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お礼参りに行く

1年前。

無職だった私はようやく体調が安定し始めたため、転職活動を始めようとしていた。大学を卒業してから同じ病院に10年以上勤め、転職活動は初めての経験で不安も大きかった。

不安で心が落ち着かないとき、私はよく神社に行く。

ネットで調べたところ、東京にある愛宕神社が仕事運向上のご利益があることで有名らしいのを知り、行ってみることにした。

無事に就職できますように、とお願いし、金箔で作られたお守りも購入した。

あれから1年。

私はまた休職してしまっているが、愛宕神社に参拝してからすぐに今の職場に就職が決まったことは確かなので、お礼参りに行くことにした。

もうすぐ復職することが決まっているので、その前に行っておきたいと思った。

愛宕神社までは電車と徒歩で2時間ほど。正直ちょっと億劫だが、ついでに東京にある大きい靴専門店にも寄ろうと考えた。私は足のサイズが25.5cmほどあり、近所の靴屋でなかなか気に入った靴を見つけられない。

電車に揺られて神社の最寄りの新橋駅に着く。

15分ほど神社まで歩く。久しぶりに都会に来たなあという感覚。

愛宕神社にはすぐに着き、出世の石段と呼ばれる急な石段を上る。全86段とのことだが、途中に休む場所がないのでだいぶしんどい。高いところはわりと得意なつもりだが、前回来たときより上っていて怖いなと感じた。

ようやく登り切ったところに主祭神「火産霊命(ほむすびのみこと)」を祀る社殿が現れる。

手を合わせ、前回参拝した後に無事に就職できたことを報告する。

参拝後は社務所でお守りを見る。前回授かったお守りを返す場所が見当たらないので、社務所のお姉さんに聞いたら、返納を受け付けてもらえた。

本当は新たにお守りを授かろうと思っていたのだが、このところ他の神社でもお守りを授かる機会が多く、このままだとお守りだらけになってしまうので、今回はやめにした。

何でもかんでもお守りに頼るのもなんだか違うと思ったからだ。

愛宕神社には飼い猫の白猫がいて、今回も姿を見ることができて良かった。

神社をあとにし、靴屋に向かうため、虎ノ門ヒルズ駅へ。

ちょうどお昼時で会社員と思われる人々が道を行きかい、お昼を買うためにお弁当屋さんに並んでいる姿を見かけた。

田舎者の私は東京で働いているだけでおしゃれだなあと勝手に感じてしまう。実際はそんなことないのかもしれないが。

虎ノ門ヒルズにはたくさんの飲食店や土産物屋が入っていて、食事をしている人があちらこちらにいた。

私は相変わらず体重が日々増加しており、この日はお昼を抜いてしまおうと考えていたが、変わった形のソフトクリームを食べている女性を2人続けて見かけ、興味をひかれた。

お昼を抜いてもソフトクリームを食べてしまったら意味がないが、東京なんて滅多に来ないしと、私もそのソフトクリームを買ってみた。


dolce tacubo cafeのソフトクリーム

ここまで書いて、休職中なのに遊び歩いてんじゃねえよという世間の声が怖くなってきました。しかし、ただ家にいても回復するものでもないのです。

ソフトクリームは溶けやすいので、溶ける前に食べ切ろうと黙々とソフトクリームに向かう私。

すると、どこのお店の人か知らないが、お姉さんが「これをどうぞ」とお手拭きを渡してくれた。優しい。

ソフトクリームの味だが、美味しいのは間違いないのだが、ほかで食べるソフトクリームと大きな違いは感じなかった。800円のソフトクリームに躊躇しない私の金銭感覚はどうなのだろうか、冷静に考えるとソフトクリーム1個に800円は高いかなと思う。

東京だから仕方ないか。

目指す靴屋は学芸大学駅にあるため、虎ノ門ヒルズ駅から中目黒駅で乗り換える。

が、運動がてら中目黒駅から靴屋まで歩いていくことにした。30分程度の距離だ。

知らない街を歩くのはなんだか不思議な感じがする。狭い路地に入って行くことが多く、行き止まりだったらどうしようと不安になったり。

昔からやっているであろう中華料理屋さん、大きな教会、外観が鉄道グッズで囲まれた謎のお店(あとで調べたらカレー屋さんらしい、こういうお店こそ勇気を出して寄ってみたら面白いのかもしれない)、知らない景色。

当たり前だが、どこにでも人は住んでいるのだなあと感じる。

無事に学芸大学駅の近くまで着き、靴屋に行く前に前回も立ち寄った恭文堂書店に入る。町の良き本屋さんといった佇まいでとても良い。

前回も感じたが、店員さんの接客に活気があるのがいい。読んでいない本がまだあるので今回は購入しなかったが、また立ち寄りたい。

書店を出て、今日の2つ目の目的地である靴屋へ。

靴屋の名前はタルサタイムという。意味はわからない。

このお店の良いところは商品を見ているときに店員さんが一切話しかけてこないところだ。今回もじっくり見る。

平日だからか、お客は私一人しかいない。

10足くらいは試し履きをしただろうか。結局職場でも履けそうなスニーカーを2足選んだ。ちょっと気になるショートブーツがあったのだが、ここ数年ブーツを履く習慣がないのと、職場には履いていけなさそうなので、そちらは諦めた。

車を持っていない私は移動手段は徒歩か自転車が多いので、靴は履いていて楽で、歩きやすいのが一番だ。

このお店はざっと見た感じ、2万円前後する靴が多く、けして安い買い物ではないのだが、靴はいいものを履いたほうが良いと思うので、まあ悪い買い物ではないだろう。

本当にお金に困ったら、そんなことも言っていられないだろうが。

神社に行き、靴も手に入れたので、その日は満足して帰ることができた。

復職するときに、今回買った靴を履いて行けたらいいなあと思っている。


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