やっと愚痴垢を消すことができた
悪いとわかっていてもやめられないことがありました。角栓抜き?夜更かし?先延ばし?
いいえ違います。
インターネットの下水道を読み漁ることです。
少し暇だなと思うと、5ちゃんねる愚痴スレ、たぬき、Twitterの愚痴垢を開き、目的もないまま深淵に引きずり込まれてしまいます。
内容は、主に自ジャンル以外のコンテンツ公式、二次創作、2.5舞台俳優などについての愚痴です。
公式への真面目な不満から、二次創作トレパク叩き、他のオタクの見た目dis、晒し、ヲチ、新規・茶の間叩き。
カフェで隣席の会話を盗み聞きするのと同じ温度で、時々同調しながら、いやそこまで叩かなくても……と引きながら、顔も知らない人々が吐く毒を見ていました。
掲示板については絶対に書き込まない、Twitterでは壁打ちの愚痴を吐く一方で絶対に質問箱は入れない、引用リツイートなどもしない。他人と関わることは絶対にしないというルールだけを定めて。
多分、愚痴垢だろうが反応があるときっと嬉しくなってしまうだろうし、下手に叩きに同調したら名誉毀損やら誹謗中傷のような罪に問われる可能性を生むだろうと、下水道を見るのはやめられないくせに、変なところで理性が働いていました。そのため掲示板の書き込み方は実はよくわかっていないし、Twitterの愚痴垢もフォローフォロワー両方0人でした。
私がいわゆる愚痴界隈を覗き見るようになったのは、就職活動で精神が追い込まれた時にネガティブ吐き出し用アカウントを作ったことがきっかけです。その時からコンテンツ系の愚痴を覗いてたわけではなく、当初はうまくいかない就活の苦しみや、アルバイト先に現れたクソ客に対する呪詛を吐き出していたのみでした。
就活が終了し、精神が安定を取り戻した頃から、私は某ゲームコンテンツの愚痴スレを見るようになり、その流れでTwitterで似たような内容を書き込んでいる愚痴垢を見るようになりました。最初の頃は数人だったリスト人数が、消す前には30人くらいになっていたと思います。その中でも稼働率が低い人や途中から鍵垢になる人も多く、実際私が見ていたのは数人だったような気がします。ゲームコンテンツから舞台界隈、レイヤー、二次創作と内容もそこそこに広がりながら、愚痴垢ライフを送っていました。同時に、自分が時間を一番くだらない方法で浪費していることに怖さを覚えつつありました。
一方で、就活終了と同時に私はこのnoteを始めました。スタート時点のポリシーはポジティブシンキングになることで、恐ろしい亀更新ながらも次に投稿する文章のネタを実は頻繁に考えています。その中で、自己分析も兼ねて「なぜインターネットの下水道を覗くのが好きなのか」について考えたことが、この文章を書くに至ったきっかけです。
なぜ私は愚痴を見るのをやめられないのでしょうか。
誰かが笑顔の裏で思っている「本音」だから。
他ジャンル、すなわち隣の芝が燃えているのが滑稽だから。
掃き溜めのバカ(見ている自分も同じ穴の狢)を見るのは興味深いから。
ざっと思い当たりそうな理由はこれらでしたが、いまいちピンときません。しかし考えているうちにストンと来たものがありました。
自分の手を汚さずに、誰かを貶めることができるから。
おそらく私が無意識に行っていたのはこれでした。
私は普段、知り合いの悪口や愚痴は言わないように努めています。私の中学時代の友人が、人様の悪口を絶対に言わないようにしている姿に感動して真似をするようになりました。それから周りに対して大きな不満もなく、幸運にも友人同士で悪口を言い合うような空気が自分のコミュニティにないため、私は日頃から身近な人の悪口は一切言ってません。あと普通に考えて円滑に人と付き合うには悪口は封印したほうがいいですし。
しかしそんな日常生活の裏で、
直接自分は関わらずに、誰かに誰かをバカにしてもらって、
それを見て愉悦に浸っている。
我ながら性格が悪すぎる……と言葉がなくなりました。でもこれが一番納得する理由でした。その後もしばらく愚痴垢を見続けていました。
これが12月の下旬でした。
年が明けて2021年になり、時間が進む焦燥感に駆られて、年越しは鬱っぽくなりながら過ごしました。
2020年無駄にした時間多かった。やりたいことたくさんあったのに、できない自分のまま過ごしてしまった。このままでいいのか。
漠然と不安に襲われ、寝付けなかった1月2日の夜、私は思い立ちました。
そうだ。愚痴垢消そう。
そこから一直線にアプリを開き、愚痴垢の設定画面に飛び、うろ覚えのパスワードを入力しました。
少し画面が止まり、あれ?間違えたかな?と思った数秒後、プライベートアカウントのTLに飛び、1年くらい付き合った愚痴垢が、ネットの海から消えたことがわかりました。その瞬間、予想以上に気持ちがすっきりしました。
愚痴垢を消してまだ一週間ほどです。時々愚痴を吐きたくなる衝動に駆られたり、あるコンテンツで騒ぎが起こると愚痴界隈どうなってるのかな、と思うことがありますが、今のところ戻ってはいません。でも無意味にネットを見る時間は格段に減りました。
多分、今後一生SNSは私の生活について回ります。何を摂取して何を断ち切るべきかをしっかり見極めながらこれからも生活して行きたいですね。
(2021/01/11)
追記・2021/07/24
愚痴垢を消してから半年以上が経ちました。最近はもっぱら愚痴界隈のことはほとんど思い出しません。時々吐き出したくなることもありますが、アカウントをまた作る手間を思い出した瞬間に「まぁいっか」となります。
科学的にも、
愚痴を見聞きする・自ら発信する=ストレス源に沈みにゆく
ことを最近知りました。社会人になり、私はストレスをいかに減らすかを考えながら生活していますが、愚痴を見に行くことほど馬鹿馬鹿しいものはないと気づきました。より穏やかな人間になりたいです。