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Fire, sometimes, blasts

 ホールドオープンしたグロックに新しい弾倉をねじ込んで、かと思うと掴んでいた手摺りに銃弾が直撃する。
「くそっ!」
 尻込みしている隙はない。先行する敵に向けてグロックを撃ちながら、俺は螺旋階段の段板を蹴飛ばして先へ進む。ゴールは屋上、待機中のベル・エアクラフト212ヘリコプタのもとへ。先着は一名だ。
 長い階段を抜け、外気と光が襲いかかってくる。目標の機体と、遠ざかる背中が見えた。これなら直線になる。横風を考慮しても、偏差射撃で当てられる。俺は引き金を絞った。

 人殺しはこれが初めてではないが、やはりやむを得ず犯人に発砲した場合とはワケが違う。無抵抗の背中に9ミリ弾を叩き込んだときの感覚が、手に生々しく残る。
「ご苦労。だが既に次の任務ミッションが入っている。着陸地点で『彼女』に話を聞くといい――」
 機内ではこちらの気も知らず、クライアントの連中が「次」の話を始めている。なぜこんなことに巻き込まれたのか、経緯を説明すれば長くなる。とにかく、俺のように若く、銃火器の扱いに覚えがあって、かつ時間と体力を持て余しているような奴は、たいてい碌な目に遭わない。

「やぁ、お疲れ。まずは第一試練の突破、おめでとう。あそこで死なれちゃつまんないからね……」
 ヘリコプタを降りた先には、髪を茶に染めた、酷薄そうな笑みの白衣の女が待っていた。
「早速だが第二の依頼だ、私と共に車で中継地点へ向かってほしい。道中では戦闘が予想され……ああ、そうだ――」
 あまりにも淀みない動作で、俺はそれをすぐに飲み込めなかったのだが……彼女は懐からソウドオフのグレネード・ランチャーを取り出して、俺の背後――つまりまだ乗員を残して・・・・・・タキシングするベル212目がけて、撃った。
「――君は見込みがある。ちょいと私の『計画』も手伝ってほしい」
 白衣の裾を爆風に靡かせ、女は口の端をこれでもかと吊り上げた。

【続く】

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