どうして茅葺きを残したの?①畠田さん
茅葺きにまつわるおはなし
神戸には日本で一番茅葺きが残っているって知っていましたか?
茅葺きのイメージって「文化財」とか「観光地」みたいなイメージがありますが
まだ人の家として使われている茅葺き屋根が、神戸にはたくさんあります。
もちろん、私の担当エリアである「山田町」も茅葺き屋根の家にお住まいの方がたくさんいます。
どんな思いで、茅葺き屋根を残しているのか、今までとこれからの話を、聞かせてもらいました。
今回は第1弾、畠田さんのおうちにおじゃましました。
とても古い家、いつからのもの?
30年前、京都大学の先生が調査をしに来てくれたそうです。
その時は、150年くらい前の家ではないかと推測されました。
畠田さんは50年前くらいに嫁いできたそうで、完全にいつからのものかを特定するのは難しいようです。
とても古いお家なんですね。
茅葺きがみんな好きだった
なぜ茅葺きを残したんですか?と聞いてみると…
「茅葺きが好きだから。みんな大事にしていた。」
とのことでした。
落ち着いた感じ。夏は涼しく冬は暖かいところが、個人的に好きなところだそうです。
茅葺きの持つ雰囲気には、私も古き良き日本のものづくりの魅力を感じます。
ただ最近は、家が古いため歪んできて隙間だらけで、冬は寒いそうです😅
使ってる部屋だけ暖房、冷房などをしているのだとか。
特にここ2.3年は夏も暑く、気候の変化も感じているようです。
くさかんむりとの出会い
実は畠田さんのご自宅は数年前、くさかんむりが一面を葺き替えしたお家です。
その前は吉川町の谷川さんという方や、淡河の職人さんに依頼していたそう。
旦那さんから聞いた話だと、もっと遠くから来てたときもあったようで、
その時、職人さんは畠田さんの家に泊まり込みで作業をしていたんだとか。
今は少なくなってしまいましたが、昔は近くや知り合いに茅葺き職人がいて、頼んでいたようですね。
そんな畠田さんとくさかんむりの出会いは神戸市文化財課の紹介を通してでした。
当時、若い職人さんだらけでとても驚いたそうです。
仕事ぶりに対しても、
「相良さんの仕上がりが素晴らしい。あんなに綺麗なの見たことない。作業が力強い、しっかり出来上がる感じがする」
と絶賛してくださいました。
好きだから残したい…課題は?
茅葺き屋根の上から瓦をかぶせる「トタン屋根」にする家も多くあります。
そんな中、畠田さんはトタンにする考えは一切なかったそう。
とにかく茅葺きのことが好きだということが、畠田さんのお話を聞いて伝わってきました。
しかし、大きな課題は維持管理の費用。
民家だと、全部の葺き替え費用は約1000万もかかると言われています。
今までの工事の仕方は、屋根の4面を北、南、両脇と順番に葺き替えをすることで、一気に葺き替えはしていたかったそうです。
10年、10年、くらいのスパンで葺き替えをしつつ、その間に小修理をしないといけないというような維持管理をしていました。
現在は神戸市から文化財の指定を受ければ、補助金が出る仕組みになっています。
それは助かっているけど、それでも定期的に修理をしなければいけないのはとても大変だそうです。
それでも「好きだから今後も残したい」という気持ちがある一方で
娘さんに負担をかけてしまうことも心配されていました。
維持管理が大変だからなんかいい方法はないかと考えているそうです。
受け継いできたのは屋根だけじゃない
先祖代々受け継がれてきた茅葺き屋根のお家。
茅が外から見える状態で残してきたのは、所有者の方の熱い想いからでした。
昔のものが玄関先に飾られていたり、なんだか家自体が博物館であるかのような感覚になりました。
屋根だけでなく、その家族に受け継がれてきた昔のもの、家族の思いなども一緒に伝えていきたいなと感じました。
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