ブロードコム「クアルコム買収計画」で揺らぐ5Gのスケジュール
先週、スペイン・バルセロナで開催された世界最大の通信関連イベント「Mobile World Congress」では、2019年開始と言われる次世代通信規格「5G」の話題で盛り上がりを見せた。まるで「前夜祭」のように、基地局メーカーやキャリアなどが5G一色に染まっていた。
そんな盛り上がりをよそに、バルセロナで業界関係者の間では「3月6日はどうなるのか」というフレーズが挨拶代わりとなっていた。3月6日に、半導体大手・クアルコムの株主総会が控えている。現在、クアルコムはシンガポールの半導体大手・ブロードコムから買収提案を受けている。その額は13兆円にも及ぶ。株主総会の行方によって、クアルコムはブロードコムに買収されてしまう危険性がある。
クアルコムは、5Gの導入に向けて基地局ベンダーやキャリアとの研究開発や検証作業を続けてきた。クアルコムの強みは、現在の4Gと5Gを共用して運用できるところにある。4Gから5Gへとスムーズに移行させることができるのは、クアルコムの実績によるところが大きい。
仮にブロードコムに買収されるようなことがあると、2019年に開始とされる5Gのスケジュールに大きな影響を及ぼす可能性が高い。NTTドコモも「5Gの準備がこれから本格化するこのタイミングで、クアルコムの経営体制が変化することにかなり懸念がある」と心配する。
世界のキャリアなどからすれば、5Gを一緒に準備して来たクアルコムが買収されて欲しくないというのが本音のようだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27559010R00C18A3000000/