「バベルの塔」展 感想

 2017年に上野の東京都美術館で開催されていた「バベルの塔」展の記録です。

 メインの展示品であるピーテル・ブリューゲル1世の「バベルの塔」だけは、見るために列を作り、正面で立ち止まることが禁止されていた。
 2回並んで2度見た(そんなに時間はかからない)

 このバベルの塔、恐ろしく細密。塔がいかに巨大であるかを表現するために、人間や建設用のクレーンなど、塔以外のものを可能な限り小さく描いている。
 三倍に拡大した複製画も用意されていて、それを見ても細かい。
 双眼鏡を持ってきている人がけっこういた。準備良いな。

 バベルの塔をCGで立体的に再現し、すぐそばまで迫る動画が上映されているので双眼鏡がなくても大丈夫!
 資材を持ち上げる様子や、石灰をかぶって真っ白になった人々を大きな画面で見られる。
 自分自身がバベルの塔に登ったような気持ちになって楽しかった。

 一緒に行った友人は、
「建設中なんだね! 壊されているところだとばかり思っていた」
 と驚いていた。
 バベルの塔の建設は順調で、このまま完成しちゃうんじゃないかという気がした。

 ヒエロニムス・ボスの作品も来ており、パネル展示ながら「快楽の園」の解説があったのが嬉しかった(残念ながら実物は来ていない)
 村上春樹「1Q84」の文庫版の表紙にこの絵が使われているのです。意味ありげでどうとでも解釈出来そうな、不可思議な象徴が多く描かれていて、
「春樹の世界にぴったりだ~!」
 と感激。
「樹木人間の胴体の中は居酒屋になっている」
 というのが意味不明で素晴らしい。

 枝葉の刺繍の画家の「聖カタリナ」の布地の描き方も美しかった。
 枝葉の刺繍の画家、というのは通称。本当の名前は残っていないが、作者もそう悪い気はしないのではないか。素敵だ。

 グッズ売り場の「タオルの塔」に脱力した。タオルがバベルの塔っぽく積み上げてある。
 私はバベルの塔の形のシフォンケーキを購入。
 バベルの塔の窓(よく見ると一つ一つ形が異なる)がデザインされている紙袋が可愛い。

 上野駅では野菜山盛りのラーメンやパクチー山盛りのサラダが「バベル盛り」と宣伝されており、何だか色んなものがバベルだった。