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習い事が続かない(居合編)
習い事をいくつかしてきた。
子どもの頃は水泳とエレクトーンを習っていて、エレクトーンは小学校から高校卒業まで続けたので、だいぶ続いたほうではないだろうか。
大人になってからも、家と職場の往復だけなんてよくない(いや、別に決まりはないのだが)という思いから、習い事をした。
あわよくば、そこでいい人と出会えないかなあという邪な気持ちもあったが、残念ながらそういった出会いはなく。
習い始めるときは知らない世界へのワクワクを感じて入会するのに、大人になってからの習い事は、まあ続かない。
徐々に「あれ、あんまり面白くないかも」と思い始め、やがて「行くのめんどくさい」「やめたい」になっていく。
今日はやめてしまった習い事のひとつ、居合について少し書きたい。
居合を始めたきっかけだが、当時、実写版の「るろうに剣心」が上映されていて、特別作品のファンというわけではなかったが、刀を扱えたらかっこいいんじゃないかと、ちょっとした憧れがあった。
というのと、大学時代の失恋を長年引きずっていたので、心身を鍛えたらそういう自分から脱却できるのではないかという思いもあった。
居合は2年くらいは続いただろうか。私が通っていた道場は総合的に武道を教えていて、ほかに空手、合気道を専攻している人がいた。
武器を使った稽古は全員必須で、ヌンチャクや棒術、さいなど、色々とやらされた。もともと運動音痴な私は、これらの武器について全然センスがなく、なかなかに苦痛な時間だった。
周りに遅れないように必死に型稽古に付いていっていたが、あるときヌンチャクが顔を直撃した。かなりの衝撃で、一瞬時が止まったようだった。痛みとともにぬるっとした感触。
眉のところを切ってしまい、その後は稽古を見学していたが、顔を傷付けてしまったという不安を感じていた。嫁入り前なのに。見学していてと言われたけど、だいぶ血も出たし大丈夫だろうか?
そんななかで女性の会員さんが、「病院に行ったほうがよくない?」と声をかけてくれ、日頃居合の指導をしてくれている会員のおじさんが近くの病院まで連れて行ってくれることになった。
結果として縫うほどではなかったが、しばらくは腫れた。大事ではないとわかると現金なもので、女が武道で顔に傷をこさえるなんてちょっとかっこいいかも、なんて思ってしまった。
この時期に仕事の忙しさから体調不良になり、休職したことから、道場からも足が遠ざかり最終的にはやめてしまった。もともと稽古へのモチベーションが下がってきていたところにケガをして怖くなったことも影響した。
最初はかっこいいと思って始めた居合だが、刀を扱うだけあって優しい世界ではなく、入って間もなく、何も知らずに刀を跨いだら「刀を跨ぐんじゃない!」と怒られたことを覚えている。
居合を専攻している人はほぼ男性で中年層が多かった。女性で居合をやりたいという人はあまりいないのだろうか。女性がほぼいないということで、熱心には教えてもらったと思う。
今は処分してしまったが、稽古のために道着や模造刀を購入したことも経験だ。道着は取っておいても良かったかもしれない。居合は結構初期費用がかかる。
道場は電車で40分ほどの場所にあったが、道着と刀を持って毎回通うのは重いので大変だった。道具のある習い事をするなら、車はあったほうがいいと思う。
私は到底そこまでいかなかったが、段が上がっていくと、やがて模造刀ではなく本物の刀を扱って稽古するようになる。
熟練のおじさま達は「はじめのころは指をよく切ったなあ」となんでもないように話していたが、なかなかに恐ろしい話だ。そうならないように何度も何度も日々稽古を重ねるわけだが、甘っちょろい自分にはついていけない世界に見えた。やめておいて良かったのかもしれない。
道場に通っていると昇段審査や大会などで休日がつぶれることがある。寺に行って、その敷地内で奉納演武というものをやることもあった。
あの頃は、大変でも休日に習い事の用事をこなせるくらいの余裕はあったんだなあ。今は無理だと思う。
話は居合から変わるが、半年ほど前から今度は健康のためにキックボクシングの個人レッスンに通っている。体調を崩してまた休職してしまったので、2ヶ月ほど行けていないのだが。
転職したばかりで仕事についていくだけでも精一杯なのに、習い事をするのは時期尚早だったと思う。
休んでいる間も1万円くらい月会費が取られるのが痛い。
おそらくキックボクシングもやめるだろう。見学時に「今日そのまま入会すればお得ですよ」と言われ、勢いで入ってしまったが実をいうと最初からあまり面白くないのだ。
教えてくれる先生が20歳そこそこじゃないかなという若い女の子なのだが、現代の娘さんを前にして毎回少し緊張してしまう自分がいる。
「どうしよう、多少レッスン以外に会話したほうがいいのかな?」「でも、こんな若い子を前に何を話していいかわからない」などと、めんどくさいことを地味に毎回考えている。
肝心のキックボクシングではなく、先生に気を取られてしまって楽しめていない。先生に罪はない。
今度習い事をすることがあったら(こりない)、見学して即入会せず持ち帰ってよく考えるようにしたい。