時計が進んでいる
夜、服が湿気でクタッとなって、私の方は食べたい物がわからない
貝殻を鑢で1時間削ったから、指に小さい傷ができていた 貝を握ってた右手の中指の第二関節の親指に近いほうに、
傷というか透明だ
それじゃあ、水ぶくれだ
そうだね
でも皮膚も削れてもいる
貝殻を右手で握って左手で揺れる机を上から押さえつけて120番の紙鑢にギコギコギコギコ押しつけていたのだ。マジックの点線まで貝殻を削ると、最初よりも指の持った角度に合わせて貝殻が少し外にむかって歪んだ気がしたけど、多分そんなこともなかった。手が貝の粉塵で真っ白になった。それで、貝殻が半分になった、
新聞紙の上に知ってる先生の名前を発見した
写真の授業なのに映画ばかり流した先生
貝殻を押しつけていたせいで、机に新聞の文字がうつって取れなかった
外廊下に出て、また時刻がわからない
ブックオフの買取金額検索ページで、思いつく限りの家にある本のタイトルを打ち込んでいく
少し高いのがひっとする
大体はーー
こう表示されてつまらない
平日のあらかた
お腹がすいた
何を食べたらいいかわかんないから自炊しなくなった
コンビニでは金平や豆の煮物なんかが一番おいしいとわかったので、それを買って食べたりする
とにかくすぐに引越したい
手放さずに、かといって遠いところにある
クローゼットや本棚ともっと仲良くしたい
とにかく、お金が必要
でもお腹がすいている
何か買いにいこうと思って、その前に、これを打っている
蟻が何かをゆっくり運んでいた
見たら蟻だった
動いてない
そりゃ、自分と同じ体重の死体を運んでいるんだから、時間もかかるよなあ
本を読んでいると、人をすごく愛さなくてよくなるから、みんな読書をしたらいいと思った
電車に乗るの嫌いですか?
そうでもない でも荷物が重い時はやだな
それって電車じゃなくて荷物が嫌なんじゃ…?
歩くのはもっといやだ
タクシーを使えば?
タクシーは臭いから一番嫌い
一番嫌いって、なかなかすごいことっすよ 好きでも嫌いでも
何かを教えてる感じだけど、あの人はすぐ
むっとした顔するじゃん、むっとしてますよと誇張する感じのさ
あの時何かを感じたけど
何かわからない
大きな部屋でみんなでパーティーしたい
映画を撮るふりをして、そのように遊ぶんよ
はい、次の夜です
最寄でない駅のトイレに携帯を忘れて、あわてて固定電話から電話をして自転車で15分かかりますと言って駅に行った。そんなことになった経緯などを思い出すと恥ずかしくて情けなくて雨が降ってきたが、そのあと駅員がはきはきと優しくて嬉しかった
そのはきはきは嫌でなかった!
すっと記入票とボールペンを出し、他の客が来たから私にどくように示し、私が記入票に住所や署名を書き終えると受け取り、青い柔軟な入れものからマジックテープを剥がして中から私の携帯を取り出して、この名刺は違う人のですよね、といいながら(私の携帯ケースには劇場の支配人の名刺が挟まっていた)それを渡してくれた。
はきはきとしつつ、“彼は私のためにはきはきしてはいない”とすぐにわかるような、でもこの人はこの仕事を誇りにしているとすぐにわかった
雨は柔らかかった
一方で、自分は繊細すぎる気がする
そしてそれが決してわざとじゃないからヤになる
「繊細ではありません、私は粗暴です」みたいなムーブをし続けていれば、そのうち繊細でなくなるのかな。もっと粗野に、あっけらかんとしていたい。うそをつくのとは違って、心の底からあっけらかんとしたいのよ
そういう時,あっけらかんとした接客に
ほどよく魂を救われる
わたしがここにいてもいなくても、わたしが誰でも、誰でもなくてもきっと少しも変化しないであろうと、容易に想像のつく、あっけらかんとした決まり文句と、声色と、最低限の愛嬌に
歌のようなリズムのソプラノ・カラオケの接客
そういうものに触れ合うと、とても良い気分
あなたにとっては無数の一人で、それもまた素晴らしい
誰でもない状態にありたい
粗野に、あっけらかんと
無視をしてもされてもひどくない
かんたんな精神に
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