現代アート04-A 目[me]



グループ情報

  • 2012-(結成)

  • アーティスト 荒神 明香 1983-                     表現活動集団wah document(南川憲二1979- +増井宏文1980-)計3人

  • 現代アート

アーティスト 荒神明香、ディレクター 南川憲二、インストーラー 増井宏文を中心とする現代アートチーム。個々の技術や適性を活かしたチーム・クリエイションによる制作活動を展開。観客を含めた状況/導線を重視し、「我々の捉える世界の”それ”が、”それそのもの”となることから解放する」作品を様々な場所で発表している。

目me 公式 ホームページより

紹介作品

おじさんの顔が浮かぶ日 2014

                                 photo: Takao Sasanuma
                                       photo:小堀修司
                    Xより くーまのぷぅ @khuma56 · 2014年12月15日
                              photo:渕野結美子


導入

宇都宮美術館はアウトリーチ事業の一環として野外プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトの初回に目[me]を起用したいと考え、打診し、実現した。

アウトリーチ
アウトリーチとは、もともとは社会福祉の分野で、クライアントの表明されないニーズ把握の手 法として開発されたものである。そこから出発した芸術文化におけるアウトリーチは、芸術家(芸 術団体ないし文化施設)が、普段、芸術文化に触れる機会の少ない市民に対して、(その生活の場 に出向いていって)働きかけをおこなうもので、日本語で表記するならば、「芸術普及活動」ある いは「教育普及活動」と言われるものである。

アウトリーチ活動の意義・課題についての一考察 ― 現代における芸術文化の社会的役割 ―
研究開発室 的場 康子

※おじさんの顔が浮かぶ映像 約3分

昨年12月14日(日)に、宇都宮市東部の河川沿いの道場宿緑地、そして、21日(日)に、駅近くの錦地区で、館外プロジェクト「おじさんの顔が浮かぶ日」を実施しました。縦15m・横10mほどの巨大な「おじさんの顔」が出現すると、三脚を立てて撮影をする方、「巨人だ!」とはしゃぐお子さん、偶然通りかかって驚かれる方など、多くの方々の目を引く作品となりました。このプロジェクトは、美術・デザインに興味をもっていただくため、2013年度より新たに始めたアウトリーチ事業です。その初回に、現代芸術活動グループ目【め】を招き、同グループの荒神明香さん発案の「おじさんの顔が空に浮かんでいる」光景を作品として実現するという目【め】の構想を、参加市民と力を合わせて目指しました。浮かぶまでの過程ですが、まず、2013年の9月末から約3ヵ月、宇都宮の中心市街地に「おじさんの顔」募集のための拠点を目【め】に制作・運営してもらいました。そこで興味をもった市民の方々に、「おじさん」モデルの募集と決定をするためのワークショップに参加していただきました。2014年も、月1回のミーティングを軸に、浮かべる場所の実地調査に加え、インターネットラジオへの出演など、参加市民が自主的に活動。目【め】の代表の南川憲二さんも「みなの活動がとまらない」と驚いていました。増井宏文さんが制作統括した「おじさんの顔」の着色は、推定67万粒の黒い点を手作業でつけるという気の遠くなるような内容で、埼玉県にある目【め】のアトリエまで応援に駆けつけてくれた参加市民もいました。「浮かぶ日」当日には、参加者全員が目印の光る帽子をかぶり、来場された方たちにコーヒーをふるまいながら、プロジェクトの説明をしました。好奇心旺盛で活発に活動してくださった参加市民のみならず、多くの宇都宮市民に支えられたプロジェクトとなりました。

Art Annual online 「おじさんの顔が浮かぶ日」を実施して=小堀修司
2024/12/18現在

素材

  • 気体ヘリウム                              →Iwataniからヘリウムシリンダー購入可能。              ※個人が購入できるのかは問い合わせる必要がある。

ヘリウム 安全データシート(SDS) 提供:Iwatani
https://industry.iwatani.co.jp/uploads/2022/03/26927f1bb9442d34a75853ceb4c1ae80.pdf

気体状態のヘリウムは、他の気体と比較していくつかの際立った特徴を持っています。まず、ヘリウムの熱伝導性は非常に高く、これは軽い原子量と原子間の相互作用が弱いためです。高い熱伝導性 は、工業用の熱交換システムや冷却装置での効率的な熱移動を可能にしています。また、ヘリウムは 音速が非常に速いという特性を持っています。空気中の音速が約343メートル毎秒であるのに対し、 ヘリウム中の音速は約965メートル毎秒にも達します。このため、ヘリウムを吸い込むと声が高く聞 こえる現象が起こりますが、これは音速の速さによって声帯の振動が変化し、共鳴周波数が上がるた めです。さらに、ヘリウムは低密度であるため、気球や飛行船などで浮揚ガスとしても利用されます。

ZATTAPO ザッタポ「ヘリウムとは何?性質や用途などわかりやすく解説!!」
2024/12/28現在

ヘリウムシリンダー
容器容量   :7~17.7m³
比較的使用量の少ないお客様向けの供給形態です。使用量に応じた本数を充填してお届けします。イワタニでは一般の高純度ヘリウムガス(99.995%)に加えて、超高純度ヘリウムガス(99.9999%) 、7N超高純度ヘリウムガス(99.99999%)も取り扱っています。

