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36 まだ死にたくない

過労死しそうだ。休みがない。
土日は入試や外部組織の委員や出張で潰れている。自宅が仕事の合間に帰る給水所みたいな位置付けになってくる。

現在の大学は仕事量が多いのもあるが、予定が急に入ってくるのがきつい。2週間後の土曜日に出勤してくれとか、今日ハンコを押すために大学に来てくれとか。
子供、老人、病人のように一人で置いていけない家族がいたら成り立たない。
今の学生はメールを見る習慣がないのでLINEで繋がりたいと言うが、これ以上不意打ちの連絡を増やさないでほしい。応じられる余裕がない。

ベテラン教授が飲み会だの勉強会だのを月曜日に入れてくるのもきつい。有無を言わさず全員参加である。頼むから授業の準備をさせてほしい。一度休もうとした教員がいたが、ネチネチ攻撃されて結局出ていた。

ネットで「大学教員は周りの教員を気にしすぎだ」と見て、確かにと思った。周囲の教員がどれだけ適当な教育をしていようが、学生を放置して先に帰ろうが、放っておけばよいのだ。この場所をよくしたいなどと思っていたが、余計なお世話である。そういう期待と介入が組織を息苦しくする。自分だって同じように介入されれば嫌がるのに、他人に同じことをしそうになっていた。

周りは気にしない。
忙しくても死なない。
まだ死ねない。
書き終わっていない論文があるから。
晴々とした気持ちで旅行にも行けていないから。