
Photo by
yasmagic_ring
42 パワハラしている同僚
同僚に困っている。
同僚などと言うのがおこがましいくらい、名の知れた大御所である。もちろん学部生の頃から知っていたし、共著論文を読んで尊敬もしていた。
しかしパワハラの加害者らしいという噂を一度だけ耳にしていた。そんなはずはないだろうと思っていたが、一緒に働いてみて、噂は本当だと確信をもつようになった。研究者としても教育者としても尊敬できない点が積み重なり、なぜ「こんなん」があんなに有名なのかと思うようになった。
学会での地位とか勤務先の知名度とか、本当にあてにならない。ぱっと見の業績も意外とあてにならない。色んな人間関係で共著者・編者に入れてもらっているけど本人はぱっとしない人っている。大御所でも。
院生の頃はこういう大御所になにも言い返せなかった。どこかで悪い噂を流されたり採用を妨害されたりすることにいつも怯えていた。
今は専任となり、大学を移る可能性も低いので、年長の研究者にも言い返すことができるようになった。しかし院生や年下の教職員はそうもいかない。院生たちに報復されないようにハラスメントを止めるにはどうすればよいか。昔とは別の悩み方をするようになった。
ただ、中年になった自分は知っている。不快な年長の研究者たちは、そう遠くないうちに定年を迎えて勝手に消えていく。その日を待っている。