Iwatani ホームページ 2024/12/28現在
  • ナイロン布

気球の球皮はカメロン社の仕様により作られたナイロン布TEN92です。万が一小さな穴や、裂けが発生してもこれが走り出さないダブルリップストップという特殊な織り方に加え、気密性を保つためのコーティングがしてあります。これは気球の球皮一般に言えることですがカメロンの球皮はこれに加えて水分や湿分が到来してもこれを払いのけ、球皮表面を常に乾燥状態にしようとする溌水処理がしてあります。また劣悪な条件下でカビ、細菌類の発生を最少に抑えるバイオ処理も施されています。これは表面コーティングでなく、球皮の繊維を化学的処理したものです。カビと細菌の発生を完全に防止する事は至難の技ですが、各種の過酷な加速試験でも非常に有効であることが確認されています。微生物やカビ類の繁殖、増殖しにくいバイオ処理です。これらの処理はカメロンのナイロン布のみに備わった特性です。日本のように高湿高温で球皮のカビ、汚れ、強度の劣化が心配な風土には最適の素材と言えます。用途に応じ特殊な球皮もあります。

エアロノーツ ホームページ 2024/12/28現在
  • 耐候性インキ

耐候性インキとは
ポスター・ラベル・薬箱などの印刷物は、耐光性・耐候性が必要な印刷物です。汎用インキは、色調・彩度・価格・印刷適性等を考慮しているため、耐光性が劣るインキもあります。耐光性の必要な印刷物には、印刷物の用途に応じ日光堅牢度を備えたインキの選択使用が必要です。T&K TOKAでは、印刷物に応じた耐性が付与できるよう、耐光性の強さごとに3段階のインキを用意しています。

耐候インキの種類

耐光性インキ:フェードメーター100時間曝露試験で変退色がはっきり認 められるインキ。長時間、店頭に陳列されるパッケージ類 の印刷物に適している。 黄・紅・金赤
超耐光性インキ:フェードメーター200時間曝露試験で変退色がはっきりと 認められるインキ。選挙ポスター・ステッカー・屋外掲示印 刷物・電飾印刷物に適している。 黄・紅
耐性SRインキ:フェードメーター500~1000 時間曝露試験で変退色が認 められるインキ。野立てポスター・電飾印刷物・複製画類 の印刷物に適している。 黄・紅・金赤 オレンジ・マゼンタ 紫・群青・墨

株式会社T&K TOKA ホームページ 2024/12/28現在

※熱を使用している様子が見られないことから、ヘリウムガスの浮力によって上昇していると推測される。

寸法

およそ縦15m 横10m

形状

  • 掲揚タイプ

インフレータブル(・常時送風・電源必要)
送風機で常に空気を送り込んで形状を保ちます。密閉式に比べて加工しやすいため、細かい造形を表現するのに向いています。
掲揚タイプ(・ヘリウム・空気)
大型イベントや商業施設、展示会など遠距離からの視認性がUP。
密閉式タイプ
(・空気・電源不要)
浮輪のように空気を密閉させて膨らませます。静かな場所や電源がない場所での使用に最適。

Pier21「バルーン製作について」2024/12/20現在
  • 大きさの違う18種類の判を使った67万粒のドット

制作会社

ピア21/Pier21
インスタグラム  https://www.instagram.com/pier21_web/
バルーン造形、 エアー着ぐるみ、 エアー遊具、トリックビジョン、特殊造形を専門とするものづくり会社。

制作方法

  1. 約3ヵ月、宇都宮の中心市街地で、おじさんの顔を収集する。(218名)

  2. 顔会議によりおじさんの顔を決定する。

  3. 制作会社との共同で顔のパーツをつくる。

  4. ワークショップメンバーとともにパーツにドットを打ち込む。

  5. パーツを張り合わせて完成。

※張り合わせ方・パーツの制作手順は制作会社のピア21に要問合せ。

プロジェクトの活動拠点となった、顔収集センター
                   photo:渕野結美子
ドットを打っているワークショップメンバたち     photo:渕野結美子

スタディー方法

  1. 目[me]のメンバーである荒神 明香が作品の全体像を想像する。

  2. 同メンバーの南川憲二が荒神のアイデアを具体的にするために質問する。

  3. 1.2を繰り返す。

  4. 案がまとまると同メンバーの増井宏文にプレゼンテーションをする。

(南川)
こんな荒神の抽象的なアイデアを、僕がそれってこういうこと?って 
突き詰めていって、「作品として出せそうだぞ」となったら、二人で        増井にプレゼンするのが、僕たちのスタイルです。
(増井)
それを聞いて、面白い!とピンときたものを、どうやって実現させる  かを考えるのが僕の役割。インストーラーというのは美術制作や作品の設置をしたりする人です。二人のアイデアは聞いたことがないものが多いし、誰かがすでに作っているようなものでもないので、まずは作り方を相談できる人を探すところから始まります(笑)。

東京都歴史文化財団 Art News TOKYO
「2020夏、東京の空に巨大な“顔”が浮かぶ『まさゆめ』とは?」 

展示

2014/12/14(日)
宇都宮市東部の河川沿いの道場宿緑地(芝生自由広場)
2014/12/21(日)
駅近くの錦地区(宇都宮市立小学校)

宇都宮武術館 企画パンフレット

引用まとめ

  • Art Annual online 「おじさんの顔が浮かぶ日」を実施して=小堀修司
    2024/12/18現在

  • 美術検定®宇都宮美術館館外プロジェクト               「おじさんの顏が空に浮かぶ日」レポート 渕野結美子 2024/12/20現在

  • 東京都歴史文化財団 Art News TOKYO「2020夏、東京の空に巨大な“顔”が浮かぶ『まさゆめ』とは?」         2024/12/18現在

  • アウトリーチ活動の意義・課題についての一考察 ― 現代における芸術文化の社会的役割 ― 研究開発室 的場 康子


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