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自分にしかできない冒険

『僕が旅人になった日』 ライツ社 編・TABIPPO

自分がなんとなく感じていた、はっきり言い表せない感情を、この本は少し教えてくれた。
この本に登場する旅人は皆、旅を通して成長している。
どこか寂しい思いを生きる勇気に変えている物語だ。

私が以前旅に出たときも、何か自分の中で変わるものがあるのではと期待を抱き、旅に出た。
ありきたりな 自分探しの旅 とは言われたくないが、何故旅に出たのかと聞かれたらこれが答えだと思う。
思うが、実ははっきりしていない。
だから、表向きには有名な観光地を巡る旅を満喫してきたことにして、イイネと言われようとしていた。
実際イイネと言われると、承認欲求が満たされるのか、他人よりも人生を楽しめていると感じるのか、少し浮かれる自分がいる。

そんな自分に気付いてまた違和感を覚える。
何なのかこの感情は。どうしたいのか自分は。

いいね!の数を気にしては、誰かの羨望になる自分を探す。

45日間の世界一周をした斎藤光馬さんの言葉に納得する。自分に嫌気がさしながらも、旅をとおして過去を振り返り、大切にしたい気持ちを見つけ、また歩き出す。

息子よ、本気で言ってるのか?

父に無謀な提案をした河口尭矢さんは、親孝行が自らの罪滅ぼしへと変わる思いを抱きながらも、この親子にしかできない冒険を成し遂げ、また生きる糧としている。

"変われない"ことは、"変わらなくていいこと"だったのかもしれない。

自分を変えたいと漠然に思うことが多々あるが、それこそが自分らしさであり大切にするべきだと益田奈央さんは教えてくれた。

初めから最後まで思い描いた通りの旅も人生もない。
悩みながら、変わりゆく感情を拾いながら、生きる勇気を見つけてまた歩き出す。
だから楽しいとこの本は教えてくれた。


そして、この本に影響を受けて私も目標を立てた。
昔星野道夫さんの話をよくしていた父と、その父を支えている母をアラスカに連れて行くこと。
父はよくアラスカへ憧れを抱いていた。その側で母はいつも話を聞いていた。
父も母も海外へ出たことがない。飛行機が苦手で乗れるか不安。
私が子供の頃は家族でよく日本を旅行した。付いていくだけでよかったが、今度は私が連れて行く番だ。いつになるか分からないが、今から準備していきたい。

憧れを現実に変えていく。不安を乗り越えた先の昂揚感を目指すのも冒険の1つかもしれない。
父も母も元気だからこそ、今できる最高の思い出作り、今できる最高の冒険になるはず。

地球上に未踏の地はほとんどないと言われ、かつての 冒険 と呼ぶものはもうないようにも思えたが、
人それぞれの旅、冒険がある。
考えるだけでワクワクする、その人にしかできない旅、冒険。それを見つけた気がする。

生きることに迷ったときはまた読みたい。

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