僕は猫である。名前はちゃーちゃんだ!
あのさ、ママ。僕はどうしたらいいのかわかんないよ。
ママ知ってるよね。僕はキャリーバッグ、嫌い、って。
なのにさ、わざわざ雨が降るなか僕をキャリーバッグに入れてぷんすか怒っちゃってまるで「怪しい家出おばさん」だよ?
プシュー。
バスが停まる。さ、行くわよ?ちゃーちゃん。
なんだかさ、この暑い時期にバスに乗る、ってなんとなくさぁ、
ちゃーちゃんはねだだよ?、を思い出してしまうんだよね。うーん😔
傘もささずに猫キャリーを抱えて真っ赤な髪から赤い雫がママの肩に落ちる。
ピンク色のポチポチが、サテンのシャツについてる。
ついたよー(ガチャリ)!鉄のドアの音がして初めて来てみたママの秘密基地、兼、泣き部屋。
確かに知ってるものもたくさんあるけどここはおうちとは違うとも思う。
うーん、りゅーすもあとから来るのかな?
そんなこと考えてたらママってばいきなり
うわああああーぁあん!!
って泣き出すんだもんね。
んーと、ママとりゅーすはよく喧嘩しちゃまた仲良しに戻るはずなんだけどな。 うーん、困っちゃうよ。僕はママに話しかけてみたんだけど、ママって泣き出したらずーっと泣いてるんだな、これが。
いつもならりゅーすがごめんなさいしてくれておさまるんだけどどうやらママって論破しまくりーのかなりのディベーターだって初めて知ったよ。トホホな気分だよ。
あ~あそんな荷物どうするんだろ、って思った通り、猫は世に連れ世は猫に連れ、そして猫には世は情けなし、だったよ。
懐かしいな、エレベーターかぁ。そんな時期もあったよ。ちびすけ猫だったけどさ。りりこお姉ちゃんからよく指導されたよ、善き猫たれ、ってね。
いいですか、ちゃー、あなたは男の子なのだからママを頼むわよ、わかったわね、ちゃー、わかった?
いつもそう言っていたな、でも初めてきたお部屋にはりゅーすがとうとう来なかった。
昼間はママ、病院行ってお留守していたから押し入れ探検していたら眠っちゃったよ。案の定、帰ってきたママは
うわああああーぁあん!!
泣き出しちゃった。なら最初から喧嘩しなきゃいいのに僕いい迷惑だよ。
僕は温室育ちのぼくちゃん猫だけどさ、りりこお姉ちゃんとの約束は破るわけにはいかない。
枕抱えてうわああああーぁあん!!って泣いてるママの口元を、みっ!って肉球で塞いだんだ。あれ?何か光った。スマホだな。
しゃくりあげながらママは声に出して読み上げた。
しばらくは1人で💢
りゅーすの堪忍袋の尾っぽが切れたんだな。
なァ、りゅーす、僕らは男の子だよね、仲間だよね。りゅーすのご飯食べるカウンターにあがるのが最近たのしいんだな、僕は猫族だからジャンプしてスリスリしたいんだ。
ママの うわああああーぁあんは理由はわかってる。
ママが傷ついて腹を立ててガミガミのガミ子さんになってとうとうりゅーすがごめんなさいと謝ったけど今回のママはなんだか思い詰めていて「あの時」みたいに飛行機乗りに行くんじゃないのか?って、心配したんだ。だけど、案外近かったから少しだけ安心はしたんだ。
ママは心が弱ってる。なんとかしょーこーぐんってやつも最近わかって大変そうだよ。
仲直りしてくれないかな、ママとりゅーす。
日付変わったよ?ママりりこお姉ちゃんの月命日だよ?
うーむ。
こんな感じにもしなっちゃったらひまわりさんちのわんこくんとかママの憧れてるももせななみさんちのわんこちゃんたちはなんて飼い主を励ますんだろ?
ママも悪いんだよ、1日かけてりゅーすをこてんぱんにやっつけるんだもん。僕はさ、男の子だからね。ちょっぴりりゅーすの味方しちゃうよ。
ずーっ だだ! りゅーせーのあめがふりそそーぐぅとぉりふぃどのひがついにきたーふーたーぁぁりだぁけはーいーきーぬーくっ♪
ずーっとこれ聴いてるよママ。筋肉少女帯だな。
へこんでるんだろうな。
あぁ、日曜日だな。いいお天気だな。帰りたいなおうちに。
そのときはママも泣き止んでるかな。僕はさ、猫だからね。道案内はできないけどママのそばにいてやるんだ。
帰れるのかな。階段で遊びたいよ。
さすがに3日もいたら少しは慣れたけどさ。ママの涙って塩辛いんだよね。
ねぇ、noteのみんなの飼い猫さんやわんこさんたち。
ヘロヘロな飼い主をどうやって慰めてるのかな。
それから人間ってどうしてあんな喧嘩するんだろう。
猫だからね。わかんないんだ。僕らは距離をつめた付き合いしないのが礼儀だからね。
仕方ない。ママ。僕がついてるからね。ママにはもう僕しかいないから。
うー、にゃ。りりこお姉ちゃん、天国からいい知恵貸してよ。
言うこときいてお利口にしてるから。
それから僕はちゃーちゃんだから。ママの一番はこの僕なんだから。猫族一等賞なんだからな。
りゅーすも僕の気持ちわかるかなぁ。わかんないだろうなー。
りゅーすがママにもう大丈夫だよ、帰っておいでって早く言ってあげてくれますように。
ママが泣き止みますように。
…ちゃーすけ