その他(内科系問題や雑多問題)
視神経脊髄炎の説明で正しいものを2つ選べ。
a. 抗AQP4抗体陰性
b. インターフェロンγが奏功
c. アストロサイトの脱落
d. オリゴクローナルバンド陽性
e. 3椎体以上の横断性脊髄炎
【解説】Cf C35-2015
視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)
http://www.ms.med.tohoku.ac.jp/ms.html
AQP4を強く発現したアストロサイトが強く障害される=GFAPが発現低下
ミエリン塩基性蛋白の上昇 はkey word的にはMS MNOでどうなのか不明
文献的には高値になるケースある模様 Ans.ce (aは視力検査の要素)
視神経脊髄炎に比べ、より多発性硬化症に見られるものを2つ選べ
a. 髄液オリゴクローナルバンド陽性
b. 年齢は35歳前後にピークがあり、高齢発症もある
c. 罹患頻度が白人に圧倒的に多い
d. 重症筋無力症、橋本病、シェーグレン症候群などの自己免疫性疾患の合併
e. 血清抗AQP4抗体陽性
【解説】参考URL http://www.ms.med.tohoku.ac.jp/ms.html
東北大学病院HPより Ans.ac
多発性硬化症 視神経脊髄炎
組み合わせで誤っているものを2つ選べ
a. 多発性硬化症:ミエリン塩基性蛋白の上昇
b. 視神経脊髄炎:インターフェロンγが奏功
c. 脊髄サルコイドーシス:脊髄表面のMRI造影効果
d. 急性散在性脳脊髄炎:髄液所見が正常~軽度の細胞数(単核球)/蛋白上昇
e. 亜急性硬化性全脳炎:麻疹ウイルスワクチン投与後の発症
【解説】
MNO;視神経脊髄炎
→AQP4を強く発現しているアストロサイトが強く障害=GFAPが発現低下
MSでは時間的・空間的脱髄によりミエリン塩基性蛋白の上昇
c.の選択肢は脊髄専門医試験問題集 K29-2参照
亜急性硬化性全脳炎は麻疹罹患後の数年、亜急性CJDのような経過 Ans.be
亜急性硬化性全脳炎は数年の潜伏期間 (5~10年)の後に発病
42歳の女性。7か月前から持続する全身倦怠感と腰背部痛とを主訴に来院した。体温36.1℃。脊椎の後屈制限と棘突起の叩打痛とを認める。血液所見:赤血球410万、Hb 12.0g/dL、Ht 35%、白血球6,100、血小板15万。CRP 0.3mg/dL。胸腰椎単純CT(A)と胸腰椎MRIのT2強調矢状断像(B)とを別に示す。生検組織で乾酪壊死を伴う肉芽腫を認める。
選択肢で誤っているものを選べ。
a. 初期のX線では椎体軟骨下骨層の不整像を認める
b. Pott麻痺には手術加療が必要である
c. 免疫抑制患者や高齢者、新生児ではツベルクリン反応が偽陰性になることがある
d. 治療薬はイソニアジド・リファンピシンを中心に、ピラジナミド、ストレプトマイシンあるいはエタンブトールの4剤を用いて行う
e. 膿瘍壁の十分な摘出が必要である
解説)脊髄外科専門医問題集の総集編 医師国家試験106D29(改)
初期のX線では椎体軟骨下骨層の不整像を認める。破骨性変化が強い。
TBのPCR陽性にてdの治療内容を開始し、抵抗例や麻痺があるものは手術
脳膿瘍と同じく、膿瘍の全摘を目指すのではなく膿瘍の切開・排膿を目的とする。Ans.e
27歳女性。主訴は歩行障害、両下肢のしびれ感。
3カ月程前に物が二重に見えた時期があった。 眼科を受診したが、視力や眼底に異常はなく、約1週間で自然に改善した。 2カ月程前に左上肢のしびれ感が出現したため整形外科を受診し、頸椎レントゲンで変形性脊椎症と診断された。 しびれ感は約3週間継続したが、次第に軽快した。3日前から微熱と頭痛あり。 昨日から歩行時のふらつきと両下肢のしびれ感を自覚。 今朝から両下肢に力が入りにくく、歩行困難となったため受診した。
