割れた花瓶
ここ数日、調子が悪い。社会復帰に向けて動きたいのだが、仕事について考えようとすると気持ちがガクッと下がる。
母の前で泣くことが続いた。母もうつの薬を飲んでいるから負担をかけたくない、だけど気持ちの行き場がない。
子どもの頃からの辛い出来事が度々思い出されて、もうこの先とてもじゃないけど生きていけないような気持ちになる。
最近読んだ本で、自分にとって暗い過去を話したら笑ってくれる人がいて救われたという話を読んだ。
それで私もこういう場所で辛かった話を書いてみてはどうかと考えた。
以下は家庭で起きた私が今も度々思い出す出来事。
中学生くらいの頃から、両親の口論が増えたと記憶している。理由は色々あったのかもしれないが、母が専業主婦だったので経済的なことが大きかったのかなと推測している。
それでも私と弟は子どもで、子どもは休みには出かけたがる。その日は幕張でアニメだかゲームのイベントがあって、そこに家族で行く予定だった。父も了解していたと思う。
ところが当日の朝になっても父に出かける気配はなく、母が尋ねると「3人で行ってくればいい」となぜか不機嫌な様子。
私は急にそんなふうに言い出した父に、家族で出かけられると思っていたので、冷水を被せられたような気持ちだった。
結局そんな父に母が怒り、3人で出かけることになったが道中の電車で私は気もそぞろだった。こんな気持ちで遊びに行って楽しめたはずもない。
うっすらした記憶でおはスタ(当時)のステージがあって、ベッキーや怪人ゾナーが来ていた気はするが。
帰ったらまだ父は怒っているだろうかと恐れる気持ちがあったが、帰宅して目にした光景は私の想像を超えていた。
まず、玄関に入ったら花瓶が割れていた。次に家が真っ暗であることを認識したと思う。
私は動悸がしながらも母と弟と暗い家の中に入っていくと、そこには家のものが散乱していた。
断片的に覚えているのが、何かのカードの隅が燃やされた状態で転がっていたこと。指輪(母のだろうか)も転がっていた気がする。
収納されていたであろう色々な書類などがバラバラとあったような、とにかくめちゃくちゃに色々なものが転がっていた。
父はその時いなかった。
母もさすがに驚いたと思うが、何か言いながらも片付け始めていた。
私は父がいつ戻ってくるか怖くて仕方なかった。それから間もなくして無言で帰ってきたが。
このあとどうやって日常に戻っていったのかは覚えていない。あれから20年くらい経ち、今は家庭内別居をしている両親がいて、私は休職したことでそんな2人と再び同居している。
私は今もこの出来事を辛いときなどに思い出す。楽しもうとすると悪いことが起こるのではないかとなんとなく構えるようになった。
私は父のしたことを今も許せていないのだろう。
父は一人で働いて家庭を支えていたから、そのときから色々な苦労があったのかもしれない。私も社会人をやって、調子の良いとき、悪いとき、どんなときでも毎日仕事をすることの大変さを知った。
だけどあのときに私たちが経験したことについては理解したくない。
ただの子どもだった私と弟は、家族で出かけることを楽しみにしていただけで悪いことなどしていないと思う。
当日になって出かけたくなくなったのだとしても、もっと伝え方とか対応があったのではないか。
父は自分のしたことを謝ることはないし、むしろ私たち3人が自分を除け者にしているのだと感じているようだ。
でもそんな形になってしまったのは、両親の仲に亀裂が入ってしまったからで、私や弟にどうすることができたって言うんだろう。
私は自分の家にいると今も被害者であり、加害者であるような気がしてしまう。