横浜市営地下鉄ブルーラインで散歩:下飯田駅の謎のおじさん。
横浜市営地下鉄ブルーラインで散歩。
今回は、朝の早い電車で毎日下飯田駅に通っていた謎のおじさんのお話。
下飯田駅:
1999年8月に開業した下飯田駅は、一日の乗降客5,000人ほどのあまり混雑のない駅で終点の湘南台駅までは1.6kmほどの距離である。
横浜市泉区の南西部に位置し、和泉川と境川に挟まれた台地の上にある。市街化調整区域になっていることから、周囲は畑地や山林を多くの残す田園地帯である。したがって、駅の階段を登ってきて外の景色を眺めても高い建物どころか、普通の民家も駅の周りにほとんどない。
下飯田駅から直線で250mのところに相鉄いずみ野線のゆめが丘駅があり、当駅からは高架上のお洒落な外観の「ゆめが丘駅」を見ることができる。
こちらは、相鉄がショッピングモールを計画していて何年か先には賑わう場所となりそうだ。下飯田駅周辺もそれに伴い、発展していくのだろう。
さて今回は、下飯田駅に朝6:18着で毎日通っていた70歳くらい(に見えた)おじさんの話である。朝の電車の時間以外は不詳で謎である。
下飯田のおじさん:
おじさんは、いつものように東戸塚駅6:03発の横須賀行に乗車した。乗車口は、次の戸塚駅の地下改札に続く階段に一番近いところである。
市営地下鉄への乗り換えのためである。おじさんが次にのる地下鉄の発車時刻は6:09発の湘南台行(今は時刻が変わっていました)。
この時刻がぎりぎり微妙なのである。
東戸塚駅6:03発の列車は、戸塚駅に6:07に到着する。
2つの駅の間の走行時間:4分は毎日ほとんど変わらない。
さすがJRであると感心する。
すこし正確にいうと戸塚駅に到着する時刻はだいたい6:07分30秒近辺である。通常はこれでぎりぎり地下鉄の乗り継ぎに間に合う。ただし、乗り継ぎの時間が90秒ほどのため乗客はほとんど小走りとなるのだが。
時々、横須賀線が予定時刻に来ないことがある。しかたがない、雨や風や事故など列車はいろいろな外的影響を受けるものだ。そういう場合は5分遅れていますとか、15分遅れています、と駅の放送が入る。ちょっとイライラはするがそれは仕方がない、そういうことは起こるものだ。
6:09発の地下鉄への乗車の問題は、放送が入るほどの遅れ時間のことではない。通常は遅れが知らされない30秒を超えるかどうかの時間である。
そもそもこれぐらいで遅れたと言っているのも、せっかちすぎるのだが。
その遅れが、一部乗客の地下鉄ホームまで向かう速度を小走りから徒競走へと変化させる(一部の人はこの遅れが分った時点で諦めて次の電車へ気持ちを切り替える)。スイッチが入るのである。
どんなに僅かでも可能性がある限り、人は一生懸命に走りたがる
ものである。
おじさんが一生懸命走って地下鉄改札へ向かったのを何回か見たことがある。
そんな風にして早朝の、しかも厳しい乗り継ぎ時間の電車で毎日通っていたおじさんは今も通っているのだろうか?
もうその時間の地下鉄に乗ることも無くなった。
いまもおじさんは、”下飯田駅の謎のおじさん”のままである。