神経学的所見:意識は清明。 構音障害はなく、脳神経に明らかな異常はなし。 両上肢の筋力に異常はないが、両下肢に軽度の筋力低下が認められた。 第8胸髄レベル以下の表在感覚が軽度に低下。 両上肢の腱反射に異常はないが、両下肢は亢進し、両側のBabinski徴候が陽性であった。
検査所見:血液生化学検査では、特記すべき異常はなし。 血清のアクアポリン4抗体は陰性。 脳脊髄液の一般検査に異常はなかったが、ミエリン塩基性蛋白が327pg/mL(ELISA法、基準102以下)と増加し、オリゴクローナルバンドが陽性だった。 頭部MRI(画像1)と胸髄MRI(画像2)を示す。
以下のうち、最も考えられる疾患はどれか 1つ選べ。
A) 脳梗塞
B) 脊髄腫瘍
C) 視神経脊髄炎
D) 多発性硬化症
E) ギラン・バレー症候群
解説)両側の側脳室周囲の大脳深部白質に、高信号を呈する斑状、卵円状の病巣が多発性に見られる(画像1:丸印)。第7~8胸髄レベルの髄内に高信号を呈する病変がみられる(画像2:丸印)。
本症例は、特徴的な臨床経過(寛解と再燃を繰り返す、視覚症状を含めた中枢神経症状)、MRI所見(脊髄を含めた中枢神経系に多発するT2高信号の病巣)、血液所見(アクアポリン4抗体陰性)および脳脊髄液所見(ミエリン塩基性蛋白の増加、オリゴクローナルバンド陽性)から、Dの多発性硬化症が最も考えられる。選択肢に示した疾患はいずれも歩行障害や両下肢のしびれ感を呈する疾患として重要であるが、臨床経過、MRI所見、検査所見から鑑別可能である。Ans.d
多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)は中枢神経系に多巣性に脱髄病変を生じ、多彩な神経症状が寛解と再燃を繰り返す炎症性疾患である。病変は時間的・空間的に多発することが特徴で、髄鞘あるいは髄鞘を形成する乏突起膠細胞を標的とする自己免疫疾患と考えられている。初発症状は複視、視力障害、構音障害、運動麻痺、歩行障害、しびれ感、感覚障害、排尿困難など多彩である。過労が発症の誘因となることが多く、前駆症状として発熱、頭痛、感冒様症状が見られることもある。人口10万人あたりの患者数は、我が国では8~9人と推定され、50~100人の患者が存在する欧米よりは少ない。患者の約7割は女性で、初発年齢は30歳前後にピークがある。約80%の患者は15歳から50歳までに発症し、高齢者に初発することはまれである。
MRIはMSの脱髄病巣(MS plaque)を鋭敏に描出することが可能であり、診断に不可欠である。大脳、脳幹、視神経、脊髄に多巣性病変が認められるが、頭部CTで病巣を描出するのは困難である。通常は臨床症候に対応する病巣が確認でき、無症状の病変も検出することが可能であるが、責任病巣を同定できない例もある。造影MRIでは活動性病変が造影される例が多い。脳脊髄液検査ではオリゴクローナルバンドが陽性となる例や、急性期にミエリン塩基性蛋白が増加する例が多いが、本疾患に特異的な所見ではない。診断は臨床経過、神経学的所見、MRI所見、検査所見を検討し、他の疾患を鑑別することが重要である。
急性期治療としては副腎皮質ステロイドが使用され、急性増悪期間を短縮し、後遺症を軽減して回復の程度を高める効果がある。インターフェロンβは再発を有意に抑制し、障害度を軽減することが示されている。フィンゴリモド、グラチラマー酢酸塩、ナタリズマブも再発予防薬(疾患修飾薬)として認可されている。
Cの視神経脊髄炎(neuromyelitis optica;NMO)は我が国に多く、以前はMSの亜型(視神経脊髄型)と考えられていたが、血清の抗アクアポリン4抗体が陽性となることが発見され、現在では別疾患として扱われている。NMOはMSと同様に女性に多いが、発症年齢がより高い。脳脊髄液検査では細胞と蛋白の増加が比較的高度であるが、オリゴクローナルバンドの陽性率は低い。