなかった。最初期の土偶はそもそも顔はなく胴体のみというおよそ人型とは言えない(それでも人型とわかる)造形をしていて、顔がつくのにはかなりの時間を要した。このことからも顔の優先順位が低かったのは言わずもがななのでは無いだろうか。
「顔が重要だからこそ作らなかった」という論説も成り立つのが縄文人の精神性の面白さでもあるんだけど、その話はまた今度。
顔を見るんじゃなければどこを見るかと言えば、答えはない。土偶によるとしか言いようが無い。しかしよく見てみると縄文人は「ここは」というところにはしっかりこだわっている。例えばいろんなものを省いたのに鼻の穴だけはしっかりつけたり、背中からお尻のラインになぜかこだわる時期と地域があったり。
土偶の見方の一つとして、僕がオススメしたいのは、その土偶の制作者である「縄文人がどこにこだわったのか?」というところを探してみるということだ。そこを見れば、彼、彼女たちの大切にしているものが見えてくるんじゃ無いかと思う。
今年は縄文の企画展が多くてちょっと目移りするんだけど、ちょっと気になる土偶がいくつか出ている企画展が箱根・岡田美術館で開催されている。特別展「DOKI土器!土偶に青銅器展―はにわもいっしょに古代のパレード―」。縄文だけじゃないからなかなか行けてないのですが、写真をいくつか見せてもらったのがどうにも気になってここで紹介させていただきます。
気になるところはいっぱいあるのだけど、この土偶の僕が一番いいなぁと思うのは「表情」。見方によっては笑っているようにも怒っているようにも悲しんでいるようにも見えるこの不思議な顔つきはなかなかな造形なんじゃないでしょうか。
このハート型の顔をした東北でよく見られる土偶も期になるところがたくさん。この目立つ髪型をスルーして僕の一番気になったのはズバリ「手のひら」。このくぼみの絶妙さになんだか思わず触りたくなります。でも数えると指が6本? こだわっていたのか縄文人!?
こちらの山形土偶もいい表情をしている。お腹(これは中空になっているのか??)におっぱいにこの首を傾げたポーズ。どれも最高にこだわりが見て取れるけど、僕の気になったのは「膝小僧」。足のポーズも含めてなんて愛らしい膝小僧なんだろうと惚れ惚れします。
なんてことを思いながらわけのわからない縄文を楽しんだりするのも、この秋オススメですよ。
岡田美術館の展示は来年3月までですが、この土偶たち、普段は展示されていないそうなので、この機会にぜひ。
台風の影響でしばらく開館できなかったそうですが、今月21日から通常通り開館されているそうです。よかったよかった。