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それでも忘れられない君へ。⑩

 加奈子はそんな少年の手を繋ぎ、廊下に出た。
 自動販売機は美術室のある校舎の1階にある。美術室は2階なので、そこまで遠いというわけでもない。少年は相変わらう無表情のままだが、手の振りや歩幅が大きかったり、その所作は妙にウキウキしているようにも見える。
「楽しい?」
 加奈子の質問に、少年はコクリとうなずいた。

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