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ドレススタイリストが照明プランナーになった話。

わたしの人生において、働いて人の役に立つということは、自分が生きていくうえでとても大事なことなのだ。

もちろん今は子育てが最優先なのだが『子育てをしていても、社会の役には立っていたい』と強く思ってしまう。

それは、2度の産休・育休を経て、時短勤務をして、さらに子どもの成長に合わせて転職をしてきて、頑張りすぎて働けなくなった今だからわかる。

やっぱりわたしは、どんな形であれ、本当は今も社会の役に立っていたいという気もちがある。

というわけで、#この仕事を選んだわけ 第二弾は、わたしが未経験で照明プランナーをいう仕事を選んだいきさつなどについて綴ろうと思う。

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こちらに書いたのだが、わたしの最初の仕事は、ドレススタイリストだった。

あこがれていたからとか、目指していたから、という訳ではなく、たまたま運命的にこの会社に出会い、働かせていただいていたという感じだろうか。

でも、天職といえる仕事を11年間まっとうできたのは素晴らしい経験だったなと思う。

そして最初の仕事がうまくいっていたから、少々プラス思考になりすぎていたのかもしれない。

人生で初めて転職をしたわたしは、新しい会社に打ちのめされた。

会社が違うと、人が違う。
会社の空気が違うし、そこにいる人たちの働く姿勢も違う。
今までの会社の人たちとは、人種が違いすぎて、居心地が良くなかった。

これは転職あるあるなのかもしれない。

ブライダルの会社では転職する人もそこそこいたが、戻ってきて再度働く人もとても多かった。
(戻ってきた人たちは、やっぱりここで働くのがあってると思う、と口をそろえて話してくれた)

やっぱりわたしにはあの会社が合っていたな。
戻りたい、と正直何度も思った。

でも、子育てしながらだと土日は働けないし、ドレスや着物はとても重くて年齢的にきつくなっていたのだし、わたしはあのときは転職するしかなかったのだ。

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小1の壁に向けて、転職することを決意した

わたしは長女が小1になるとき、子どもの行事に気兼ねなく全て参加したいため、土日祝日休みの仕事へ転職することを決意した。

ふたりとも保育園に在籍していたときはイベントの日にちに休み希望を出せばよかったので何とかなった。

ただ、小学校と保育園と別れてしまったら、そう簡単にすべてのイベントに休み希望を出すわけにはいかない。
だって結婚式の仕事は、土日祝日がメインなのだ。
休んだらみんなに迷惑がかかってしまう。

ただでさえ時短勤務なのに。

子育てしながら転職するときの自分なりの基準

これは、時短勤務で復職するときに、自分で決めたこと。
なので、転職時もこれだけは守ろうと決めて職探しをした。

①笑顔でいられる範囲で働くこと。
②土日祝日休み。
③時短勤務ができる。
④17時半までに最寄りの駅につく。
(保育園と学童のお迎えがあるため)

34歳で未経験の職種にチャレンジ

長女が小1になるのに合わせて転職をすることは、前々から決めていたので、わたしはかなり前から転職サイトとにらめっこしていた。

接客業が性に合っていたのだが、接客業を選ぶとたいてい土日祝日出勤しなくてはならない。
わたしはパートではなく、できたら社員で働きたいので接客以外をするしかないなと漠然と考えるようになった。

そんなとき、ふと見かけた求人がこちら。

・中堅クラスの照明メーカー
・自宅から徒歩10分
・土日祝日休み
・時短勤務可
・契約社員だけどボーナスあり
・職種は 営業事務か照明プランナー

実は、この会社の存在をわたしは前々から知っていた。
なぜなら、ブライダルの会社に通勤していたとき、自宅から駅まで歩いて行く途中にこの会社があったから。

照明の会社だから、通り沿いにきれいな展示がしてあり、気になっていた会社だった。

昔からキラキラしたものがすきで、ドレスも飽きずに携わってきたのだし、照明もキラキラしているではないか。
このとき、これはまた運命の導きかも、と感じ、早速応募した。

そうしたら、書類審査、筆記試験、面接とさくさく進み、あっという間に内定。

全くの未経験、子持ち、時短希望のわたしなのに、こんなに簡単に転職できてしまって良いのだろうか。

やっぱり就職も結婚と同じで、タイミングと縁と運だから、わたしは運がいいのかもな、とこのときのわたしはお気楽に思っていた。

中堅クラスの照明メーカー

入社して驚いた。
まず、事業所が新しくとてもきれいだった。

照明プランナーとして配属となったのだが、広々としたデスク、自分専用のパソコンなど設備も充実していた。

前職と同規模(約1000人規模)の会社だったので、会社に対するイメージは想像していた通りだったように思う。

また、中途社員が活躍する会社だったため、長く働いて子育てが落ち着いていけば、正社員になれるかもしれないし、安定するかもしれないなという展望もうっすらと伺えた。
中途社員向けの研修も充実しており、かなり安心できた。

入社挨拶したとき、『下の子が3年生まで時短で働くと9年ほどになるので、少なくてもそのくらいの期間は働きたいと思っています』と宣言したことは、今でも忘れられない苦い思い出の一つ。

