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それでも忘れられない君へ。⑨

「あれ、オバケじゃないの…?」
 準備室の扉を強く閉めると、先ほどまでのクールな姉御肌はどこへやら、綾の顔は恐怖で打ち震え、今まで見たことのない半べそをかきだした。
「オバケって… 服が白いからオバケってこと?」
 綾の突拍子もない主張に、加奈子は小馬鹿にした笑みを浮かべる。
「いくら雨に濡れたからって、体が冷たすぎるわよ。まるで雪を触ったみたいな…」
 それは誇張だよ、と加奈子は言いかけたが、綾の体はまるで冬のように震えている。

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