3 研究者に金を払ってくれるのは誰か
大学教員として、次のような仕事をしている。
金をもらえる校務>金をもらえる講義>
(大学にノルマを課されている)
金にならない学生対応>金にならない学会活動>金にならないマスコミ対応>
(やってもやらなくても給与に影響しない)
金にならない自分の研究
(誰にも求められてない)
一番やりたい自分の研究は、金にならないし管理もされていない。だから金になる仕事よりも後回しにせざるをえず、「こんなに研究ができないのなら、なんのために教員になったのか」と苦しんできた。
大学には帰属意識をもてず、学会や研究会こそが自分の居場所だと思ってきた。
しかし、ようやく気づいた。
大切にしてきた「居場所」は、自分の地位をなんら保証してくれないと。
大した能力のない自分に毎月給料を払ってくれるのは大学である。
定年までの地位を保証してくれるのも大学である。
ほかに自分にここまでしてくれる組織や人があるだろうか。ない。
ずっと研究が一番大切で、その場の人間関係こそ大事にしようと思ってきたが、もうアカデミア世捨て人になったっていいのだ。
学会を全部辞めても人付き合いを全部絶っても生きていける。
そう思うとだいぶ楽になったし、大学に対する感謝と忠誠心が芽生えた。
こう思うほど、専任のポストを獲得し、さらに納得のいく大学に移るまでは、まわりのコネとか評判とかを気にし続けなければならなかった。実際にはコネも評判も採用になんら影響しなかったのだが。ずっと洗脳されていた。
やっと一人になれるのかもしれない。