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歩くこと、それは生きること
気が付けば山にいた。空気が澄んでいる。静寂がある。なぜだか心が落ち着く。この場所が、自分を取り戻せる場所だと感じた。人生の中でたくさんのことに疲れ、挫折し、自分がどこにいるのかわからなくなった。でも、山は私に語りかける。「大丈夫、ここでいいんだよ」と。
日々の忙しさに追われ、時に立ち止まることも許されない現代社会。その中で、私は一人バイクに乗り、山の中へと逃げるように走る。エンジン音が心を静め、風が頬を撫でる。険しい道のりも、ひたむきに歩みを進める登山も、私には生きるための力を与えてくれる。
山頂で深呼吸をするたびに、私の中の混乱した感情が洗い流されるようだ。少しの汗と筋肉の疲労が心地よい。自然の音に耳を澄ませる。鳥のさえずり、木々が風に揺れる音。これらが、私の生きるリズムを取り戻させてくれる。
書くことは、私にとってもう一つの救いだ。言葉を紡ぐことで、自分自身を整理し、他人と繋がることができる。どんなに小さな気付きでも、それを文章にすることで、同じように苦しい日々を送る人たちの力になれたらと願っている。
文章を書くとき、私の頭には必ず山が浮かぶ。山の穏やかさや厳しさ、その両方が文章に反映されているように感じる。だからこそ、私の文章は人々の心に寄り添い、少しでも彼らの孤独を和らげられるのかもしれない。
人生のペースは人それぞれだ。速く進みたい人もいれば、ゆっくり立ち止まりながら歩む人もいる。私は後者だ。山登りのように、一歩一歩、自分のペースで進みたい。誰かと比べるのではなく、ただ自分の生き方を大切にしたい。
山もバイクも、そして書くことも、私にとっては同じ「旅」だ。人生の中で何を選ぶかは自由だ。けれど、その選択が私自身を支え、生きる意味を見出すためのものであることは確かだ。