ムスリムというだけで生きる場所を失う、フィリピン
『フィリピン 最底辺を生きる』著:山本宗輔
フィリピンでは、ムスリムというだけで就職口が拒否されることがある。
同じ能力であれば、クリスチャンが選ばれる。
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「ムスリムは文化的にフィリピノ(クリスチャン)社会に
飲み込まれることを望まないんだ」
地元リポーターの言葉である。
人口1800万人のミンダナオ島の人口のうち、
ムスリムは4~500万人。おおよそ4人に1人の割合だ。
しかし、米軍統治が始まった100年前の時点では、
2人に1にがムスリムであった。
統治開始後の20年間で、ムスリムは米軍と約190回の戦闘を経たという。
その後は入植政策により周辺の島民がやってきて、
ムスリムは少数派となっていった。
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戦争、政治、そうしたことを背景に
不当な差別を受け、貧しさを押し付けられている人々がいる。
貧困のために、日本に出稼ぎに来る人々が後を絶たない。
私はこの春に大学を卒業したが、
年の変わらない女の子が、日本のフィリピンパブで
裸のような恰好で、お金を稼ぎ、祖国の家族を6人も7人も、養っている。
「女」を売って生計を立てることは、人生を切り売りすることである。
あなたの娘が、こうした立場に立たされた時、どう思うだろうか?
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私は
「仕事を選ぶ権利」を、もっと、もっと届けていきたい。
それには雇用創出の課題があるかもしれない。
言語の壁があるかもしれない。
文化の違いがあるかもしれない。
それを乗り越えるなにかを、私は皆さんと考えて、作りたい。