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【美術館感想文】テート美術館展(大阪中之島美術館)

大山崎山荘美術館と時を同じくして訪れたのが、当時大阪の中之島美術館で行われていた『テート美術館展』。

実は、2023年のことなので書いていなかったが、『テート美術館展』は、東京で開催されていたときにも行っていた。こういう風に巡回する展覧会で2会場以上足を運ぶのは、2022年〜2023年の『李禹煥展』(国立新美術館、兵庫県立美術館)に続いて2回目。この李先生の個展もめっっちゃよかったから、もう今年も終わるというのに昨年のことになるけど、今年を振り返って余裕があったら言葉にしておきたいな。

今回の美術館巡りの場合は、「場所に行きたかったから」と「展覧会を見たかったから」でいうと、どちらかといえば後者にあたるので、東京での展示も含めて、後者に焦点を当てて書きます。



『テート美術館展』は、その名の通り、
英国・テート美術館のコレクションより「光」をテーマに作品を厳選し、18世紀末から現代までの約200年間におよぶアーティストたちの独創的な創作の軌跡に注目する企画(HPより引用)だった。
個人的には、展覧会のポスターなどでも使用されていたターナーの作品にとても惹かれたのと、やっぱりクロード・モネをみておきたかったのと、ジェームズ・タレルの作品が来ると聞いていたので気になっていた。好きなアーティストの作品が2つ以上被ると、飛行機に乗ってしまう。
期待していたどの作品もよかったけど、実は、展覧会会場に足を踏み入れてほとんど最初に出会った、アニッシュ・カプーアとの再会で勝利を確信していたというか、もう負けを認めていた。動けなくなった。
「再会」と称するのは、これも昨年だったか、石川にある金沢21世紀美術館(これもまたタレルの常設作品と、美術館空間に行きたくて)に行ったときに、目の前から動けなくなったのが、彼の作品だったから。それから彼の作品に会いに行くことはまだなかったけれど、滅多に乗らない時間の電車で一目惚れした人に、後日同じ路線の別の電車で一緒になって、名前はわからないんだけどどこかほっとするあの瞬間みたいな、そんな感覚。
ちなみに、東京での展示は「国立新美術館」、大阪では「中之島美術館」だったんだけど、このカプーアの作品の展示のされ方が絶妙に違ってぞくぞくした。作品をどんな場所に展示するかによってこんなにも鑑賞者の受け取り方が違うのかと思った。座り込んで見つめていた。あの瞬間だけは世界に私と作品のふたりきりだったとおもう。

最近は絵画作品よりも空間作品や彫刻に惹かれることが増えてきたんだけど、テート展ではかなりお気に入りの絵画作品があって、思いの外ポストカードを買ってしまったし、ターナーのエコバッグは今も愛用している(買ったのは東京のほうでだったけど)。「光」という切り口が、かなり自分の好みにあっていたのかもしれない。空から差し込む自然の光とか、そういう、我々の力ではどうにもできない、ただそこにあるもの、が好きだったりする。
タレルの空間はやっぱりとてもよくて、いろんな場所に座り込んでは見え方の違いを楽しんで、その空間と一体となることを楽しんで、その作品を見る人の動きを楽しんでいた。ただ、確か彼の作品は撮影禁止だったはずだけど、時折空気が読めない大人のシャッター音に現実を突きつけられて不愉快だったな。こればかりはどうしようもないと思うところはあるんだけど。そんなことをまだ覚えてしまっているのがさみしい。
最後のお部屋にあったオリファー・エリアソンの作品がキラキラしててかっこよかったな。本当は彼の麻布台ヒルズの展覧会に行きたかったんだけど行けなかったの、やっぱりちょっと後悔してるなー。あとは、リヒターの、あの作品をリアルで見れたのはよかった。すごく薄っぺらい表現しかできないのは、彼の作品の厚みに自分の知識と思考が追いついていないことを自覚しているので、びびってるせいです。(ゲルハルト・リヒター《アブストラクト・ぺインティング(726)》)



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