それでも忘れられない君へ。⑪
「何がほしい?」
自動販売機の前に立ち、加奈子が少年に尋ねる。身長120センチに満たない少年が指を差した先には、いかにも子供が好きそうな果汁10%オレンジの缶ジュースがあった。少年の冷たすぎる体温を考えれば温かい飲み物を用意したほうが良いのかもしれないが、夏ということもあり「あたたか〜い」飲み物がない。ブルブル震えているわけでもなさそうだし、何よりも少年のリクエストだ。
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