未経験の仕事を教わる

面接のときに希望職種を訊かれたのだが、正直スキルがなさ過ぎてよくわからなかったので、どちらでもいいのでやります、といった。

その結果、わたしは照明プランナーとして配属された。

そもそも全くの未経験だし、タイピング以外のパソコンスキルは皆無。
こんなわたしでも大丈夫なのだろうか。

不安に思っていたが、この会社はOJTが充実しているし、研修もやるので大丈夫ですよ。と声をかけてもらっていた。

その話のとおり、勤務初日から数日間は研修を行ってもらった。
まずは全くしらない照明業界のことから教えてもらい、その後、会社の扱う商品などを教えてもらった。

一通り研修が済んだら、OJTについてもらい、照明プランナーの業務を開始。

ちなみにわたしのOJTは面接のときに同席してくれたベテランプランナーさんだった。
(実は面接を受けたときにちょっと合わなそうな人だな、と直感で感じた人だったので、その時点で不安度ましまし。)

そして、ここからが悪夢の始まりだった。

OJTは、最初こそわたしに笑顔で色々教えてくれた。
だが、パソコン作業が慣れていないわたしは、慣れるまでに時間を要し、何度も同じような過ちを繰り返した。

その時々、フォローしてもらいつつ作業を進めていったのだが、他の人に比べてあきらかに間違いが多く、わたしは本当にただの使えないやつだった。

入社して2週間ほどで、わたしはOJTに見放された。
何を言っても無駄、とさじを投げられてしまったのだ。

こんなことあるんだな。
わたしは今までこんな人見たことがないし、こんなこと、されたこともしたこともない。

いい年した大人が、いくらわたしが仕事が出来ないからって無視して何も教えないなんて。

いい年して、悔しくて泣いた。
慣れるまでは本当に本当に辛い時間だった。

当時、照明プランナーは約10名程度在籍しており、3チームほどに分かれて作業していた。

さじを投げたOJTは、わたしを他のチームへ追いやった。
(今思えば、そのチームの人たちが不憫すぎる)
そのチームで、わたしは7歳年下の女の子にいちから面倒をみてもらうことになった。

本当はつらい思いをした瞬間に辞めてしまえばよかったのかもしれない。
なんであんなに頑張ったんだろう。
あのとき辞めていたら楽になれていたのに。

でもわたしは、わたしをあんなふうに扱ったOJTのことを見返したかった。だって、わたしは無能ではない。
今までだって一生懸命頑張って生きてきたし、働いてきたんだ、と少々ムキになっていたかもしれない。

とにかく、最終的には2年ほどかけて、なんとか最低限業務を遂行できるまでになった。

あのOJTは、わたしが最低限の仕事ができるようになってからは、わたしのことを無視しなくなっていた。

照明プランナーは事務じゃなく専門職だった

せっかくなので、照明プランナーという仕事について触れておこう。
こんな仕事を知っている人は少ないと思うから。

業界をしらないわたしは、最初に照明プランナーときいたとき、なんだかキラキラした職種なのだろうなという、ちょっとした期待があった。
だが、実際はかなり地味な内勤専門職だった。

手始めに、照明メーカーの仕事を簡単に説明すると、

①まずは営業さんが各住宅メーカーやインテリアコーディネーターさん、商業施設などから照明計画の依頼を取ってくる。

②その建物に応じた照明計画を作成。

③作成した照明計画を先方に提案する。
(このとき、先方の要望をもとに、どういう照明をいくつつけるか、価格はいくらになるか、などを記載した提案ボードを基に提案する)

④良いプランを作成すれば、提案した器具を先方の建物に採用してもらえる。
気に入ってもらえなかった場合には、器具が採用されないため、売上にはつながらない。

この提案ボードなるものを作成するのが照明プランナーの仕事である。
つまり、照明プランナーは社内のたくさんの部署から、照明計画を提案するためのボードを作成する依頼を受ける部門である。

よって、毎日毎日、延々、目の前の図面の建物とひとつひとつ向き合い、その建物と依頼内容に合った照明プランを作り続ける専門職なのだ。

だから、実際に施主様と話す機会はない。

営業さんから、この施主様はこういうのが好みだからこうしてほしい、という要望をまた聞きし、それを提案ボードに落とし込む。

そして、わたしたちが作成した提案ボードを元に、営業さんが施主様に提案。
その時に、変更事項があれば、その変更内容をまたボードに落とし込む。
(しかも、打合せごとに図面がかわるから本当に手間がかかるのだ)

わたしがしていた業務の手順は簡単に言うと

①戸建て、アパート、分譲住宅などの図面を受け取る。

②図面を読み取り、玄関、外灯、部屋の中の照明計画をつくる。
(部屋の広さ、天井の高さから明るさを計算し、適切な明るさになるようにする。)

③照明計画を自社のソフトで提案ボードに落とし込み、見積もりを作成する。

簡単に言うとこのような業務なのだが、一日に3~5件作るのが精いっぱいの緻密な神経を使う作業の連続であり、大変疲れる。

この仕事を2年やってできるようになったことは、

・住宅図面を読めるようになった
・一日中座って仕事をすることに慣れた

う~ん、本当に本当に、この仕事はわたしには合わなかった。
わたしは、直接人に要望を訊いたり話したりする方が性に合っている。
ただ作るだけの作業はにやりがいを感じることがどうしてもできなかった。

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思った以上に話が長くなってしまった。
わたしが照明プランナーという仕事を選んだのは、子どもの成長に合わせて、条件だけをみた結果である。

初めての転職では、あわない仕事をすることはすごくつらいのだということを学んだ。
この仕事に2年間従事して、わたしは、次なる転職活動を開始した。

それについては、また次回。

#この仕事を選んだわけ #照明プランナー #ワーキングマザーの転職 #時短勤務  


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たなか美明
ありがとうございます(^^♪