ふわふわ刑事
フィクション
鍵垢で消化している魂の叫びを、たまには公開してみようと思います。
小学生の頃、目がキラキラの女の子の絵が表紙のアナスタシアっていう名前のお姫様が出てくる本を読んでいた。百数十ページぐらいはあるいちおう活字、児童向けの活字のハードカバー、そこでは氷の魔女が鏡で覆われたお城の中に住んでいて、アナスタシアは魔女にうばわれた大切なものを取り返すために城に入るんだけど、その大切なものがなんだったのか?物語の中でそれがなんだったのかを思い出せない。 昔、 あらゆる物語が、輝いて本当のことみたいになっていた時期があった。今もある意味ではそう、でも、あまり
輪郭について ロッカーは30個ぐらいの箱からなっているけど、取っ手もボタンも番号もついていなかった。ロッカー脇の四角いLEDにレシートをかざすと、ぴっと言って、つるつるした小さなドアのひとつが勝手に開いて、中にレモンイエローの小さな楕円形のケースと白封筒の手紙が入っていた。国分寺駅の大きな通りを歩きながらレモンイエローの手のひらサイズのケースをぱかっと開いてみると、暗い赤色の眼鏡が肩膝折り畳まれてきれいにあったのと、小さな布も入っていて、これもレモンクリーム色をしていた。
夜、服が湿気でクタッとなって、私の方は食べたい物がわからない 貝殻を鑢で1時間削ったから、指に小さい傷ができていた 貝を握ってた右手の中指の第二関節の親指に近いほうに、 傷というか透明だ それじゃあ、水ぶくれだ そうだね でも皮膚も削れてもいる 貝殻を右手で握って左手で揺れる机を上から押さえつけて120番の紙鑢にギコギコギコギコ押しつけていたのだ。マジックの点線まで貝殻を削ると、最初よりも指の持った角度に合わせて貝殻が少し外にむかって歪んだ気がしたけど、多分そんなこともなかっ
カレー屋の椅子に向かい合ってによいしょと座ったら、友達が「あ」と言って私の頭に手を伸ばしてきた。髪に羽虫がついていたみたいだけど、友達はそれを取れなかった。それから注文して料理が来るまでの間に、どこかに飛んで行ったかと思っていたその羽虫がまた私の髪の毛から出てき(た、みたいで)、友達は今度はなかなか取ってくれようとせず、すごい、キラキラしてる、と声を弾ませていた。それで、スマホの内カメを使って自分の頭を見てみると、確かに羽がキラキラ白く反射している羽虫がいた。雫型の羽。たぶ
やがて影を追う手順は厳格になっていき 実際の舟が辿ることのない航路を短い紙に鉛筆で追って引いては潰して財布のポケットにまたしまい込む折 皺の、 その音があり その音が鳴る とすればこの人はこの後は、と、唇を開けずに喋る喉のシルエットを気にしながら階段の向こうに降りる人がいまいか確かめている静かな耳介、柔道をしたことがある もうじき私は夢を覚ます 見られたら恥ずかしいもの 熟した考えごとや仕草の作法を閉じ込めている小さな綿があってそれはいまベンチにガラスの反射が当たって
芝居ってなんなんだろう 部屋の外に出る、という簡単なことができなくて混乱して、泣いちゃった 頭ではどうしたらいいか判るのに、体が筋肉が反応できなくて、どうしても外に出ることができなかった 原因は、 納得できないことをしたくない自分の頑固さゆえかもしれないし、 単に見られることに対して怖がりすぎたかもしれない。今もよく判らない。 ただ、反応した結果、 体が少しも動けなかったのよ 演じることがなんなのかよく判らない。 自分が演出していても、これ上手くいってるのかなあ、辛くないかな
こんにちわ 煙草をやめてみたけどすごく急に病気ってわけでもないらしいから、吸ってみたくなった。っていうか普通に制作がうまくいかなくてむやむやするから吸いたい。きー( i _ i ) お母さんと何を喧嘩したのかもうお互い思い出せないぐらいたわいない喧嘩(笑)、をした。 ぶつくさ言いながらお茶を(紅茶) 淹れていたら指が火傷した。 空気に当たるだけで痛くて冷やした それでも痛くて泣いたら元気が出た しょうがないからケーブルが重なっているところ、少し踏んだだけでだめになってしまう
