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殺人の門
この作品は、いままでの東野圭吾作品とは一味違います。
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主人公の田島和幸は代々医者を家業とする裕福な家の子供として生まれました。家は近所でも知られた立派で大きな屋敷でした。
和幸の小学校時からの幼馴染には倉持修という友人がいました。
倉持の家は豆腐屋さんをしました。
修は子供のころから”一発で大きく儲けるようなことをやりたい”
と言っていて、裕福な家に生まれたからとか貧乏な家だからといった生まれた環境で後の人生が左右されるのはおかしいと心のなかで思っていた。
この作品は、主人公の和幸の目を通して捉えられた様子をもとに描かれている。
したがって文章は、和幸自身が ”私は。。。。” と表現されており、すべてが彼の内面を彼の言葉で書かれている。
すべてとは彼の少年時代から大人になるまでの出来事である。
和幸は小学校で同級生だった倉持に誘われてお金を掛けて碁ならべをする場所へ連れていかれた。
その場所へ何度か通ううちに子供のこずかい銭はすっかりもっていかれていた。そんなことから倉持のことをあまり良くは思ってはいなかった。
また和幸が小学生だったころから父の仕事が上手く行かなくなる。
父はなんとか立て直そうと頑張ったが上手く行かずに挙句に酒と女に入れ挙げて家の金を使い込むようになり母親は離婚して家を出ていった。
それが和幸の不幸の始まりだった。
父の離婚後は父と暮らし始めたが、父の始めた借家経営も上手く行かず
親戚に預けられることとなり何とか高校を卒業し寮のある工場に勤めることとなった。
和幸のそれまでの変化の折に必ずといっていいほどに倉持は和幸に接近してきた。
その度に倉持の誘いに乗って行動した和幸だったが、どれもこれも結果としては彼にとっての悪い方へ、悪い方へと向かって行った。
和幸は工場をやめてまた倉持に誘われて怪しい仕事に手を貸すことになった。
女性関係でも倉持は和幸に関わってきて結果的に彼に不幸をもたらしてきた。
なぜこんなに不幸が続くのか、和幸はわからなかった。
ただ和幸は、時として倉持に殺意をもつようになった。
そんな和幸と倉持と関係のなかで、ある時大きな事件がおこった。
和幸も関わっていた倉持の扱っていた詐欺まがいの金融商品がバブルがはじけて市場が大きく下落したおかげすっかり価値のないものになってしまったのだ。
商品を買っていた客に追われた倉持は行方をくらました。
和幸のところにも警察が訪ねてきた。
倉持の行方を知らない和幸はさがしてみたものの見つからない。
このまま見つからないのか。
長いこと積み重なってきた倉持への恨みはどう果たせばいいのか、それはできるのか。
そしてなぜ倉持は和幸にそうやってつきまとってきたのか。