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彼に貸したお金が「高い勉強代」になるまでの話⑪「結婚詐欺の疑いと過去」


※今回、私のドロドロとした当時の感情を
 赤裸々に記しています。
 心が疲れている方は読まないでください。


彼からの素っ気ない態度。
雑に扱われていると捉えた私は、この頃から、彼を詐欺師である可能性もあると考えるようになっていた。

「結婚詐欺」について、ネット上で検索をかける。

ニュースでも取り上げられている。何百万、何千万円の被害に遭った結婚詐欺の事例を調べ始めた。
法律事務所のHPで記載されている「結婚詐欺」についての記事も読み漁った。


「最初は好きだった。結婚する気もあったからこそ、恋人からお金を借りたが、その後好きではなくなった。」


これで、お金を返さない理由が成り立ってしまうようだ。
そして、私と彼の場合では、彼の行動は詐欺としても立証できない。
専門家に聞く前に、判明してしまっていた。

内容証明書に関しても、少額訴訟を起こすとしても、彼の個人情報がない。
LINEのやりとりと、不備だらけの借用書しかない。

泣き寝入りするしかないのかと悔しい思いを抱えていた。


「「高い勉強代」だと思って割り切りなさい」

この言葉は何度も言われた。
彼から学んだことなんてないのだから、勉強代もなにもない。そう思っていた。

「他に良い人なんてたくさんいるよ。でも、お金は返してもらった方がいい。」

実際、そんなに潔く気持ちを割り切れるわけでもない。
借用書があるとはいえ、記載された約束を守るかは相手次第なのだ。
相手をコントロールできないからこそ、悔しさと惨めな気持ちで潰されそうになっている。

私はこのループから早く抜け出したかった。
相手は何故、お金を借りている立場で優位に立とうとするのかと考えた時に、相手はもしかすると私が好意を持っていることに甘んじているのではないかと思った。


よくある、好きなのであれば〇〇でしょ、という決めつけ。思い込み。


12月頃、確信に近いものを抱いた。
妄想染みたことかもしれないが、コントロールされているのは私の方だ、と当時は思った。
純粋な気持ちなど何もない。

マッチングアプリなんて、手軽だ。
目的がお金であるのなら、女性(男性)慣れしている人は容易くお金を引っ張れる。

共通の知り合いもいなければ、相手が周囲から見てどのような印象を持たれているかがわからない。
完全に1対1の世界になってしまっている。

私はふと、SNSのアプリを使った詐欺被害情報が載っているアカウントを見つけた。
そこに彼の名前があがっていないか。いわゆる、エゴサというやつだった。

詐欺被害情報のアカウントには彼の名前は載っていなかった。
少しの安心感と、真実がまた遠のく虚無感がごちゃごちゃになる。


だが、1件、気になる投稿をみつけた。


その投稿の日付は2019年のものだった。
投稿者は女性。彼の名前をはっきりと挙げ、彼の仕事について書かれていた。
そして、彼がその女性に対して嘘をついていると。

血の気が引くとはまさにこのことかと思った。
決して良い内容ではなかった。

当時の私は、あくまでも情報集めのためだと、自分を正当化してその女性のアカウントを開いた。

2019年から2020年くらいまで、彼と付き合っていた様子が見受けられた。

元カノのアカウントだった。

鍵もついていない。彼の写真は掲載されてないものの、付き合っていた当時のLINEのキャプチャや彼を恨む内容の投稿がされていたりと、酷い内容だった。


彼が愛用している財布は元カノでもない別の女性からのもらい物であるとわかる写真。

元カノにも私以上にお金を借りたまま返さず、更にお金を借りようとしていたこと。

元カノから借りたお金で、彼は引っ越していた。

何回も付き合い、別れを繰り替えした。

彼の方から復縁を求められることもあったが、お金目的だったということ。

彼のお金の件は、友達にも相手にされない。泣き寝入りするしかないのか、という嘆き。

「〇〇(彼の名前)が一生女とお金に苦しみますように」と書いた短冊の写真。

SEXのとき、彼とどんなプレイをしたか、など。

吐き気がした。


私と彼が出会った年が2022年。
そこから、彼に関する投稿はなかったため、付き合いは完全に切れているのかと思いきや、元カノの顔に私は見覚えがあった。

彼の誕生日に、タイムライン上で、LINEのメッセージを送っていた人だ。
「久しぶり、元気?」と書いていた。
恨んでいるようには見えなかった。ましてや、かなり失礼だが、彼の母親かと思っていた。

彼が元カノにした内容も、彼女、というより召使のような扱いをしていたことが、LINEのキャプチャ上でわかるほどだった。

恨むのも無理ないが、元カノも元カノで、彼の気を引くためなのか、安心感を得るために男性との関係が絶えない様子だった。彼氏の寝顔の写真、また別の男性との自撮りなど、ちょっと倫理観がズレていた。

私は投稿のスクショを撮り続ける。
いざというときに、彼につきつけ、お金を返してもらう材料にする。
正規のルートで対処ができないのであれば、ギリギリのラインで圧力をかけていってやろうと思った。

初心だとか、心が綺麗だとか、おりこうちゃんでいる私なんていない。

徹底的に潰してやる、という気持ちだった。


そして、元カノの最新情報を見て、フリーズした。
私が彼に一括返済を求めた日があった。
その日の近くに、彼が元カノにまとまったお金を借りようとしていたことが判明した。
元カノは「貸すわけないだろ。早く返せ。」といったような強い言葉で思いを綴っていた。

