見出し画像

猫が気づかせてくれた。神

猫を飼い始めて約5ヶ月ほどになる。
(飼うきっかけは、後日説明する。)

虚勢が無事終わってから、この子は尚更おっとりというか、穏やかな性格になってきたと思う。

私も人から言われるのは
落ち着いている、大人しい、ポーカーフェイスなどなど。
内心は燃え上がるような怒りを抱え込んでいるのは、心療内科のカウンセラーくらいにしか気づいていただけない。


隣人宅から子供の悲鳴が聞こえるようになったのは、コロナが流行り出した頃からだと思う。
その前から、隣人のことは気に食わなかった。

一家の主人が肝臓の病気で入退院を繰り返すようになると、長男のタケオが実家にもどってきた。余計なクズ(嫁と子供を連れて)。
バカそうなガキどもをバカ親は毎週末、私の家の裏側の駐車場で遊ばせていた。そこは公民館の駐車場であって、隣人宅の土地ではないにもかかわらず、我が物のように。
ただでさえ私は人間の子供(特に日本人)に対してただならぬ嫌悪感を感じるというのに、ウチの家の壁に何度もボールを当てて来るから、出て行って怒鳴りつけてやろうとした。それを何度も母に止められたのだ。「一応、親戚だから。気まずくなるのは、ねぇ」だからといって、私達がなぜ我慢し続けるのだろうか。全く不本意である。

その上、コロナ禍の騒動が始まり出した年に4人目が生まれたと報告してきやがった。

まるで嫁が旦那の実家を乗っ取るかのように、主人は急に、死んだ。
そして、喪中にもかかわらず、嫁の智子は「新しい家族が増えました」と姑抜きの家族写真の年賀状を送りつけてきた。
喪中には年賀状など祝い事を慎むのが日本人としての常識というのが、バカ嫁智子は気づいていないんだろうと思う。
おまけに今更のキラキラネーム。
家族写真の全員の顔をマジックで塗りつぶしてポストに入れ込んでやろうかと思った。

通夜だけ参加した私は、初めて嫁の顔をまともに見た。硬そうな皮膚の上に粉っぽくファンデが塗られて目はつり上がり、まるでキツネの面をかぶった妖怪みてぇだな、と思って挨拶すら避けた。

智子の方も私を警戒しているのはわかった。
バカなガキどもが裏の駐車場で馬鹿騒ぎしてる時に「死ねよクソガキが!」と怒鳴ったのが聞こえたんだろう。
今まで殺意を抱かれるほど対人関係に悩んだ経験がないか、もしくは他人に呪い殺されそうになるほど憎まれていることに気づいてこなかったのか。

私の怒りの矛先は一直線に智子へ向かった。
繁殖しか能力のないバカ女。
バカの一つ覚えみたいにできたら産んでの繰り返し。

智子が奈落の底へ転げ落ちていく小説も書いてみた。

それで、きが収まるわけもなく、バカなガキどもの粗相はエスカレートし、なんどもキチガイの猿みたいな悲鳴が聞こえて、我慢の限界だ、と市役所に連絡をした。
その日は週末で、返信がくるのは早くても月曜日。
鳴り止まない悲鳴。
このまま耐えるのは無理だ。

24時間繋がる児相へ電話した。

どういった対応をしたのかは知らんが、私の不在中に向こうの父親(タケオ)が私の母に接触をしてきた。

「悲鳴は止められない、と謝りにきたよ」母は私が通報者だと疑っているようだった。
しらばっくれたけど、児相に電話した時点で今の状況よりはマシになっていくのだろうと期待していくらか気が楽になっていた私は、またズドンと気が重くなった。頓服の安定剤を飲んだ。

悲鳴は回数はへったものの、今でも夜遅くに近所中に響き渡ることがある。
児相にもう一度、今度はメールフォームで連絡した。
何も改善されない。

市役所にも連絡した。
福祉課に連絡し、事情を説明して精神障害者の申請をしたい術を話したが、引っ越しするなら住宅課で相談できると言われただけだった。
環境安全課に連絡したが、地域コミュニティでどうにか話し合いしてもらうか法テラスに相談してください。と言われた。

法テラスに連絡したら「何が望みなのだろう」と聞かれた。市役所がなぜ法テラスを紹介したかは知らんが、法でできることは損害賠償の請求くらいだ、と言われた。

私が希望していた事、
それは「公民館駐車場で子供を遊ばせるのは近隣住民にとって迷惑だと匿名で苦情があった」と書面でもいいから本人達に伝わるようにしてほしいと言っただけ。

