【学芸員資格】博物館資料保存論レポート
【設問】
博物館における資料の「保存」活動に必要と考えられる基礎的な項目や留意点、取り組みについて具体的に整理したうえで、「保存」と「活用」という矛盾する活動を行わなくてはならない博物館の社会的役割について、自分の考えも交えて論述してください(3,200字程度)。
※ただし本科目では人文系資料を中心とし、レポート全体の趣旨を表すタイトルを文頭に記すこと
(シラバスより抜粋)
博物館における保存活動、および博物館の社会的役割について
1 保存活動における基本方針・留意点
博物館における作品・資料(文化財)の「保存」活動において最も重要なのは、対象となる資料を最大限当初の姿のまま残すことである。これは文化財の定義が人為的であり、現時点までの研究・調査によってわかったことでしか文化財の持つ情報を把握することしかできないこと、将来的に新たな情報が発見される可能性があるからである。そのため、国宝や重要文化財等に指定された資料ばかりを「保存」するのではなく、指定されていない作品・資料についても積極的に保存を行っていくことが必要である。また、それゆえに修理・修復等の作業においては最小限の介入(改変)を原則とし、補修によって新たに追加する部分は、後々除去可能であることが求められる。
また、博物館は所蔵する作品・資料について責任を持つことも重要である。そのため、修理・修復の際は当該担当者(工房、外注業者等)に任せっきりにするのではなく、博物館側も主体的・意識的に関与し、修理・修復に携わっていくことが必要である。
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3,397字
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