私は彼に呆れた。そしてこの元カノにも呆れてしまった。
泥沼が新たな泥沼をうんでいる。
私もこの元カノと一緒だ。
彼に大切にされていないのにも関わらず、淡い期待を抱き、裏切られ、恨み、でもまだ希望があるのではと繰り返す。
なんて惨めなのだろう。
ただし、強がりを言うのであれば、寂しいからといってあれこれと異性と関係を持つ私じゃない。
貞操観念は正すぎるくらいにきちんとしている。ちょっと、恥ずかしいが。

私は彼にメッセージを送った。


「大変申し上げにくいのですが、
 あなた、ネットに晒されてるよ」

すぐさま既読がついた。 

自分の立場が揺らぐような出来事に関しては早い反応を示す。

「どれ?」

私はその返しを無視して続けた。

「アプリで知り合った年上ターゲットに
 結婚ちらつかせて、
 お金をいただくのが生業だったのですね。
 いやー悲しいね」
「私に返すお金は人から借りて返すんじゃないよ 毎月1,000円でもいいのだから」

これでも自制した方だ。

「ちょっとずつ返してるよ。何に書いてあるの?」

「何年も返ってきてない人がいるみたいよ私以外にも」

「いや、借りてきたのは返してきたし、
 結婚の話をした人もいるけど
 借りたから別れたわけでもないし
 ちゃんと別れてきたんだけど。。」
「そう書かれてるのもしょうがないのかもね。」
「でも結婚の話出た人一人しかいないんだけどね。」
「いいよ、追い込むなら追い込んでくれれば」

ここで私は、一度冷静になった。彼と直接話そうと思い、電話をかけた。が、出ない。

彼は詰められる事に敏感なやつだ。

出る前に勝手に人の感情を決めつけないでくれという私の言葉に対し、
「全然笑えないし騙してきたつもりもない。もうなんとでもしていいよ。」と言う。
「〇〇(元カノの名前)って人じゃないの?」

正解だ、とは言わず、
私はここで、これまで一度も電話に応答しなかった謎を解きたかった。

なんとしてもいいのであれば何故、電話に出ないのか聞いてみた。

彼の言い分は、
私のラインの仕方とか喋り方とかあざ笑うような感じで追い込んでくることが嫌。
借りたのは自分が悪いし返すつもりもある。追い込むなら追い込んでもらっていい。
晒されている事実だけ言って何も言ってくれないのも嘲笑いにきてるって思うし、もう何も聞かない。

というわけだ。

とことん被害者面の彼にますます嫌気がさしていた。

そしてこの流れで、振込先の名義(カタカナ)を教えてほしいと言う。

不自然すぎる流れだ。借用書にもあるだろうに。
だが、私はお金さえ返し始めれば、自分の気が休まると思っていたため、彼の立場を揺るがすネタがないと、金は返ってこないのかという認識になっていた。

そして、元カノアカウントがきっかけで、彼からの返済がようやく始まったのである。

私は内心、元カノにも彼に対しても地獄行きだといわんばかりに激しい感情をひめていたが、エゴサをしたのは私だ。
彼から聞かれた名前に「そうだよ」とは言わない。
私から「名前は言わない」と告げた。

彼はこういう時に食いつきが良くなる。
どのSNSかを聞いてきた。だがそのSNSは彼はやっていないようだった。
気休め程度に、彼への影響規模は少なめだという事は伝えた。
この優しさが、彼との間では仇となる。

彼は「もう聞かないね。今月も返すね」などというが、やはり投稿内容が気になるらしい。

何度も聞いてくる。探られることは嫌うくせに、探ろうとするやつなのが余計腹立つが。

そして、私の同情を誘うのが本当に上手かった。

というか、既に逆手に取られているからこそ、私は彼に元カノの投稿内容(名前・アイコンは伏せて)を送ってしまった。
全くとことんバカ女である。

彼は投稿内容を見ながら、私に言い訳なのか、解説じみたことを送り始めた。

別れた後も元カノから連絡がきていたが、新しくできた彼氏に騙されたと相談を持ち掛けられていたそうだ。

元カノに貸したお金は、返さなくても良いと言われていたが、急に詐欺だと騒ぎ始めた。


返すつもりでいたので、無視していたとの事だ。
だがその後に、

「その時から(元カノに)彼氏いたんだね」と送られてきた。

私の中でこの言葉が引っ掛かった。

元カノなのだから、新しく彼氏がいてもおかしくないだろう。
敢えて、言う必要あるだろうか。
私は以前感じた、相手はもしかすると自分に好意を持っていることに甘んじている、この考えが過った。

彼の中では終わった関係だが、相手はまだ自分に未練がある。

それが彼の中で優越感となる。現実的なメリットもある。

敢えて、曖昧な態度。曖昧な発言。すべてを明かさないことで、ズルズルと関係を長くさせる。
これが人脈であり、助けてもらう(お金を援助してもらう)ことにつながる。
彼の支配欲なのか、所有欲なのか。
モテて嬉しくない人はほぼいないだろう。

でも、それが本心だとしたら、なんて歪んだ欲を持った人なのだろう、恐怖を感じた。

そして、ここまで思考を張り巡らせられる自分自身も相当、自分を苦しめる天才だ。


⑫に続きます。

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