密集した住宅街で男児4人も住まわせる事自体が迷惑行為だというのに、鈍感なあの家族らが気付けばいい、と思っていたのだ。
役所はたかが、一枚の手紙を発行するだけのことをしぶりに渋って文字通り、たらい回しを食らった。

精神力を消耗し、疲弊しきったのに、誰も助けてはくれない。日本の役場の役立たずさに言われようのない苛立ちと不服さに気が狂いそうになった。

ある日、母が出かけて1人で昼食をゆっくり取ろうととした時、例のクソガキどもの喚き声が聞こえる初期段階に気づいた。
「うるせぇなクソガキが死ねよこの野郎!」
自分でもびっくりするくらいでかい声がでた。ガキは鈍感でバカだから気づいてないようだが、その声に親が気づいたのかもしれない。
それ以来、暖かい日が続くようになってもガキどもは裏の駐車場で騒ぎたてることがなくなったからだ。
その上、先週の三連休、バカみたいに外で走り回るガキに母親の智子がベランダから怒鳴りつけていた。「何やってんの!早く車乗ってよね!」
その言い方は、聞き分けの悪い子供に対してではなく、何かに怯えて気が立っている小心者の蛙のように思えた。
ザマアミロ。私はニヤリとした。

ざっと書いてもこれほど長い文章になるほど、隣人宅の家族は私を苦しめ、精神障害に追いやっている。殺意が湧かないわけがない。

猫が飼いたい。
母が2年前くらいにそういい始めた。
毎日YouTubeで猫を見てはいいなぁ、羨ましいなあと悶々としていたのだが、
これだけ隣人からの騒音のする家で猫を飼うのはストレスで病気になったりするんじゃないか、と動物自体飼うことを私は躊躇していた。
もちろん動物は大好きだし、猫を飼うことは大歓迎。

猫は突然やってきて、急遽、レスキューせざるを得ない状況だったために受け入れることになったのだ。

今日もガキどもの喚き声が聞こえてきて、いくらかの暴言を吐いた。
母が出かけている時は心起きなく言いたい事をいう。
あくまでも、独り言。聞こえるように言う独り言。
例えば、隣人宅の古いベランダの軋む音が聞こえてきたのなら「頭から落ちればいいのに」とつぶやくし、ガキの喚き声が聞こえれば「殺されろクズどもが」と大きくつぶやく。窓は全開で。

羨ましいな、と今日思ったのは、猫がそれに対して無反応な事。
私の吐く毒に対しては「え?何か言った?」と振り返りはするのだが、外側から聞こえる隣人のガキの叫び声喚き声なんかには1ミリも興味を示さず、日当たりのいい網戸の前でごろ寝しながら満足そうに太陽を浴びている。
きっと猫にとっては、子供の悲鳴も、毎晩響き渡るドタドタという足音も、通りすがりの車だったり餌を啄みにきた雀くらいにしか思っていないのかもしれない。
そのくせ、寝床が定まらない、腹が減った、ウンチが出そうででない、なんかの不満は全力で私にぶつけてくる。近くに母がいても別の部屋にいる私を探して頼って来る。
完全に私を母親と思ってるのか、もしくは使用人だと思ってるのか。

子供の声に対して鈍感なつもりでいようとする母にも苛立ちを感じていた。
「たかが子供に対してストレスを感じるあんたが悪い」と言いたがるから。

ただ、猫は過敏症の私の事を侮辱しない。あのガキどもも、繁殖を繰り返したバカ嫁の事も責めないし、母の事も責めない。
そもそも興味がないらしい。
きっと、私が問題にしているこのことはウチの猫にとっては週2回ある可燃ゴミの日の1回分捨て忘れちゃった、くらいの事なのかもしれない。

酷いストレスに感じていた事を、自分の体内に浸透させることなく優雅に意気揚々と毎日を過ごせたらどれほど気分がいいだろう、といつも思っていた。
そうなりたくて、常に引っ越し先を探して自分の経済力のなさに落胆していた。

だけども、同じ状況下にいる猫は春の陽気を楽しみ、ご飯を美味しく食べて、人の上でも暖かければそこで寝る。

私の望みを先に叶えている姿を見せつけられている事に今日気づいてしまったのだ。

こんな文章をかいている間、また隣人が軋むベランダに出る音が聞こえた。

「頭から落ちろ」
大切な気づきがあったというのにまだぼやいてしまうのは、癖という事にでもしておこうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?