それでも忘れられない君へ。⑧
「ちょっと少年、そろそろ離れてくれるかな…」
加奈子は少年の両肩を掴み、少し力を入れてグググッと自分から少年を引き剥がした。数十センチほどの距離ができると、加奈子はその場にしゃがみ込み、少年と目線を合わせる。年齢は小学生1年生ぐらいだろうか。短髪の髪型で、白いTシャツに白い半ズボン、白い靴下に白いマジックテープの白いシューズを履いている。はしゃぐ年頃にそぐわない、真っ白なファッションだが、ある意味では美術室にふさわしい、コンセプチュアルなスタイルであるとも言える。
ここから先は
628字
¥ 100
期間限定!PayPayで支払うと抽選でお得
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?