米ドラマ『BOSCH』(シーズン1~7・2015~2021年配信)
アメリカの刑事ドラマとなれば、カーアクションあり、派手な銃撃戦あり、最新の科学捜査あり、というのが定番です。
しかし、最初に言っておきますが『BOSCH』は全く異なります。
日本でいえば、まるで昭和にタイムスリップしたかのような、暗い地味な刑事ドラマといえます。
でも、だからこそ、LA市警の主人公BOSCHの悲惨なバックボーンから生み出される事件解決へのあくなき執念が観る者を引き付けます。
事件目撃者や被害者家族への地道な聞き込み捜査、スマホに残された通話記録から「誰に(から)」「何を」話したのかの1件1件へのチェック、弾痕や弾の特定から割り出される拳銃の特定とその流通ルートなど、気の遠くなるような捜査の末に、容疑者や犯人の特定に繋がっていく・・・。
そういう意味では、刑事ドラマの基本中の基本を押さえたオーソドックスなドラマとも言えます。
こんな風に書くと、相当古臭いドラマかと思われてしまいますが、派手な銃撃戦や科学捜査もあるにはあるのでご安心ください。笑。
もう一つの魅力は、署内で繰り広げられる人間関係もドラマの見どころのひとつ。ボッシュの相棒、黒人警官のエドガーとの確執、署内でのセクハラ(パワハラ)問題、FBIとの揉め事、そして狂信的集団に属している警官の存在など、もちろん現代的な要素も散りばめられています。
20.315がとても新鮮に感じたのが、シーズン7の終盤、ビレッツ警部補が人事異動のペラを壁に貼りだして帰宅するシーン。
彼女が事務所から去るのを見て、署員一同がゾロゾロと、その張り出されたペラにくぎ付けになります。ショックを受ける者、ホッとする者、にこやかになる者など、署内は悲喜こもごもになります。
へぇー、アメリカの人事って、こういう風に発表されるんだ、と新鮮な驚きでした。
でも、ボッシュは一人デスクで仕事しています。彼にとっては人事など、どうでもいいのです。ボッシュの署が変わるのを見て相棒エドガーがいいます。「俺が本署で、ボッシュは変わるんだぞ?」
ボッシュ「どこに行ってもやることは変わらない」。
彼の真骨頂ですね。芯がブレることはありません。
ボッシュとその娘、マディの親子関係も見どころかもしれません。
マディ「写真をGIF画像にして拡散されてるのよ!」
ボッシュ「GIF画像って何だ?」
と親子のゼネレーションギャップも所々に差し込まれています。
最後にひとつ。
ボッシュはロサンゼルス郊外の小高い山の上に住んでいます。ガラス張りの瀟洒な別荘のような住居です。コテージからはロサンゼルス市街が眼前に広がります。夜景は絶景。素晴らしい眺めです。
マディ風に言えば、「やばい風景!」。
BOSCHの聖地としてメモした20.315です。
※本作はAmazonプライムのオリジナル作品です。
※ヘッダー写真は「海外ドラマboard」から引用。中段写真は「海外ドラマNAVI」から。ロサンゼルスの夜景は「留学ジャーナル」から。