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この面白さよ、誰かにつたわれ①
この4月から、私は社会人になった。
ざっくり言えば、エンターテインメントを扱う企業に入社した。
3月にふと思った。
入社までの間、そして入社してから、自分は何をすれば良いのか?
そういえば、内定式の際に社長が「とにかく色んなエンタメに触れてください」と仰っていた。
なら、そうしようじゃないか。
しかし、ただ、触れるだけでは足りない。
「面白いと思ったもの」の、どこが面白いのか。それを言語化することが大切だ。
☆ ☆ ☆
前置きが長くなったが、自分が最近触れた、面白いものについて記述しようと思う。
それは自分が体験したものを誰かに共有したいからであり、また前述のように自分のためでもある。
一つ一つの文章を大切にするために長くなってしまうので、何回かに分けて投稿したい。
①相鉄都心直通記念ムービー『100 YEARS TRAIN』
海老名・湘南台と横浜をつなぐ、神奈川の私鉄の雄 相鉄線が開通100周年を記念して作成したショートムービー。
メモリアルな節目に相応しく、起用された面々が豪華である。
ムービーに出演するのは、二階堂ふみと染谷翔太。マッシュアップされた曲は、サカナクションの『ネイティブダンサー』と くるりの『ばらの花』。ボーカルは yui(FLOWER FLOWER)とミゾベリョウ(odol)が担当する。
このショートムービーのテーマは「すれ違い」だ。幼い頃のお互いを覚えているはずなのに、2人は100年の中ですれ違ってしまう。女性は幾度となく男性を呼び留めようとするが、諦めてしまう。しかし最後には、2人は新宿までつながった相鉄線の中で遂に再会を果たす。
マッシュアップされた音楽は、元々一つの曲であったのではないかと思う程に、滑らかに混ぜ合わされている。メロディーにどこか優しく 懐かしい雰囲気がするのは、単なる気のせいではない。「くるり」と「サカナクション」(そしてyuiも)という、徹底して2000年代の邦楽が詰め込まれているからであろう。
30歳前後の働き盛りの世代に大きく刺さるように作られているという点が、またニクい。これでは相鉄線を使いたくなってしまう。
鉄道は人の想いを乗せて走る。嬉しいときも、悲しいときも。
また、殊に私鉄は、路線周辺の不動産事業を手掛ける傾向があり、生活圏全体を創造する企業使命を担っている。この100年間、常に相鉄線は我々にとって なくてはならない存在だったのだ。
この動画には、そんな相鉄線の、人々の100年間分の想いを乗せて という矜持が詰まっている。
②田島列島『子供は分かってあげない』
上・下巻にわたる全20話の短編「ボーイ・ミーツ・ガール」ストーリー。田島列島の作品は初めて読んだのだが、読後感が気持ち良かったので他の作品を買い漁ってしまった。
登場する子供の心が透き通っている。こんなに真っ直ぐな子供は存在しないと思えるほどに。真っ直ぐだからこそ、物語に振り回される。ちぎれそうになる。でも、彼らは負けない。立ち直って、物語の試練を乗り越え、共に成長していく。
それを支える大人も良い距離感を保ってくれる。物語の解決は彼ら自身に任せつつ、困った時には手を差し伸べてくれる。
『水は海に向かって流れる』に大きく見られるように、「誰もが何かを抱えている」というのも、田島列島の作品に共通するテーマかもしれない。
狂言回しの役目を担う明ちゃん や 宮島さんらにも彼らの人生があり、悩みがあり、主人公の行動によって何かを与えられているのだ。緻密で生のあるキャラクター造形が光る。
田島列島は「不倫」や「離婚」といった、成熟した男女のいざこざをよく作品に盛り込む。
しかし、私は氏の真骨頂は 未成熟な男女のプラトニックな恋愛であると思う。
終盤の屋上でのシーンは、彼らのピュアな心を丁寧に描写している。初めての告白って震えるよね。
連載中の『水は海に向かって流れる』も、これからが楽しみである。
☆ ☆ ☆
追記:②を公開した。ぜひこちらも読んで欲しい。
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