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彼に貸したお金が「高い勉強代」になるまでの話②「28歳、マチアプデビュー」
彼との出会いはマッチングアプリだった。
丁度、コロナ禍でもあり、世間的にもマッチングアプリの注目度も高まっていた時期だ。
私は、流行に乗ってみよう、というミーハーな気持ちと、ずっと片思いしていた相手を完全に諦めていたこともあり、漠然と次の人とは結婚を意識したお付き合いをしたいと思った頃だった。
趣味や仕事の事だけでなく、自分の考えやパートナーシップに対する思いなど、自分らしさを意識したプロフィールを記入したことを覚えている。
当時、料理や運動、読書など趣味も充実しており、どれをアピールするかと悩んだほどである。
メッセージのやりとりは2人ほどしたものの、
なんとなく、気が乗らず続かない。
かといって、
ネット上でも人見知りを発揮していたため、
自分からいくこともない。
誰かと出会う事を目的とするよりも、いいね数は何週間後に止まるのか、など、ここでもまた分析癖が出始めた頃、彼からメッセージが届いた。
彼は私の文章の書き方が独特だと伝えてきたのだ。
今思えば、自分が実に単純すぎる女であったと思うが、他の男性から送ってもらったメッセージの殆どが趣味や仕事に関するものばかりで、物足りなさを感じていたことも相まって、なんだかとても嬉しかった。
一番見てほしい、褒められると嬉しい内面的なところを彼が見つけてくれたと錯覚したからだ。
お花畑思考が加速し始める。
彼の第一印象は、絶対元ヤンキーだろうという見た目に反して、使い慣れていなさそうな丁寧な言葉を選んで、彼なりの真剣さが伝わるプロフィール文が可愛らしかった。
その時点で、コロッときてしまったのもある。
そう、私は高校時代から、
悪そうな男が好きだったのだ。
(ただし、その頃は芸能人や漫画のキャラに限った話だけれど)
※この理由についてはまたnoteにまとめようと思う。
そこから、彼からマメなほどに連絡が来始めた。
おはようからおやすみまで、今思うとこれも、彼のスキルの一つだったと思う。
約2週間ほど、メッセージ上でのやりとりが続いた頃、第一の違和感が起こった。
この人、自分の話しかしないし、
自分の興味ある分野の質問しかしない。
確かに楽しいのは間違いないのだけれど、他にもこちらから言うジョークが通用しなかったりと、小さな違和感を持ったが、ここでシャットアウトしたら進歩しないだろう!と、小さな違和感は飲み込むことにした。
LINEのIDを交換した後も、時たまズレる会話のキャッチボールは続いたが、とうとう日時を決めて会う事になる。
当時、彼は独立起業に向けて仕事が忙しく、会う予定を立てたものの、1度目の予定は流れてしまった。
私も彼も会うことへのモチベーションは保っていたため、リスケの約束をした。
しかし、この2度目の約束の日の午後、
彼からの連絡が途絶えたのである。
お店を予約していたのもあり、
約束の時間になっても既読がつかず、
事前連絡もない。
相手を心配する気持ちと同時に、第二の違和感到来である。
こやつ、報連相ができない。
結局、お店をキャンセルし、自宅待機した夜、彼から電話がかかってきた。
連絡が出来なかった理由(確か、仕事と家族間の用事だったかと思う)と、謝罪、すっぽかしてしまったので、次こそは会いたいという事を伝えられた。
私は初めて彼の声を聞いたのと、いきなりセンシティブな話を聞いた事で自分から話題を振ることもできず、相槌を打ってばかりで、完全に彼のペースだった。
後日、私の友人に近況報告をし、彼に対して違和感を抱えている事も話してみたところ、嫌なところは直接言ってみたらとアドバイスを受け、翌朝、彼に電話をした。
普段から、彼に対してだけでなく、人間関係での違和感は自分の中で消化する性格だった私にとっては、不満を伝えるということ、電話をかけるということが、実に勇気のいる大胆なアクションだった。
約束をした日に、事前連絡がされないのは少し困ってしまう。こちらとしても、新たに予定を入れたい場合もある。こういうことは今の忙しい状況ではよくあることなのか。
このような内容で、彼に聞いた。
彼はあっさりと、あまりないかなと答えた。
勿論、ごめんねは伝えられたものの…
こちらとしては、拍子抜けである。
だが、ここでも私は違和感を無視した。
さて、ここまでの流れで、
彼と私はまだ直接会っていない。
敢えて「普通」という言葉を使う。
普通であれば、もう既にこの彼に対して
見切りをつけているのではないだろうか。
また、なんて見る目のない女、
バカな女と思う人もいるのではないだろうか。
他人に対する信仰心の強さ、
プロセスを重視する接し方、および、これまでの経験で培ってきた忍耐力。
不満、違和感を伝えず飲み込む甘さ。
面倒事や困難を乗り越えようとする好奇心。
自分の中で長所や優しさと思っていた所が、
全て、どん底に落ちる原因となっていたのである。
③に続きます☺︎