見出し画像

JRPGリスペクト洋ゲー:Sea of Stars クリア感想

クロノトリガーの作曲を担当した光田康典が参加したことで日本のJRPGファンの一部脚光浴びたSea of Stars。なかなか面白かったのでレビューしつつ語ってみます。

まず、どのようなゲームかと言えば、全体の雰囲気はクロノトリガーを確実に意識して作られたことが挙げられるでしょう。フィールドマップに出ればそれが否応なく伝わってきます。セーブデータの章名もモロにそうです。ダンジョンマップ上の雑魚モンスターのどこかコミカルな動き明らかに待ち伏せしている様子もクロノトリガーのそれを彷彿とさせます。
一方で、バトルシステムはコンボ(実質ゲージ技のれんけい)から見られるようにクロノトリガーの要素を入れつつも、ボタンを入力すると強攻撃になるのはスーパーマリオRPGのほうがより近いかもしれません。
通常攻撃や味方の各技には剣攻撃・毒攻撃などの属性がついており、一定のターン以内に敵の上に表示されるアイコンを該当する属性で割ることで、敵の大技を阻止することができます。この要素はPS2版テイルズオブデスティニーやグレイセスを少し連想しました。
このように、JRPGが好きな人が懐かしみを感じるシステムが随所にちりばめられており、30代の私にはかなりヒットするゲームでした。

さて、では各要素ごとに論評とまいりましょう。ネタバレはなるべく避けるので若干ふんわりしてるところもありますが、ご容赦ください。

ストーリー 9/10

すばらしく王道で、道にはずれない。(烈海王感)
簡単にまとめると使命を帯びた主人公が仲間と共に冒険をしつつ、思った以上に壮大な出来事に巻き込まれていく・・・といった感じです。いやホントこれ以上に言いようがないくらい王道なんです。ドラクエみたいに段階的で、仲間が増えて、船手に入れて、潜れるようになって、空飛べるようになる。このだんだん世界が広がっていくのがたまらないんですよねぇ。
王道すぎて心底驚くようなこともなかったのが9点の理由ですが、かといってナナメ上すぎる展開にしたら7~8点にダウンしてしまうわけで。
やっぱ王道は悪いものではありませんわ!若干洋ゲーの雰囲気に寄せたクロノトリガーを期待してくれたらおおむね間違ってないです(雑)。

キャラクター 5/10

キャラクターデザインは決して悪くないですが、JRPGのそれよりも少しアメリカのカートゥーンに近い要素が含まれているので、日本人は好みが分かれるかな?と思います。
キャラクター個人個人の展開には驚かされることもありましたが、主人公空気すぎない?。ガールが主人公を悪い意味で食いすぎている気がします。
もはやガールが主人公じゃね?
主人公二人は「それってマジ最高だよ!×10」が口癖のようにガールの案に頷いて任せることが多く、主導権はガールが握っています。クロノと違って喋るのにクロノより空気な主人公なのはどうかと思います。
セライとレシュアンはまあまあなんですが。あともう一人は出オチな気がして、キャラクターに関してはそんなにハマらなかったのが正直なところですね・・・。止まらないオルガみたいな走り方は好きだけど。まとめると、常識人が多くて面白みに欠けると感じました。特に主人公二人は強いだけのモブみたいなものです。
正直、時計職人キーナサンといったサブキャラのほうが魅力的です。
ガールが好きかどうかでここの評価は大きく変わるでしょう。
私は嫌いじゃありませんが、主人公にもっとフォーカスして欲しかったので5点です。

バトル 4/10

バトルの基本設計は最初に説明したとおり、多くのJRPGの要素をミックスしたようなもので、最初は非常に面白いんですが・・・どうしても途中からだれてきてしまうのです!その原因として、私なりに分析したものを以下に挙げます。

  • 各キャラの技が三種+必殺技しかなく、三種の技は中盤前に揃ってしまうので、その後の成長が感じられない。

  • 各キャラの必殺技があまり変わり映えしない中、レシュアンのだけ別格に強い(味方全回復+蘇生+敵全体ダメージ+2ターン遅延)ので、ほとんどレシュアンのしか使わない。

