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2 拝啓 老害になった教授様

もう何年も、あなたの話を聞き続けてきました。
学会でも会議でも、大半の時間はあなた一人が話していました。
年齢を重ねるごとに時間の独占はひどくなり、内容も同じことの繰り返し。
この6年くらい「早く退職してほしい」と思いながら、あなたの話を聞いていました。

あなたは定年を迎え、やっと退職してくれました。
やっと辞めてくれた。そう思っていたのに、
あなたは現役の教員である私に「自分を客員研究員にして研究費をくれ」と言ってきました。
血管が切れるかと思いました。

あなたの教え子は皆あなたと食事に行かなくなったから、
微妙に縁の遠い私を頼ってくるんですよね。
皆が離れた理由、わかりませんか。

早く引退してください。
もう疲れました。先生の話を聞くことに。
あなたのことを老害なんて思いたくなかったです。
いや6年くらい思ってたけど。
敬具