舞台は誰のためなのか?【舞台制作の記録】
日頃の活動の中でお客様のために、次世代のために等、「誰かのため」を掲げる一方で、時折、それが本当に自分の心からの願いなのか、分からなくなることもあります。そんなとき、ふと立ち返るのです。
自分がその芸術の恩恵を感じているからこそ取り組んでいる。そんな当たり前のことを再確認させてくれたのが舞蝶my蝶でした。
人前で表現するということは、さまざまな価値観と向き合い、触れる機会でもあります。それは、光栄であると同時に、時に大きなプレッシャーとなるものです。
しかし、具志幸大はそれらすべてを噛みしめたうえで、「これをやってみたいんだ」という純粋な想いを大切にしていました。その姿に、私はただただ感動し、心を動かされるとともに自由に飛び交う蝶を重ね合わせました。
芸道40年 琉球舞踊 具志幸大 舞蝶 My蝶 公演パンフレット
琉球コンパス合同会社 髙井賢太郎 ごあいさつ より一部抜粋
芸術活動に取り組む日々の中で、思うことだった。「○○のために」案外いってしまいがちだし、よく耳にする言葉だ。
もちろんそれでいい。
しかし、その大前提に自分のためであることを忘れてはいけない。自分が好きだから。自分が選択し、舞台に出ている。自分が自分であるために芸能をやっているみたいなところもある。
リサイタルや独演会というものは素晴らしい。
時間と金と労力のそのすべてつぎ込んで、人前にでるのだ。
"人前に出る"それはつまり。すべてをかけて、人前に出て様々な価値観や意見にさらされにいくということだ。先にも書き綴った通り、光栄であり大きなプレッシャーも伴うものだ。ただ、その心意気は舞台人としてあるべき姿とさえ感じる。
だから、私はすべての主催者に拍手を送りたいし想いを込めて観劇したい。し、制作したい。
私の芸術活動の中で、稽古やそれまでの積み重ね、たくさんの時間の経過に比べれば、みえている部分(舞台)は一瞬だ。だが、舞台が好きだ。そして、この伝統が好きだ。
そう改めて思わせてくれたのが、my蝶だった。
具志幸大裕さんはじめ出演者の皆様、素敵な舞台をありがとうございました。すべてのみなさまの益々のご発展を祈念しております。