  • コンボの種類はそれなりにあるものの、ゲージ技であるため気軽に使えないのと、戦闘開始時はゲージ0なので、雑魚戦では使う機会が少ない。一部の強力な技(特に全体回復とサンムーメラン)に使用が偏ってしまう。てかゲージ3技があまり強くない

  • 状態異常やバフデバフなどの搦手は一切ない(ごく一部の敵がバリアなどを使うくらい)ため、終始戦闘が単調になってしまう。この傾向は裏ボスまで変わらないので一本調子。

  • 与えるダメージと受けるダメージ、共に大幅に伸びることがない。通常攻撃は100ダメを超えず、技は主人公二人が強くて200くらい。連携技のサンムーメランが生マナ使用してアクションもうまくいってやっと500~600といったところ。受けるダメージも裏ボスの一撃で最大HPの3/4食らう程度ですが、ゼイルの回復技であっさり全快するので別に・・・

  • すべての戦闘から逃げられない。ウソだろ・・・。

要するに、中盤以降ほとんど似たような戦闘を延々と繰り返すことになってしまうのです!敵も話が進むにつれHPが多くなるだけで基本的に弱いです。
中盤以降は進化もしなければ技も覚えない初代ポケモンの戦闘みたいな感じ。
少なくとも、各キャラの技をせめて6種類くらいには拡張し、敵の行動パターンも増やすことで戦闘に幅を持たせるべきではなかったのではないでしょうか。それか各キャラに覚醒イベントを設けて技を一新させるとか・・・。特にガールの技ラインナップはひどすぎませんかね?
ここは明らかに調整不足な面だったと思います。単調極まりないです
システムの発想は悪くないだけに非常にもったいなかったですね。

システム 6/10

ダンジョンのギミックは黄金の太陽を彷彿とさせる、シンプルでありながらもちょっと考える必要がある、いい塩梅のものだったと思います。ただちょっと多すぎるかな?とも思いました。後半に行くにつれダレてくる面は否めませんでした。こちらにかけた労力をバトルの調整に回したほうがよかったのではないかなー。
行ける場所が次々に増えていくのはワクワクしますが、その一方でドラクエのルーラに相当する移動魔法がないので、移動に若干ストレスを感じます。
ストーリーの都合上行けないとかならまだしも、多くのタイミングで前の町に戻れるので、あって不都合のある魔法ではないと思います。確かにクロノトリガーにはなかったけれど、そこはリスペクトしなくても・・・
各ダンジョンに置いてある、ドラクエの小さなメダルに相当する虹の貝殻は最初行った段階では取れないものも多いので戻ってくる必要があるのもルーラの需要に拍車をかけています。
移動に関しては不親切さを感じましたね。
また、装備の拡張性が限られているのも気になります。劇的に使用感の変わるアクセは限られてる上、武器防具はほぼステアップのみなので、装備の更新は作業感がありました。クロノトリガーリスペクトであれば、せめて最終武器くらいは虹(クリティカル率70%)や絶望の鎌(仲間が倒れるごとに攻撃力アップ)のような特殊能力があっても良かったんじゃないかな。

総評 75点

良いところ

  • 全体の雰囲気は古き良きJRPGをうまく再現していて、とても懐かしい。

  • ストーリーはしっかりしている。

  • サブイベントも豊富で寄り道のしがいがある。

  • 元の英語が透けて見える面もあるが、翻訳は他の洋ゲーと比べて良い。

悪いところ

  • バトルが中盤以降単調

  • ダンジョンギミックが多いと感じる

  • メインキャラクターのアピールが足りないと思う。特に主人公二人はガールの頷き役といった感じなのが気になる

  • ガールのガールによるガールのための物語

  • システムは要改善点多し

かなり厳しめにレビューしましたが、一番大事な雰囲気とストーリーが良いので満足度は高めです。ここだけはメジャータイトル級のポテンシャルを感じました。バトルやシステム面はもう一声といったところですね。今後に期待できる出来なので、次回作はこのあたりの改善を期待します!


いいなと思ったら応援しよう!