絶対に行くなら 不安がらないで 多分 なんだけど なんらかの でもまだうまいことやっている 自省にはあまり意味がない 時々人を傷つけるけど殺したことはない そういう自省には 医者に体を見せたら泣きそうになった その後診察台が自動でカーテンのこちら側に動く時看護師が笑って それが自分の妄想の声なのか現実に起こった過去なのか 判断がつかない ただ 変なポーズでいる自覚だけが救いだった 四角いパソコンに文字が打たれた 封筒に紙が入った 紙が 封筒に そんなことで しばらくタバコ
こんにちは。以前自分が書いていたnoteを振り返っていました。1年前ぐらいの方が読み手に対して誠実な文章を書いていたな、と思い、やや反省しかけたところで、でもnoteはあくまでテキスト蓄積のうちのほんの一握りであるから、そんなに体裁をきにして書いても今更なにが、仕方がないではないかという気もする。誰しも、テキストをかくときは、必ずしも他者によまれる事ばかりが前提ではなく、ただそこにお喋りを排泄する場所が必要というだけの場合もよくあることなので、自分もそのような状態の時はその
手相占いというものを、したことがないんだけど、してみたい気持ちになっている。横浜にたくさんあるやつ。出会ったばかりの知らない人と、2人で入っていって、ちゃっかり相性占いとかしてもらいたい。最近は、見惚れると、看取れるという言葉が似すぎていることにうっかり気づき、ひとりでにドギマギしていた。みなさんお元気ですか? 風が吹いて飛行機が飛んでる音がする。 耳鳴りはあまり信じなくていいと思った。ノイズキャンセラーを起こせるガジェットを、私は持ってない。 〇〇しなければならない、み
詩聖であって詩聖でないもの。 花粉の季節が終わったら波乗りの季節がくる。 イベリコ豚食べてみたい。 すごく太るかすごく痩せるかしたら、旅行に行った気分のような浮遊感を味わえるのだろうか。 ただ一つの身体でもって、それが変容するさなかを味わうことでどこかに“行く”? 自分の内側と外側は本当に無いから、感覚の話でもいいし、でもすごく太ったりすごく痩せたら感覚以上に外部との関わり方が物理的にも意識としても変容するのだろうから、きっとそれは旅であり得る。打算はダサいが、根深い
時代を見つめる。幅広い分野で発券を続ける。御守りだよ。美しい御守りだよ。 いつもいつも美しい御守りだよ。 俺らを理解している。理解されないということが前提で当時の若者たちは2つの時代劇をどう観ていたのか? 気づいたら今日になってる コーヒーをたくさん飲んだ、コーヒーをたくさん飲みながら知らない人の、知らない場所に旅に行った話をたくさん聞いてきた、お土産にマンゴーゼリーと煙草を一本貰った コーヒーたくさん飲んだ。トイレットペーパーが花柄で可愛かった。咳が出そうで我慢していたら
家が遠くて、雪解けを踏んだブーツが震えて軋む。家に水がないことを思い出し、あわててコンビニに寄ったがポケットの中の小銭ではどんなに安い水も買えないことが分かるとあきらめて菓子の陳列棚を眺めていた、ブラックサンダーを一つ買って店を出てすぐにビニールを破って齧った、甘い味というより強烈な暴力をいきなりふるわれたかのような衝撃が頬の付け根に走る、突然の糖に唾液腺が瞬時に膨張し筋肉を圧迫して痛んだ、そしてまた今日何も口にしていないことを恥じた。何も食べていないということは、何も躰が
彼の耳が上に開きっぱなしにならないように気をつける。もし動いた拍子に彼の耳がそうなったら、それに気がついた瞬間、他の何よりも優先して私は彼の耳を閉じる。耳が上にぱかっと開いて驚きの表情をする時、きっと彼自身も驚いてしまっているから、私は彼がいつまでもその体の形状でパニックに陥り続けないように、パニックから救うために、あわててベッドに走り、彼の耳をぱたんと閉じる。この習慣は何年経っても変わらない。そうすると彼は落ち着いた呼吸を取り戻して、また目を見開いたまま静かに笑っている。